△ 「心海のサブマリナー」シーン28


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みんなコックピットに集まるが、光彦と有沢は、気まずい感じ。

まほろば 「ほおずきさん。聞かせて頂きましょうか?」
ほおずき 「よござんす。手口はこれでありんす。」

ほおずき、○ッピーターンを掲げる。

まほろば 「○ッピーターン?」写真
ほおずき 「正確には違うでありんす。」
まほろば 「は?」

布施が袋を出す。

布施 「読んでみて下さい。」
まほろば 「え?○ッピーターン…」
布施 「良く見て正確に!」
まほろば 「え?ハッピーター…ソ?あ!ンじゃなくてソですねこれ!」
ほおずき 「そうでありんす。こいつは魔族が作ったもの。こいつの粉に魔族の薬が混ざってたんでありんす。」
根本 「魔族の薬?」
ほおずき 「そしてこっちが、わちが作った解毒剤。」

ほおずき、○アラのマーチっぽい箱を出す。

まほろば 「これは、コアラの…アーチだ。」
ほおずき 「ちょいと前から、みなはんの食べた物をこっそりチェックさせてもらいなんした。そしたらみなはん、共通で食べたものが一つだけありんした。」
石川 「それがこの、ハッピーターソ。」
ほおずき 「そこで、このコアラのアーチを布施はんに食べさそう思うてあげたら…」
布施 「あ、神くんにあげた。」
光彦 「あ、○ッピーターンの後食べた。」
ほおずき 「そう、そしたら案の定、神はんは暴れ出さなかったでありんす。」
川藤 「それでみんなに食べさせたって訳です。」
光彦 「え?おれ実験台?」
有沢 「川藤の超能力は?」
ほおずき 「ハッピーターソの副作用でありんした。」
川藤 「生前超能力があった人は、これ食うとこの世界でも使えるようになるみたいです。」
有沢 「え?じゃ、コアラのアーチは…」
川藤 「今食べましたからもう能力は消えました。さっきは使えましたが、実は暴れ出す可能性もあったんです。」
ほおずき 「賭けでありんした。」
まほろば 「いつからこんな事を?」
ほおずき 「ポセイドンに転勤になった時からでありんす。」
根本 「とにかく、これで解決です。ほおずきさん、大手柄です!」
ほおずき 「ありがとなんし。さ、帰りんしょ!」

みんな、喜んで持ち場に戻ろうとする。

まほろば 「ちょっと待って下さい、まだ検証が…。」
ほおずき 「検証はいりやせん。さ、帰りんしょ!」
まほろば 「いらないって…あなたに決める権限はありませんよ。」写真
ほおずき 「ありんす。」
まほろば 「ありません。」
ほおずき 「ありんす。」
まほろば 「ありんせん。あ、移った。」
ほおずき 「ああもう。しかたないでありんすね。」

ほおずき、指を鳴らす。

まほろば 「え?あ…」
根本 「どうしました?」
まほろば 「心のブロックが消えました。」
ほおずき 「かけたのはわちきでありんす。」
まほろば 「ばかな。あなたにそんなことができるはずが…え…」

まほろば、ささがに、ほおずきをマジマジと見て絶句し、悲鳴をあげてものすごい勢いで下がる。

まほ・ささ 「ひええええええ〜っっ!!!!」
石川 「なんだ?どうした?」
まほろば 「あ、あ、あなたは!!」
ささがに 「なんでここにいらっしゃるのねん?!!」
根本 「え?誰?何者なんですか?ほおずきさん?」
まほろば 「ほおずきさんは…え、閻魔の娘です!!」
クルー 「閻魔の娘?!!」
光彦 「閻魔って、閻魔大王?」
ほおずき 「まほろばはんごめんなんし。神様とは別に父上も調査してたでありんすよ。」
根本 「じゃ、元花魁って言うのは…」
ほおずき 「それはほんとでありんす。死んでから父上の魂を分けてもらいなんした。」
まほろば 「し、しかし、百年もここにいて私が知らない訳が…」
ほおずき 「知ってはりなんしたが、父上に頼んで記憶を決してもらったでありんす。」
まほろば 「私の記憶を?」
ほおずき 「知った人全員の記憶をでありんす。まいりやんしたか?」
まほろば 「まいり…ました。」
根本 「ほおずきさん。」
ほおずき 「はい。」
根本 「かっこいい。」
ほおずき 「ありがとなんし。さ、帰りんしょ。」
石川 「総員配置につけ!」

総員配置に戻る。

岡田 「手動操舵に切り替え。心深度40。」
根本 「海面の氷はどうなりました?」
岡田 「全て解けています。それどころか、海水温が上がっています。」
石川 「海水温が?」
根本 「熱い刑事魂に火がつきましたかね?マインドソナー!…を、頼んでも宜しいでしょうか…」
ほおずき 「今まで通りでお願いしやす。」
根本 「はい、では。マインドソナー!倉内の心の現在地は?」
ほおずき 「かなり動きました!冷静と情熱の間くらいです!」

倉内出て来る。

石川 「今後の倉内の運命が相当変わったんじゃ?」
根本 「まほろばさんわかりますか?」
まほろば 「え?(ipadを出し)倉内の運命…ああ、変わりましたね。明日死にます。」
クルー 「ええっ?!」
光彦 「明日、死ぬって…」
石川 「守護霊からの依頼は?」
まほろば 「ありません。あきらめられたようです。」
石川 「そんな…」
光彦 「明日死ぬんじゃ、おれたちがこんなに苦労して助けた意味がないじゃないか!」
まほろば 「みなさんのミッションは終わったんですよ。」

みんな重い空気。

まほろば 「大成功じゃないですか。しかも大手柄だ。とんでもないポイントが手に入ったんですよ。紀之さんも有沢さんも無事に天国行きです。他の方もマイナスはほとんどなくなったじゃないですか!」
ほおずき 「まほろばはん。」
まほろば 「はい。」
ほおずき 「ちいと口を閉じてくんなまし。」
まほろば 「あ…はい…」写真
ささがに 「怒られたのね〜。」

まほろば、ささがにを睨む。

根本 「みんなすまん。残念だがどうする事も出来ない…。今我々がすべき事は、無事に帰ってしっかり休む事だ。艦の損傷は?」
岡田 「約35パーセントです。」
根本 「進むのがやっとってとこですね。このまま浮上し、真っすぐ帰還です。」
岡田 「ようそろー。」

コックピットのメンバーを残して全員去る。人一倍暗い様子の石川。

根本 「岡田くん。ここ宜しく。」
岡田 「はい。」
根本 「石川くん。ちょっと。」
石川 「え?…はい…」

根本、石川ハケる。ささがにがニヤニヤ。

ささがに 「もう心が読めるからわかるのね〜。」
まほろば 「嫌な予感がします。」
ささがに 「いい予感がするのね〜。」

反対側の端に、根本と石川が出て来る。

根本 「なんですって?倉内が?」
石川 「ええ、間違いありません。海水に触れてはっきり分かりました。彼は生まれ代わりです。息子のとびすけの…」

紀之が後ろを通りかかる。二人の話が耳に入り、立ち止まる。

根本 「石川くん…」
石川 「今度こそ助けてやりたい…」
根本 「しかし…」
石川 「わかってます。…わかってます…。」

根本、言葉が出ず、石川の肩に手をおく。紀之は事情を察し、去る。暗転。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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