△ 「コスモ・ノアへようこそ!」シーン8


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女子A 「見て見てカンガルー!」
女子B 「カワイイ〜!」
女子A 「あれお母さんだよね?」
女子B 「そうだね!あれ?でも…ちょっとお腹大き過ぎない?」
女子A 「赤ちゃんいるんじゃない?」写真
女子B 「それにしてもちょっと…」

明転すると、下手に母カンガルーのジャスミン、上手に子カンガルーのロッキー

ジャスミン 「ロッキーちゃん。そろそろ出て来ない?」
ロッキー 「嫌だ!僕は絶対ここから出ない!」
ジャスミン 「ほら、美味しい食事もあるわよ。」
ロッキー 「ママがここまで持って来てよ!」
ジャスミン 「もう、我がまま言わないでちょうだい…あ!あんな所にあなたが大好きなエイドリアンちゃんが!」
ロッキー 「女の子じゃ釣れないよ。」
ジャスミン 「ロッキーちゃん…」
ロッキー 「とにかく僕はここから出ない!」
ジャスミン 「いったいどうして引きこもりになんかになっちゃったのよ…。」
ロッキー 「僕は色々知ってしまったんだ!もう無邪気に遊ぶ子どもじゃないんだ!」
ジャスミン 「そう、あなたは子どもじゃないのよ。ママの袋にいられるのは子どもだけなの。」
ロッキー 「分かってるよ!」
ジャスミン 「一度袋から卒業したのに、半年後にまた戻って来るカンガルーなんて聞いた事がないわ。」
ロッキー 「仕方ないだろ!外には敵がたくさんいるんだから!」
ジャスミン 「どうしてそんなこと?」
ロッキー 「急に頭の中で色んな事考える様になって、ボクシングも弱くなって、友達にはバカにされて…」
ジャスミン 「それはきっと体より頭の成長が進んでるからよ。」
ロッキー 「僕は落ちこぼれカンガルーなんだ!」
ジャスミン 「そんな事ない!あなたはやれば出来るカンガルーなの!Y・D・Kなの!」
ロッキー 「違う!やっても出来ないカンガルーだからY・D・Kなんだ!」
ジャスミン 「しまった。どっちもY・D・Kか。」
ロッキー 「僕みたいなおかしなカンガルーは、そのうち人間の研究材料になって、解剖されて、ホルマリン漬けにされちゃうんだ!」
ジャスミン 「ママがそんな事させないわ!」
ロッキー 「だからここにいさせてよ!」
ジャスミン 「そこにいられるとママも身動き取れないのよ。その内ママの体が…うっ…苦しい…」

ジャスミン、お腹を抱えて苦しみ出す

ロッキー 「ママ?ママどうしたの?」写真

ジャスミン倒れる

ロッキー 「うわ!ママ?!ちょっとママ?!」

ロッキーたまらず外へ出る。照明が変わってロッキーはジャスミンの傍らへ

ロッキー 「ママ!しっかりしてよママ!…大変だ…ぼ、僕のせいで…誰か呼ばなきゃ…誰か!!誰か助けて下さ〜い!!」

ロッキー、慌てて走り去る。しばらくしてジャスミンが起き上がる

ジャスミン 「ごめんねロッキーちゃん。こうでもしないと出てくれないと思ったから。ここは心を鬼にして…強くなるのよ!ロッキーちゃん!」

ジャスミンハケながら

ジャスミン 「あ〜腰に来てるわ…」

照明が変わる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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