△ 「悩める王子の惑星」シーン51


トップページ > ページシアター > 悩める王子の惑星 > シーン51 【公演データ

<前一覧次>

明転すると城の前の広場。グラマンとファルコが出て来る。

ファルコ 「調査官に復職するんだって?」写真
グラマン 「ああ、って言うか元々辞めてないって。」
ファルコ 「そうだったな。」
グラマン 「お前だって。」
ファルコ 「俺は残る。ライトの墓もあるし。」
グラマン 「そうか。」
ファルコ 「それにここ、本当に住み心地いいからな。」
グラマン 「ああ。」

コルセア、シュミット、ベル、ミル、メリールー出て来る。

コルセア 「間に合ったな。」
シュミット 「グラマン。チヌークは?」
グラマン 「調査団の到着まで警察が預かっている。相当痩せたみたいだ。」
コルセア 「え?あれ以上痩せたのか?」
ミル 「ハヤブサ君は?」
グラマン 「他の特攻兵2人と一緒に保護している。しばらくはこの星で休養してもらうつもりだ。」
ベル 「なに?気になるの?」
ミル 「やめてよベル姉ちゃん!」

ミル、ベルを叩く

ベル 「痛っ!え?何?図星?」

ランセント、シャーロット、出て来る。

ランセント 「シャーロット、この後お茶しない?」
シャーロット 「いいわよ。」
ランセント 「やっぱり…え?!いいの?!やった!」
シャーロット 「ホントわかり易い。」

クレセント、国王、レーセン、ダグラス出て来る。

グラマン 「ダグラス、大臣昇進おめでとう。」
ダグラス 「ありがとう。ま、やる事はあまりかわらないがな。」
クレセント 「3人は?」
グラマン 「それがまだ…あ、来ました。」

ライム、ジャスミン、アーモンド出て来る。ライム、まだ服がそのまま。

ライム 「遅くなって申し訳ない。」
ベル 「結局その格好?」
ジャスミン 「かなり気に入ってるわよ。」
ライム 「うるさいよ。」
アーモンド 「これで全員?」
クレセント 「いや、あと二人。」

ニルス、何かを抱えて入って来る。

ニルス 「遅れてすみませんです!」
アーモンド 「ニルス!何それ?」
ニルス 「ああ、これ、カーティスさんですよ。よっこいしょ。」写真

ニルスが抱えていた物を台に置くと、それは首だけのカーティスにカニの足がはえた姿。

カーティス 「ニルス!その持ち方は息苦しいって。」
ニルス 「ああ、すみません!」
アーモンド 「うわ!何これ?!」
カーティス 「これとか言うなコラ!」
ニルス 「我々クカーコ星人の元の姿です。」
アーモンド 「カニじゃん。」
ニルス 「ま、地球人から見たらカニみたいですよね。」
ジャスミン 「だからカニが食べられなかったんだ。」
ニルス 「なんか、共食いっぽいんでね。」
カーティス 「あー肩凝った。」
ニルス 「え?肩ってどこ?」
カーティス 「早く新しい体もらわねーと。」
ニルス 「今度はもっとカッコいいのにして下さいよ。そしたらわたくし、女の子になっても…」
カーティス 「え?え?今何て?」
ニルス 「なんでもないです。」
カーティス 「え?でも今女の子って…」

ニルス、カーティスを持ってグラグラ揺らす。

ニルス 「わあもう何でもないで!すって!」
カーティス 「わあ!やめろニルス!ミソ出るから!ミソ出るから!」
ニルス 「あ、ごめんなさい。」
クレセント 「全員揃いましたね。」
ライム 「わざわざ見送りご苦労。」
ジャスミン 「ほんとにいいの?エッグもらっちゃって?」写真
クレセント 「ええ。これからは残りのエッグを、この星だけではなく銀河の平和の為に使ってもらおうと思っています。」
ジャスミン 「顔つきが変わったわね。」
クレセント 「そうですか?」
ジャスミン 「もう悩める王子じゃない。」
クレセント 「ははは。それはきっとみんなのお陰です。」
国王 「色々すまなかったな。」
アーモンド 「こちらこそ、コックさんとか言っちゃってごめんなさい。」
国王 「それ初耳。」
アーモンド 「あ、しまった。」
ジャスミン 「国を治めるって大変な事だけど、今の王子なら出来そうね。」
クレセント 「励みます。ウォルドもついてますから。」
ジャスミン 「そうね。」

ジャスミン、クレセント、うなずき微笑む。

ジャスミン 「それじゃ、皆さんお元気で!」
ライム 「忘れるな、お前らの容疑はまだ晴れてないんだからな。」
ジャスミン 「はいはい。」

みんな口々に別れの挨拶。ライム、ジャスミン、エッグに乗る。

アーモンド 「お幸せに。」
クレセント 「ありがとう。」

アーモンドも乗り込む。エッグが飛び立つ音。みんな手を振って見送る。

国王 「さ、新たな気持ちで国造りだな。」
レーセン 「疎開組も帰ってきますし。」
クレセント 「あ、そうだ、思い出した。メリールー。」
メリールー 「はい。」

クレセントメリールーの前に行く。何やら箱の様な物を出す。

クレセント 「君にプレゼントがあるんだ。」
カーティス 「え?おい、もしかしてそれって…」
ニルス 「え?あれでしょうか?あれでしょうか?」

みんな期待して集まる。

クレセント 「ごめん!…多分みんなの期待してる物じゃないです。」
ニルス 「なんだ、あれじゃないんだ…」
クレセント 「でも。…はい、どうぞ。」

クレセント、メリールーに箱を差し出す。

メリールー 「これって…」写真

メリールー箱を開けて中身を取り出す。

メリールー 「私のメガネ!」
クレセント 「ランセントに頼んで、チェアビットに疎開したメガネ屋さんに寄ってもらったんだ。」
ランセント 「ちゃんと直してとってあったよ。」
メリールー 「かけてもらってもいいですか?」
クレセント 「ええ。」

メリールー、クレセントにメガネを渡す。

クレセント 「では、目をつぶって下さい。」
メリールー 「はい。」

クレセント、メリールーにメガネをかける。

クレセント 「3、2、1で目を開いて。」
メリールー 「はい。」
全員 「3、2、1!」

メリールー目を開き、王子を見る。間。メリールー泣き出す。みんな緊張。

クレセント 「え?…もしかして…幻滅したかい?」
メリールー 「…いえ、嬉しくて…」

みんなホッとする。

メリールー 「でも…あなたが見えても見えなくても…」
全員 「私の気持ちはかわりません!」
メリールー 「え?」
クレセント 「答えも見え見えでしたね。」
メリールー 「ええ。」

みんな楽しそうに笑い合う中照明が落ちて行く。暗転。

(作:松本じんや/写真:関口空子・はらでぃ)

<前一覧次>


トップページ > ページシアター > 悩める王子の惑星 > シーン51 【公演データ