△ 「ガールズ・イン・ザ・クライシス」シーン6


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愛、マイ、ミー、出て来る。

ミー 「明けて今年の1月。またまた学校に変革が。」写真
マイ 「実はこの学校には夜間部があるんだけど、私らの昼の授業が半分夜にまわされ、夜間部の生徒たちと一緒に勉強する事になったんです。」
「しかしこの夜間部の連中ってのがまた、とんでもない人達で…」

明りが変わり、夜間部の生徒、観月優(ユウ)、椎名琴音(コト)、羽阿弥亜子(カーコ)が出て来る。
ユウとコトはドリンクを手にしている。マイが3人に近づいて行く。

ミー 「マイ、ちょっと落ち着こうよ!」
マイ 「これはプライドの問題なの!」

マイ、ユウの横へ。

マイ 「観月優さん?」
ユウ 「そうですけど?」
マイ 「夜間部に剣の達人がいるって聞いたけどあなたよね?」
ユウ 「人に物を尋ねる時は自分の名前を名乗るのが礼儀よね。」
コト 「椎名琴音です。」
ユウ 「あんたじゃなくて。」
「あ、ども、石倉愛です。」
マイ 「愛。」
ユウ 「ほう、あんたが、校長の娘の…」
「はい。」
マイ 「平泉麻衣。剣道部。1年だけど学校一強い。」
ユウ 「へえ。」
マイ 「つきましては、一度お手合わせ願いたい。」
ユウ 「やめた方がいいと思うけど。」
マイ 「え?どう言う事。」
ユウ 「あなたがどんな能力持ってるか知らないけど、人間レベルじゃ私には勝てないよ。」
マイ 「ははは、まるで人間じゃないみたいな言い草ね。」
ユウ 「ええ。」
マイ 「は?」
カーコ 「ユウ。」
ユウ 「ごめんごめん。行こう。」
マイ 「逃げる気?!」
ユウ 「…めんどくさいな…」
ミー 「マイ、やめようよ、失礼だよ。ごめんなさい、この子ちょっと血の気が多くて。」
ユウ 「ち、血の気が多い?!本当か?!」
マイ 「なんだよ急に…」
カーコ 「ユウ!」
ユウ 「あ〜ごめんカーコ。血の気が多いとか言われるとついヴァンパイアの本能が…」
ミー 「え?」
ユウ 「あ。」
マイ 「今…ヴァンパイアって?」
ユウ 「しまった…」
カーコ 「いいんじゃない?どうせ明日先生から説明あるんだし。この子はヴァンパイア。吸血鬼よ。」
「吸血鬼?…」
マイ 「…ははははははは!それ冗談のつもり?全然笑えないんですけど。」
ユウ 「おもいっきり笑ったよね?」
マイ 「何がヴァンパイアよ。バカにしてんの?」

ユウ、持っていたドリンクをマイに差し出す。

マイ 「…何よこれ。いらないわよ。」
ユウ 「中身。」
マイ 「中身?」

マイ、ドリンクの匂いを嗅ぐ。

マイ 「何これ…」
ユウ 「血液。」
マイ 「は?!」

愛、マイからドリンクを奪い、中身を確かめる。

マイ 「どこまでヒトをおちょくれば…」
「マイ!」
マイ 「なに?」
「これ…本物の血液…」
マイ 「…え…うそ…」
ユウ 「返してくんない?AB型は貴重なんだから。」

愛、ユウにドリンクを返す。ユウ、ドリンクを飲む。

マイ 「ちょっとあんた…冗談が悪質過ぎんじゃないの?!」
ミー 「皆さん…ヴァンパイア…なんですか?」写真
マイ 「ミー!」
カーコ 「いいえ。ヴァンパイアはユウだけ。私とコトは妖怪。」
ミー 「よ…」
ミー・愛 「妖怪?!!」
マイ 「ははははははは!次は妖怪?じゃあなに?(コトに向かって)あなたはろくろ首さんかしら?それとも座敷童さん?油すましさん?べとべとさん?二口女さん?あかなめさん?見かけに寄らずぬらりひょんさんだったりして?」
ミー・愛 「詳しい。」
コト 「言霊。」
マイ 「は?」
コト 「妖怪言霊。言葉を操れるよ。」
マイ 「ほう。どうやって?」
コト 「やっていい?」
カーコ 「やめときなよ。」
コト 「はらわた煮えくり返ったからやっちゃうね。」

コト、マイの顔の前で指をくるくる回す。

コト 「くるくるくるくるくるくるくるくる。」

てのひらを開いて。

コト 「はい!」
マイ 「ん?…あ!今くるくるパーってやったな!」
コト 「もう、かかったよ。」
マイ 「は?かかった?何が?もまえ頭もかしいんじゃないの?…ん?」
ミー・愛 「ん?」
マイ 「今私、もまえの事もまえって…あれ?もかしいな?」
ユウ 「ぷっ!」
マイ 「もい!これどうなってんの?!」
コト 「あなたの言葉の「お」を「も」に変えた。」
マイ 「は?何それ?!「も」も「も」に変えた?あれ?」
コト 「あいうえお。」
マイ 「あいうえも。あれ?…」
コト 「おもてなし。」
マイ 「ももてなし。あれ?…」
コト 「おおさんしょううお。」
マイ 「ももさんしょううも!!」
ミー・愛 「ぷっ!」
マイ 「こら!ももしろがるな!」
ミー・愛 「ぷははははは!」
カーコ 「コト!」
コト 「はいはい。」

コト、両手をパチンと合わせる。

マイ 「ん?もどったの?お、お、あ、戻った!」
コト 「(マイにニコッと微笑み)あんまなめんな。」
マイ 「う…」
カーコ 「これで信じた?」
マイ 「こ、こんなのどうせただの催眠かなんかでしょ?!どこが妖怪よ!」
ミー 「待ってマイ!」
マイ 「なに?」
ミー 「この妙な感覚…もしかしたらこの人たち、本当に妖怪かも。」
マイ 「あんたまで何言ってんのよ!」
カーコ 「あなたは?」
ミー 「服部麻美。一応人間です。」
カーコ 「妖怪を感知できるんだ。」
ミー 「この感覚が妖怪のものって事なら。」
「で、あなたは何者なんですか?」
カーコ 「羽阿弥亜子。妖怪名は烏天狗。」
「烏天狗?」
ユウ 「手合わせならカーコに頼めば?」
マイ 「え?」
ユウ 「私の剣術の師匠だから。」
マイ 「うそ…」
コト 「カーコのおじい様は、あの牛若丸に剣術を教えた烏天狗だよ。」
マイ 「牛若丸?!…って誰?」
ミー 「後の源義経。」
マイ 「源義経?!…って誰?」
ミー 「マイ。」
マイ 「ん?」
ミー 「頑張ろう。」
マイ 「頑張る。」
「お話は面白いけど、皆さんが本物の妖怪とかヴァンパイアだって証拠にはならないんじゃ…」
カーコ 「あなた、校長の娘なんでしょ?なのにホントに聞かされてないの?私達の事。」
「え?…ええ…」

校長が出て来る。

校長 「いや皆さん。本当に申し訳ない。」
マイ 「校長先生!」
校長 「私が初めからきちんとお話しておけば良かったんです。だだ、色々と複雑な事情がありまして…」
ミー 「ってことは…ホントに…ホントなんですね?」
校長 「はい、あなたが感知した通り、夜間部の子達は人間とは異なります。全員妖怪やヴァンパイアなんです。」
マイ 「マジか…じゃやっぱりさっきのは催眠術じゃなくて…」
ミー 「妖怪のせいなのね…」写真
「そうなのね…」
コト 「ウォッチ!!」
校長 「急に言われても中々難しいとは思いますが、皆さんどうか、仲良くして下さいね。」
「父さん…」
校長 「詳しくは明日の朝礼で。」

校長、ハケる。愛、マイ、ミーと夜間部の3人、妙な空気。

ユウ 「ま、そういう事なんで。」
カーコ 「失礼。」

ユウ、カーコ、コトの3人、愛、マイ、ミーの前を横切り、去りながら

ユウ 「コト、今何時?」
コト 「一大事〜!」
ミー 「…仲良くね。」
マイ 「勉強より自信ない…」

照明変わり、全員ハケる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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