△ 「悩める王子の惑星」シーン36


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上手側の明りがつくと、クレセント力なく現れ、イスに腰掛ける。

ダグラス 「王子。ダグラスです。」
クレセント 「どうぞ。」
ダグラス 「城内の者には伝えました。発表は国王陛下からされるそうです。」
クレセント 「ダグラス、僕の決断は…」
ダグラス 「くじ引き。現状では最善の手段だったと存じます。」
クレセント 「残される人々に納得してもらえるだろうか?」写真
ダグラス 「私は残ります。」
クレセント 「え?」
ダグラス 「失礼ながら、ここからは幼馴染みとしてお話しても宜しいでしょうか?」
クレセント 「…ああ。」
ダグラス 「クレセント。今の俺があるのは国王のお陰だ。両親が死んだ後拾ってもらい仕事まで頂き、こうして副大臣にまで。一人でも多く国民を守る。それが俺から国王への恩返しだ。だから…救命船には乗らない。」
クレセント 「ダグラス。僕も国民を…」
ダグラス 「お前は俺とは違う。国民だけではなくこの国の存在自体を守らなければならない。お前はエッグに乗れる。国民と一緒に疎開しろ。そして国の命をつないでくれ。」
クレセント 「ダグラス…」
ダグラス 「時間ですので失礼致します、王子。」

ダグラス、ハケる。クレセント、何かを決意する表情。外からランセントの声。

ランセント 「兄さん、入るよ。」
クレセント 「どうぞ。」

ランセント、入って来る。

ランセント 「聞いたよ。くじ引きだって?」
クレセント 「ああ。」

ランセント、手紙をクレセントに差し出す。

ランセント 「はい。」
クレセント 「これは?」
ランセント 「メリールーから預かった。」
クレセント 「え?」

上手側の明りが消える。

(作:松本じんや/写真:関口空子)

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