△ 「コスモ・ノアへようこそ!」シーン7


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明転すると黒服にサングラスの男、ペンギンのグレー、レッド、ブルー。女子達の声がする。

女子A 「見て見てペンギン!」
女子B 「カワイイ〜!」

レッドとブルーが前に出て来る。

女子A 「あ、こっちに来た!」
女子B 「ほんとだ!超カワイイ〜」
女子A 「あ、あっちにもいるよ!」
女子B 「行こ行こ!」写真

レッドとブルー、女子を目で追う。

ブルー 「右のは?」
レッド 「60点」
ブルー 「俺は65点。」
レッド 「左は?」
ブルー 「52点。」
レッド 「俺は30点」
ブルー 「厳しいね。」
レッド 「ありゃ服のセンスがダメだ。」
ブルー 「あっちの赤い服の子は?」
レッド 「う〜ん…」
レッド・ブルー 「70点。ヒュ〜!」

レッド、ブルーお互いを指差しハイタッチ。

グレー 「レッド!ブルー!楽しそうだな。」
レッド・ブルー 「楽しい!」
グレー 「俺は楽しくねぇ。」
ブルー 「だろうな。」
レッド 「お気に入りの居場所が柵で塞がれちまったんだからな。」
グレー 「ちくしょー、オレンジの野郎。」
レッド 「しかしなんでオレンジやつ、あんな高いとこから飛び降りたんだ?」
ブルー 「バカだからだろ。」
レッド 「そうかバカだからか。」
グレー 「そのバカのせいで縄張り奪われちまったんだぞ!あ〜腹立つ!」
ブルー 「そう言えば今日帰ってくるんだよな?あいつ。」
グレー 「なに?」
レッド 「ああ、100点のりんごちゃんが言ってた。」
ブルー 「やっぱりんごちゃんは100点だよな。」
グレー 「オレンジの野郎、帰ってきたらぎったぎたにしてやる。」
ブルー 「あ、帰って来た。」
グレー 「え?」
レッド 「あ!あいつ、りんごちゃんにだっこされてやがる!」
グレー 「なんだと?!」
ブルー 「ちくしょう羨ましい!…あ、降ろされた。」
レッド 「こっち来る。」

オレンジ、出て来る。グレー、レッド、ブルー、走り寄る。

レッド・ブルー・グレー 「てめ〜っ!…」

りんごが出て来る。グレー、レッド、ブルー、止まる。

りんご 「もう大丈夫ね。オレンジ。」写真
レッド・ブルー・グレー 「りんごちゃ〜ん!」
りんご 「はいはいみんな、まだご飯の時間じゃないわよ。いい?オレンジは怪我が治ったばかりだから優しくしてあげてね。」

グレー、レッド、ブルー、オレンジと肩を組む。

レッド・ブルー・グレー 「は〜い!」

りんご、去る。同時に3羽がオレンジに迫る。

レッド・ブルー・グレー 「てめ〜っ!…」
グレー 「オレンジ!てめえのせいで、あの高台が封鎖されちまったじゃねえか!どうしてくれるんだ!」
オレンジ 「悪かったよ、グレー。」
グレー 「教えてもらおうか?あそこから飛び降りた理由をよ。」
オレンジ 「それは…その…」
レッド 「わかったぞ!」
グレー 「え?」
レッド 「今のだよ今の!」
ブルー 「今のって?」
レッド 「だっこだよだっこ!りんごちゃんのだっこ!」
グレー 「え?…まさかてめえ…りんごちゃんにだっこしてもらうために…」
ブルー 「わざと怪我をした?」
オレンジ 「んなわけねえだろ!」
グレー 「よし、うちらも怪我するぞ!」

3羽、高台に登り始める。

オレンジ 「やめろよ!あぶねえって!ほんとに怪我しちまう!」
レッド 「だっこだだっこ!」
オレンジ 「わかった話すよ!ほんとの理由話すから!」

3羽、登るのを止め、オレンジに近づく。

グレー 「聞かせてもらおうじゃねえか。」
オレンジ 「実は…」
ブルー 「実は?」

3羽、オレンジを囲んで睨みつける。

オレンジ 「…飛べると思ったんだ。」
グレー 「…あ?」
オレンジ 「空を飛ぼうと思ったんだ。」

3羽、顔を合わせ、またオレンジを見て

レッド・ブルー・グレー 「マジで?」
オレンジ 「…マジだ。」

3羽顔を合わせ、またオレンジを見て爆笑。

レッド・ブルー・グレー 「ぶわはははは!」
オレンジ 「笑うな!俺は飛んだ事があるんだ!」
グレー 「ああ確かに飛んでたかもな。あそこから地面までの3秒くらいは。」
レッド・ブルー・グレー 「ぶわはははは!」
オレンジ 「そうじゃない!ちゃんと上に向かって飛んでたんだ!」
レッド 「どこで?」写真
オレンジ 「それは…その…夢で…」
グレー 「…夢?」
オレンジ 「夢の中でちゃんと飛んでた!ああいう夢を見た時は必ず現実になるんだ!予知夢ってやつさ!」
レッド 「…どうする?これマジなやつだぜ。」
ブルー 「俺初めて見たかも、本物のバカ。」
グレー 「オレンジ。俺たちはな、遠〜いご先祖様が空より海を選んだ時から飛べねえんだよ。」
オレンジ 「でもどうにかすれば…」
グレー 「飛べねえ!」
オレンジ 「飛べる!」
グレー 「飛べねえ!」
オレンジ 「飛べる!」
グレー 「飛べねえ!」
オレンジ 「飛べる!」
グレー 「賭けるか?!」
オレンジ 「賭ける! 」
グレー 「決まった!」
オレンジ 「しまった…」
レッド 「引っかかった。」
ブルー 「あ〜あ。」
グレー 「もし飛べなかったら、俺がお前を空に飛ばしてやる。」
オレンジ 「え?」
グレー 「俺のパンチでな!」
レッド・ブルー 「ヒュ〜ッ!」
オレンジ 「もし飛べたら?」
グレー 「飛べたら?フッ、そうだな…お散歩タイムで列の先頭をゆずってやる。」
レッド・ブルー 「え?!マジで?!」
レッド 「それって事実上リーダーになるって事じゃん!」
ブルー 「しかもりんごちゃんに一番近いぞ。」
グレー 「但し!制限時間は三日以内だ。」
オレンジ 「え?ちょっと待てそりゃちょっと…」
グレー 「俺のこぶしはそれ以上我慢できねぇんだよ!」
オレンジ 「わ…わかった。」
グレー 「よし決まりだ!オレンジ、せいぜい練習に励んどけや〜。」

グレー去る。

レッド 「どっちの練習だ?飛ぶ方?それとも打たれ強くなる方?」写真
ブルー 「どっちも3日じゃ無理っしょ。お、また来たぜ、あのベレー帽の子は?」
レッド 「え?」

レッド、ブルー、目を丸くして固まる。角の方に行ったオレンジにサスが当たる。

オレンジ 「あ〜もう、どうして俺はいつもこうなんだ?頭に血が上るとつい意地を張っちまって…グレーに殴られたらくちばしが折れちまうかもしれねぇ…かと言って3日で飛べるようになるなんて…」
少女の声 「人間も羽はないけど飛べるよ。」
オレンジ 「なるほど。何も羽で飛ぶ必要はないのか…え?…今の子…」

照明、戻る。少女を目で追っていたレッドとブルーがオレンジ側に寄って来て

レッド・ブルー 「90点…本日の最高得点…」

暗転。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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