△ 「悩める王子の惑星」シーン14


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グラマンの運転する自動車。助手席にジャスミン。リアシートにアーモンド。軽快なオールディーズが流れる。

グラマン 「なるほど。あなた方の事情は分かりました。信用するかは別にして。」
ジャスミン 「期待もしてないけど。」
アーモンド 「見て見て!ここの町並み、大昔の映画とかテーマパークでしか見た事ないや。」
グラマン 「1950年代のアメリカ風の町並みらしい。生活雑貨も全てその時代風だ。」
アーモンド 「千年以上前の地球かぁ。この車も、ガソリンとかいう燃料で走ってたやつでしょ?」
グラマン 「燃料はソルティーガス。」写真
アーモンド 「さっきのシュミットさんが開発したやつだ。」
グラマン 「ああ。排気ガスは一切出ない。」
ジャスミン 「さっきとは町の人の様子も大分違う。」
グラマン 「町には当時の歌が流れ、空襲がおさまれば人々は明るく陽気な暮らしに戻る。」
ジャスミン 「この国の方針?」
グラマン 「いや。ここにいるとなぜか自然とそうしたくなる。」
アーモンド 「ブームとかじゃなくて?」
グラマン 「700年も続くブームがあるか?」
アーモンド 「えーっ!700年もこんな感じなんだ…」
グラマン 「聞いてた様子と違うだろ。」
ジャスミン 「…ええ。銀河じゅう、この星が悪者だと思ってるわね。」
グラマン 「この星が銀河でクーデターを起こそうとしている様にみえるか?」
ジャスミン 「いいえ。」
グラマン 「クーデターどころか、飛んで来るミサイルを撃ち落とす「防御の戦い」しかしていない。」
アーモンド 「あのタクティカルエッグは凄い兵器だけど。」
グラマン 「ジモラスはあのエッグが欲しいだけ。あるいは…」
ジャスミン 「あるいは?」
グラマン 「この星は内部構造が不明だと言う事は?」
アーモンド 「知ってるよ。地下1万メートルより深い部分はどんな機械でもスキャンできない謎の惑星なんだよね。」
グラマン 「スキャンどころか、どんなドリルも刃が立たない未知の物質で覆われている。」
アーモンド 「あ、わかった!ジモラスはその物質もほしいんだ!」
グラマン 「そう、我々を倒して惑星ごと奪う気だ。わかりやすい戦争だ。」
ジャスミン 「銀河連合の調査団は?」
グラマン 「開戦から5年。何度も邪魔が入り辿りつけない。たった二人、俺と相棒を除いては。」
アーモンド 「え?!グラマンさん銀河連合の人なの?!」
グラマン 「3年前に命からがら辿り着いたが、結局この星からは出られなくなり、俺は警察官に。」
アーモンド 「相棒さんは?」
グラマン 「一般市民。」
ジャスミン 「外との通信はできないの?」
グラマン 「唯一、エッグの中からだけは通信可能だ。」
ジャスミン 「それで実状を報告すれば…」
グラマン 「無駄だ。全てもみ消される。ジモラスの奴らに。」
アーモンド 「むかつくなあ。」
グラマン 「そんな現状をふまえての本題だが…」

車、停車する。

グラマン 「降りてくれ、そこの店で話そう。」写真

3人、車から降り、店に向かう

アーモンド 「ダイナー&バー『ライトフライヤー』。やっとご飯食べられる!…ん?」

アーモンド、急に寒気を感じる。

ジャスミン 「なに?」
アーモンド 「なんか…体が変…」
ジャスミン 「大丈夫?」
アーモンド 「多分…お腹の減り過ぎかな?」
ジャスミン 「入りましょう。」

3人、ハケる。

(作:松本じんや/写真:関口空子・はらでぃ)

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