△ 「スパイシー・エージェンツ」シーン14


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明転すると喫茶結界。コトが椅子を並べている。カランコロンの音がしてミーが入って来る。

コト 「いらっしゃいませ〜。」
ミー 「いらっしゃいました〜。あれ?上底先生は?」
コト 「店長代理なら奥にいるよ。」写真
ミー 「え?先生ここの代理もやってるの?」
コト 「うん。店長代理〜!」

下手からエプロンをかけた上底が出て来る。

上底 「いらっしゃいませ〜。」
ミー 「先生大忙しですね。」
上底 「売れっ子はつらいよ。」
ミー 「で、話ってなんですか?」
上底 「あ、そうそう、ミーちゃんに会わせたい人がいてね。」
ミー 「会わせたい人?」
上底 「出てきていいよ〜はったりちゃ〜ん。」
ミー 「え?うそ…」

下手から服部浩一が現れる。

服部 「麻美。」
ミー 「なんで…お父さんが?」
上底 「俺が小笠原から連れてきた。」
ミー 「まさかそれで休暇取ってたんですか?」
上底 「その通り。実は緊急事態で…」
服部 「麻美。どういう事だ?」
上底 「はったりちゃん、それは説明したじゃん。」
服部 「お前、お父さんに警察官になったって言ったじゃないか。」
ミー 「同じようなもんでしょ?」
服部 「全然違うだろ!危険すぎる!」
ミー 「警察官だって危険じゃない。」
服部 「警察官も本当は反対だ!」
上底 「はったりちゃん、もうそのくらいに…」
服部 「君は黙ってなさい!」
上底 「ハイハイ…」
服部 「大体女スパイなんてあれだろ?あの、なんかこう、エッチな事とか、しなきゃなんないんだろ?」
ミー 「は?」
上底 「はったりちゃんそれはないから。」
服部 「父さんお前を「峰不二子」に育てた覚えはないぞ!育ってもないけど!」
ミー 「何それ?!。大体この仕事はスパイじゃない!超能力犯罪を阻止する仕事よ!」
服部 「同じようなもんだろ!」
ミー 「全然違う!」
服部 「早速怪我をしたそうじゃないか。」
ミー 「…大したことない。」
服部 「拳銃で撃たれたって聞いたぞ!」
ミー 「大したことないって言ってるでしょ!」

上底、コトに何か指示。コト、服部に向けて手でクルクルしだす。

服部 「そんな危険な仕事、ナンバーワンにならなくてもいい!」
ミー 「え?…ナンバーワン?」
服部 「ん?元々特別…な?オンリー?ワン?」写真
ミー 「あ…コト?」
コト 「ウィッス。」
服部 「(上底に向かって)花屋の店先に並んだ?」

コト、通訳。

コト 「これはどういうことだ?」
上底 「この子の術で言葉を操られてるんだ。」
服部 「い?!ろんな花を見ていた!」
コト 「え?元に戻してくれ!」
上底 「いいよ。怒らないって約束するならね。」
服部 「人それぞれ好みはあるけど!」
コト 「私に嘘をついてたんだぞ!」
上底 「約束できなきゃ一生「世界に一つだけの花」しかしゃべれないよ。」
服部 「(少し考えてから)どれもみんな。」
コト 「わかった。」
服部 「きれいだね。」
コト 「約束する。」
上底 「コトちゃん。いいよ。」
コト 「ウィッス。」

コト、両手をパチンと合わせる。

服部 「ん?今ので…あ、戻った。なんなんだこのウエイトレスは?」
コト 「初めまして。ミーちゃんの友達の椎名琴音です。」
上底 「妖怪「言霊」。」
服部 「妖怪か。」
コト 「ウィッス。」
ミー 「先生、どうしてこんな人連れてきちゃったんですか?」
服部 「こんな人とはなんだ!」
上底 「はったりちゃん。」

コト、服部に指を向ける。

服部 「待て待て待て、わかったから。」
上底 「ま、簡単に説明すれば、悪い奴からはったりちゃんを守るためだ。」
ミー 「え?」
上底 「はったりちゃんは相手の超能力をコピーしたり、移植したり、消去する事ができる能力者だろ?その力を狙ってる奴がいるんだ。」
ミー 「誰がそんなこと?」
上底 「正体はまだはっきりしないが、そいつが今朝、世界中の諜報機関を麻痺させた。」
ミー 「え?」
上底 「とてつもない能力を持った奴だ。支部長や角田ちゃんとも連絡がつかない。」
ミー 「角田さんも?!」
服部 「そいつが私を狙って日本に来るんで、ダブの日本支部にかくまうんだそうだ。」
ミー 「日本支部ってどこにあるんですか?」
上底 「東京の郊外だ。でも今、そいつの迎撃態勢を整えている最中でね、準備ができるまで君たちのいる公安の施設でかくまおうと思う。」写真
ミー 「え?お父さんと一緒に生活するんですか?」
服部 「そんな嫌そうに言うな!」
ミー 「嫌だもん。」
服部 「う〜わ、父さんダイレクトにショックだぞ。」
上底 「その前に解決しとかなきゃならない事がある。」
ミー 「解決?」
上底 「(腕時計を見て)瀬名ちゃんが準備を整えてくれた頃だから行こうか?あ、コトちゃんもね。」
コト 「ウィッス。」

上底を先頭に全員中央にハケる。カランコロンが鳴る。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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