△ 「あげぞこ先生」シーン18


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見せ暗転が明けると教室。中央に上底、脇に服部、端に宇崎がいる。

上底 「ってな訳でせっかく今日から教育実習生のぴょんこちゃんが来てくれたっていうのに、真也と望はいきなり職員室で説教くらっちゃってま〜す。」写真

上底、教室の奥を見て驚く。

上底 「ん?…うわっ!あれっ?!真也、望!いつからそこに?え?畑先生と内田先生に送って貰った?え?どこよ?」

上底、きょろきょろする。

服部 「テレポーテーションです。畑先生と内田先生が職員室から送ったんです。」
上底 「え?授業中は超能力禁止じゃないの?」
服部 「緊急時は使えます。先生達は後から歩いて来ます。」
上底 「堅いんだか柔らかいんだかよくわからないな。真也、望、お前ら校舎裏でタバコでも吸ってたか?ま、ちょっと悪い事してみたいお年頃ではあるよねぇ。でもいいか、お前らよく聞け!吸うなら、バレない様に吸え!」

服部、出席簿で上底の頭をはたく。

上底 「いてっ!」
服部 「喫煙肯定はアウトです。」
上底 「ジョークでしょうが、ジョーク。」

服部、首を横に振る。

上底 「アウトねぇ…。でもな、お前らの気持ちは良〜くわかる。先生も若いときゃ〜相当悪かったからなぁ。」
服部 「頭がですか?」
上底 「ん〜…言うね、服部ちゃん。」
宇崎 「なるほど。」
上底 「そこで納得しない。え?…タバコじゃない?じゃなに?あれか?エロ本か?うん、その気持ちも良〜くわかる。先生も若いときゃ〜相当エロ…」

服部、出席簿で上底の頭をはたく。

上底 「いてっ!だから出席簿をハリセンにするのは…」

服部、首を横に振る。

上底 「…アウト?」

服部、首を縦に振る。

上底 「アウトねぇ。え?エロ本でもない?じゃお前ら何やったのよ?え?パイロキネシスで火遊び?お前達発火能力持ってんのか?え?それは真也の方?望は?アクアキネシス?液体操作能力か。で?火と水とどっちが強いか試してた?あちゃ〜、いくら休み時間でもそりゃやっちゃ駄目だなぁ…」
宇崎 「絶対駄目!」
上底 「え?」
宇崎 「…小さい火を持つ者は…いずれ大きな火を求め…やがて自分も焼尽す…。そうですよね服部先生?先生からもあの子達に言ってあげて下さいよ!あの時みたいに!」

服部、黙っている。

宇崎 「先生…」

副校長を先頭に、畑、内田、瀬名、福来兄弟が教室をのぞきに来る。

副校長 「あの子達にはちゃんとお説教しましたから大丈夫ですよ。」
宇崎 「副校長先生…」
上底 「ま、説教ばかりじゃ気も滅入るよな。君達はとにかく我慢我慢の毎日だ。たまには癒されたいよな?そんな時どうする?そう、歌だ。そのために僕は歌を作るのさ。」
直也 「無理矢理だね」
福来 「無理矢理だ。」
上底 「歌はいつでもい癒してくれる。じゃいつ歌う?!…今でしょ。」

上底、ギターを手に取る。

上底 「今日は、先日天国に旅立ったさっちゃんちのハムスター、ハム太朗くんに歌を作って来た。みんな、「千の風になって」って歌知ってるかい?え?やっぱり知らないか。先生あの歌を聴くとさ…お墓参りに行かなくてもいいか…って気になっちゃうんだよね…」

服部と宇崎が上底を睨む。

上底 「違う違う。ハム太朗は、いつでもさっちゃんのそばにいるぞっ、っことさ。それじゃ聞いて下さい。最新ナンバーで、「とっとこ風になって」

♪私の〜走るよハム太朗〜…」
服部、出席簿の角で上底の頭を叩く。

上底 「いった!角!角!角はだめ!たたたた…(頭を抑えていた手を見て)あ…血が!」
服部 「え?」
上底 「なんつってウソぴょ〜ん!…あ…」
職員達 「あ…」
服部 「ウソは駄目だああああっ!!」

職員たち、頭を抱える。

瀬名 「もぉ学習してよ…」
服部 「生徒の前でウソをつくなああああっ!!!」
上底 「もお服部ちゃんすぐ沸騰しちゃうんんだから。ティファールティファール。」
宇崎 「ティファール…」写真
副校長 「昔は「瞬間湯沸かし器」って言ったのよ。」
上底 「今のはなんての?ついていいウソの範疇っての?…」
服部 「ついていいウソだあっ?ついていいウソなんかない!あるかもしれないけど絶対ないんだああああ!!」
上底 「怒らない怒らない。うちらコンビなんだからさ、服部ちゃん。あ、はったりちゃんってのはどうよ?」
服部 「はったりちゃん?」
上底 「上底にはったり。なんか似た感じじゃん?」
瀬名 「教師としてはどうか?」
服部 「私ははったりじゃない!服部だ!大体上底もはったりも、ウソの仲間だろ!ウソはだめだああああっ!」
上底 「ああもう落ち着いてって、ホラ生徒たちも怯えてるじゃないですか。」

全員で生徒の方を見て沈黙。

副校長 「…何て事でしょう…子ども達の心が…」
瀬名 「心が?」
副校長 「…心が…癒されています!」
みんな 「え〜〜〜〜っ?!!」

上底、途中から自慢げな態度。みんなは首を傾げたり、呆然としたり。ゆっくり見せ暗転。全員ハケる。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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