△ 「あげぞこ先生」シーン17


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見せ暗転が終わると、向き合って座る御厨と瀬名を中心に、副校長と浜崎が脇に立っている。一番奥に警官が立っている。
浜崎、手帳にメモをしながら聞いている。

御厨 「あんたの聴覚と声の仕組みはわかったが、まだ何かデータにない能力を隠してるだろ?」写真
瀬名 「さあ?そちらのデータに何が載っているか知りませんから。」

浜崎、クスクス笑う。御厨が浜崎を見ると。浜崎は真面目な顔に戻る。今度は瀬名がクスクス笑い出し、御厨が顔を戻すと瀬名は真面目な顔に戻る。

御厨 「あんた以外の人間にも聴取や聞き込みをした。鑑識の調べでは建物の破損…」
浜崎 「あ〜!あ〜!」
御厨 「何だ?!」
浜崎 「しゃべるの速いです。もっとゆっくり。」
御厨 「お前記録担当だろう?」
浜崎 「仕方ないでしょ。レコーダー使えないんですからっ。進めて進めて。」
御厨 「ったく…で、どこまで話した?」
瀬名 「鑑識の調べでは…」
御厨 「ああ、そうだ。鑑識の調べでは建物の破損の仕方は火薬でも熱でもなく、ガス爆発に似たエネルギーによるものだそうだ。しかし勿論現場からは…」
浜崎 「ゆっくり!」

御厨、ため息をつき、多少ゆっくりしゃべる。

御厨 「現場からは、ガスやその類いの成分は検出されていない。あの現場にいた人間で念動力の能力者は?」
瀬名 「全員です。」
御厨 「全員?」
副校長 「我々の能力は一人に一つずつという訳ではありません。」
御厨 「複数の能力を持っているのか?」
校長 「その中でどれか一つ、他より高い能力を持っているというのが通常です。」
瀬名 「普通の人間と同じです。勉強の得意な子もいれば、スポーツの得意な子もいる。絵の得意な子、歌の得意な子。」
御厨 「念動力で物を破壊するのが得意な子は?」
瀬名 「…わかりません。」
御厨 「わからない?子どもの事は何でも知ってるんじゃ?」
瀬名 「未知数だといっているんです。」
御厨 「あ?」
瀬名 「能力が急に高まる事はあります。」
校長 「でも、あれだけのエネルギーを持った子なんてうちには…」
御厨 「記憶操作の能力がある奴は?」
瀬名 「私の知る限りではいません。」
御厨 「いるはずなんだよ。全員の記憶を消した奴が。そしてそいつだけ、記憶が無い振りをしてる。」
瀬名 「もし私にそんな力があれば、」

瀬名、御厨を睨み、そして微笑み、

瀬名 「あなたの記憶を消してます。」
御厨 「…まあいい。浜崎。次の聴取だ。」
浜崎 「はい。」

御厨、無言で立ち去る。浜崎も去ろうとしながら

浜崎 「ほんとすみません!」
瀬名 「あ、紗綾ちゃん、今夜もあの店で飲むけどどう?」
浜崎 「まじすか?!行きます行きます!」

奥から御厨の声。

御厨 「浜崎!」写真
浜崎 「行きます行きます。じゃ、失礼。」

浜崎が去るのと入れ違いで福来兄弟が入って来る。

福来 「副校長先生、北野と鵺野が休み時間にまた校舎の裏で…」
副校長 「あらあら。」
瀬名 「またあいつらか…上底先生達は?」
直也 「実習生がいるんで授業優先で。北野と鵺野は職員室で内田先生がみてます。」
副校長 「わかりました。では参りマショウ。」

全員ハケる。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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