△ 「悩める王子の惑星」シーン37


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下手側の明りがつくと、コルセア一家が揃っている。

コルセア 「ああ、そうだ。お前の本当の両親は…ジモラス人だ。事故でこの星に不時着した宇宙船に乗っていた。」
シュミット 「たまたま近くに居合わせた私達夫婦が救助したの。でも助かったのは赤ん坊のあなただけ。目は治してあげられなかったけど…」
コルセア 「そして当時子どもの居なかった俺達がお前を引き取った。ジモラスと戦争になるずっと前だったが、あの星とは何百年も仲が悪かったからな。その事は周りの人間にも、お前にも黙っていた。」
メリールー 「でも、ベルもミルも…」
シュミット 「二人にも黙ってたんだけど、ミルは自分の透視能力であなたの血を知ってしまったの。」
ミル 「ごめんなさい…でも私、どうしたら良いか分からなくって…」
ベル 「真っ先に私に相談してくれたの…」
コルセア 「黙っていた事は本当にすまなかった。(頭を下げる。)許してくれ。だが、父ちゃんはこう思ってる。血なんか関係ねえ。生まれた星が違おうが国同士の仲が悪かろうが関係ねえ。人と人とは魂で繋がれるんだ。誰が何と言おうと、お前はうちの家族!俺の娘だ!」
ベル 「私達のお姉ちゃんよ。」写真
ミル 「ルー姉ちゃん。」
メリールー 「みんな…」

シュミット、メリールーを抱きしめる。

シュミット 「大丈夫。今まで通り。今まで通りよ。」
メリールー 「お母ちゃん。」

メリールー浮かない顔になる。

シュミット 「不安?好きな人に伝える事。」
メリールー 「え?」
ベル 「知ってたの?」
シュミット 「私を誰だと思ってるの?あんたたちのお母ちゃんよ。」
メリールー 「お母ちゃん…」
シュミット 「想ってる事、ちゃんと相手に伝えなさい。それであなたをふる様な奴は、たいした男じゃないわ。」
メリールー 「うん…」
シュミット 「苦しいかもしれないけど、自分で何とかするしかないわよ。残念ながら恋のクスリはお母ちゃんでも作れないから。」
メリールー 「うん。」

外からファルコの声。

ファルコ 「誰かいるかい?」
コルセア 「ん?あの声は…」

ファルコ、出て来る。

ファルコ 「いたいた!」
コルセア 「おう、ファルコさん。どうした?」
ファルコ 「有線放送聞いたかい?国から緊急発表があるって。」
コルセア 「緊急発表?」
ファルコ 「2時間後に国民広場で。国王直々の発表だそうだ。」
シュミット 「国王直々に…」

暗転。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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