△ 「ガールズ・イン・ザ・クライシス」シーン23


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カーコが暗い表情でたたずんでいる。後ろからユウが来る。

ユウ 「屋上にはトイレないでしょ?」写真

カーコ去ろうとする。

ユウ 「カーコ。確かにあなたは敵を前にすると手が震える。でも、強い事は確かじゃない。あの子たちにも指導してあげたら?」
カーコ 「私なんかに指導受けない方がいい。」
ユウ 「私の腕は格段に上がった。」
カーコ 「ユウは元々強かったじゃない。子どもの頃からヴァンパイアの戦士としての訓練を受けていたし。」
ユウ 「あの子たちの根性もかなりのもんよ。」
カーコ 「とにかく私は出来損ないなの!ほっといて!」

後ろからユアとコトが出て来る。

ユア 「出来損ないなんかじゃないぞ。」
ユウ 「ユア。」
カーコ 「あなたに何がわかるの?」
ユア 「わかるさ。」
カーコ 「適当な事言わないで!」
ユア 「わからんか?アコヒメ。」
カーコ 「え?」
ユウ 「アコヒメ?」
カーコ 「どうしてその呼び方…まさか…おじいちゃん?」
ユア 「ああ。」
カーコ 「ホントにおじいちゃんなの?」
ユア 「ホントだ。この娘さんに呼ばれてな。」
ユウ 「コトの仕業ね。」
コト 「ウイッス。」
カーコ 「おじいちゃん!」
ユア 「ひさしぶりだなぁアコヒメ。いくつになった?」
カーコ 「108歳」
ユア 「まだそんなもんか。」
カーコ 「おじいちゃん、私…」
ユア 「気にするな。大昔の事だ。」
ユウ 「何かあったんですか?」
ユア 「昔な、アコヒメが人に取り憑いた悪霊を退治した時、油断して瀕死の重傷を負った事があってな。」
カーコ 「おじいちゃんが自分の妖気を全て私にくれたの。そして命を失った…」
ユア 「可愛い孫のためならなんでもしてあげちゃうのがおじいちゃんってものだ。」
カーコ 「でも命まで…」
ユア 「アコヒメ。お前は強い。一族のやつらはひがんでいるだけだ。そして優しい。実戦に参加しないかわりに、これまで数々の災害地や戦争の焼け跡で、沢山の人達を救って来た事を、おじいちゃんは知っているぞ。」
カーコ 「おじいちゃん…」写真
ユア 「それに、人間に剣術を教えないのも、戦いに巻き込まないためだよな。」
ユウ 「それはなんとなくわかってた。」
ユア 「ただ、きっとあの子たちは、止めても戦いに行くに違いない。なら、お前の力が少しは役に立つんじゃないのか?」
カーコ 「おじいちゃん…私…」
ユア 「お前ならできる。じいちゃんの孫だからな。」
カーコ 「…うん。」
ユア 「そろそろ帰らねば。霊界も今、大騒ぎなんでな。」
カーコ 「おじいちゃん…」

ユア、ユアに戻る。

ユア 「あ〜、結構疲れんなこれ。」
コト 「ユア、グッジョブ!」
ユア 「妖怪降ろすなんてはずめてだからね〜。」
カーコ 「ありがとう。」
ユア 「ちょっと元気になっていがった。」
カーコ 「コトも。」
コト 「ウィッス!」
カーコ 「ユウも。」
ユウ 「100年来のつきあいでしょ。」
ユア 「一世紀かあ?!」
ユウ 「その単位はちょっと来るわ。」
カーコ 「あれ?」
ユア 「なに?」
カーコ 「なんだろこの違和感…」
ユウ 「え?何?」
カーコ 「何か変な感じしない?」
コト 「そういえば…」
ユウ 「なんかこれ、やばいよ。戻ろう!」
カーコ 「うん!」

4人ハケる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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