△ 「あげぞこ先生」シーン7


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字幕「校庭 朝礼」
校庭。畑と服部とが立っている。そこに瀬名が入って来る。

「どうだった?」写真
瀬名 「久々にはらわた煮えくり返りました。」
「まじで?…あ…」

内田を先頭に上底、福来兄弟が入って来る。上底、向かい側の畑たちに会釈。上底、子ども達に気付く。

上底 「お、あれが生徒たち?。」
福来 「ええ、学年で言うと小4から中3まで、ここでは同じ1クラスです。男子6名女子6名の12名ですが、例の件で怪我をした子が一人入院中。もう一人が病気で入院中なんで今は10名。この学校の全校生徒です。」
上底 「例の件って、学級崩壊でしょ?全然そんな子達には見えないなぁ。ちゃんと並んでるし。」
福来 「ええ。だから我々にも、どうしてあんなことが起こったのか、さっぱり…」
上底 「へえ…。さ〜て、どんな挨拶かまそうかな?見せ場見せ場。あ、さっき、校長が女性だって言ってたけど、どんな人よ?」
福来 「校長も副校長も女性ですよ。」
上底 「ふぇ?二人とも?」
直也 「しかも親子。」
上底 「ええっ?!母と娘で校長副校長?」
福来 「ちなみに、副校長は「マショウの女」って言われてます。」
上底 「まっ、魔性の女?!副校長なのに魔性の女?!ちょ、それって…」
福来 「今までと食いつきが違いますね。あ、いらっしゃいました。」
上底 「え?え?」

校長と副校長が登場。上底、七瀬を見て、

上底 「あのこが?!え?全然そんな感じしないぞ!待てよ、そっちの方がそそるか?うん、そそるね!OKOK!」
福来 「あの、違います。あっち。」

福来、麻里子を指差す。

上底 「あっち?…あ、あっちって?え、あっちが魔性の?…いや、ないない!ありえないって!第一あっちが副校長なら、娘の方が校長って事に…」
福来 「すぐにわかります。副校長のお話を聞けば。」
上底 「え?」

副校長、前に出て来てお言葉。

副校長 「お待たせしてごめんなさいね。それでは朝礼、始め…マショウ。」
上底 「ん?」
副校長 「仲良くしマショウ。学びマショウ。今日も元気に過ごしマショウ。」
上底 「マショウマショウって…まさか…」
福来 「マショウの女です。」
上底 「それ詐欺じゃん。」写真
副校長 「それでは歌いマショウ。校歌斉唱。」

全員で校歌を歌うが、上底は知らないので適当に歌う。みんな迷惑そうに上底をチラ見するが、上底は満足そう。

副校長 「はい、それでは校長先生のお話を聞きマショウ。」
校長 「おはようございます。」
校長以外 「おはようございます。」
校長 「実は先程、例の件で本庁から警察の方が見えて少々お話をしました。恐らく、皆さんも色々と聞かれる事があると思いますが、呉々もここでの教えに反する事無く…」

突然、御厨が入って来る。

御厨 「その教えってのは、一般人を超能力で傷つけるなって事ですか?」

御厨、中心へ

浜崎 「ちょっと御厨さん!」
御厨 「警視庁公安部八課の御厨だ。」
「あいつ?」
瀬名 「ええ。」
御厨 「今時学級崩壊なんて珍しい話じゃない。だがこの島で起きれば意味が違ってくる。実際ケガ人や意識不明者が出ている。これは立派な事件だ。事件の真相次第では、あんたたちの未来は…真っ暗だ。」
「子ども達の前でなんて事を…」
御厨 「我々は真相を突き止めるために手段を選ぶつもりはない。お前たちは…普通の人間じゃないからな。」

教員たちが一斉に御厨を睨む。

直也 「あいつ…」写真

福来が直也を制する。次の瞬間「ブチッ」という音がして、御厨が鼻を押さえると鼻血が出ている。

浜崎 「あ!鼻血!」

教員たちも驚き周りを見回す。

御厨 「なるほど。こう来たか。誰がやった?」

瀬名が近づこうとすると御厨が手を向けて止まれの指示。

御厨 「お前の仕業か?」
瀬名 「は?(ため息)私は養護教諭ですよ。」

瀬名、ポケットティッシュを差し出す。

御厨 「さっきはどうやって声を消した?」
瀬名 「は?」
御厨 「どうやってお前の声だけレコーダーから消したんんだ?」
瀬名 「そんな能力は持っていません。」
御厨 「嘘をつくな。」
副校長 「嘘ではありません。説明は後で私がしマショウ。」
御厨 「近寄るな!バケモノが!」

教師たちが一斉に睨みつける。御厨、構える。

校長 「待って!」

校長、御厨の前に来る。

御厨 「なにか?」
校長 「いくら警察の方でも、今の言葉は度を過ぎています。みなさんに謝罪を。」
御厨 「フッ…同類の長として許せないってか。」
校長 「いえ。教育者としてです。」
御厨 「…あんたの化けの皮も、いずれ剥がしてやる。」

二人、しばし睨み合う。

浜崎 「あ〜!すみません!ほんっっとすみません!こいつあれです、バカなんです!さ、行きましょう。」

浜崎、御厨を引っ張って行く。

御厨 「おい今なんつった?」
浜崎 「行きましょうバカ。」
御厨 「貴様!」
瀬名 「あの、一つだけ宜しいですか?」
御厨 「…なんだ?」
瀬名 「一番好きな食べ物は何ですか?」
浜崎 「私はヤングコーンです。」
瀬名 「あなたじゃなくて、御厨さんの。」
浜崎 「あ〜、御厨さんは無類の…」
御厨 「答えるな!」
浜崎 「…はい。」
御厨 「質問はこっちの仕事。答えるのはお前らの方だ。」

御厨、去ろうとしてよろけ、直也が支える。

直也 「大丈夫ですか?」
御厨 「触るな!」

御厨去る。

浜崎 「ほんと、すみません。」

浜崎去る。

福来 「今まで来た公安の奴らもみんな嫌な奴だったけど…」
「あいつは単独トップ。2位と8馬身差はあるわ。」
直也 「瀬名先生。カレーライスです。」
瀬名 「グッジョブ。」
副校長 「さ、みなさん。戻りマショウ。」

校長、中心に戻る。

校長 「みなさん、お騒がせしてごめんなさい。今日の朝礼はここまでにします。」
上底 「え?え?僕の紹介は?」写真
校長 「上底さんですね。申し訳ないけど、子ども達がかなり動揺しています。ご紹介はホームルームの時に。」
上底 「え?ああ…」
副校長 「それでは朝礼を終わります。気を付け。礼。」

全員礼をしてみんなハケ始める。上底、うなっている。

上底 「ぼおおおお!」
福来 「上底さん?」
上底 「あの刑事…許せん…ぼおおおお!」
福来 「ですよね。」
上底 「ここは僕の見せ場だった訳ですよ。なのにあいつ全部おいしいとこ持って行っちゃって…酷いと思いません?酷いって言ってよ!ううう…」

上底、泣きながらハケる。福来兄弟も、ハケながらため息。照明変わる。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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