△ 「あげぞこ先生」シーン6


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車の走行音。見せ暗転が明けると、車を運転する福来直人、後部座席の上底友吉(あげぞこともきち)と福来直也(ふくらいなおや)がいる。

福来 「船酔い大丈夫ですか?」写真
上底 「もう全然。」
福来 「あ、ご紹介遅れましたが、僕、福来直人と言います。担当教科は…」
上底 「待って!当てて進ぜよう。」

上底、二人に手かざし。直人はYシャツ、ネクタイ、チョッキ姿。直也は上下ジャージに首からホイッスル。

上底 「わかった。(直人を指し)数学に(直也を指し)体育!」
福来・直也 「おお!」
上底 「楽勝!」
福来・直也 「おしい!」
上底 「え?うそ?」
福来 「体育です。」
直也 「数学です。」
上底 「逆じゃん!ってか、出で立ちまぎわらしいな!」
直也 「あ、僕、福来直也です。宜しく。」

直也、上底と握手する。

上底 「あ、ども。」

直也、握手したまま首をかしげる。

直也 「ん?」
上底 「ん?」
直也 「あ、いえ。」

直也、手を離す。

上底 「あれ?」
直也 「え?」
上底 「二人とも福来?」
福来・直也 「あ、兄弟です。」
上底 「あ、兄弟ね。で、どっちが…」
福来 「兄です。」
直也 「弟です。」
上底 「Oh!、福来Brothersね。発音良いでしょ?Brothers。さて僕の教科は?」
福来 「国語。」
上底 「Oh!何でわかった?!リーディング能力か?」
福来 「事前にお聞きしてます。」
上底 「何だよ、つまんないな。」
福来 「上底さんこそ、色々聞いた上で今回いらしたんじゃ?」
上底 「うん、なんか資料はもらったけど、こ〜んな分厚いんだもの。読む気しなくてね。」
福来 「え?読まずに来たんですか?」
上底 「元々説明書とか読むの苦手でね。」
直也 「あの。」
上底 「何?」
直也 「「あげぞこ」って本名ですか?」
福来 「直也、失礼だぞ。」
直也 「あ、ごめん、兄さん…」
上底 「本名本名。「上様」の「上」に「どん底」の「底」。」

車が激しくカーブし、急ブレーキと共に止まる。

上底 「おわっ!なになになに?!」
福来 「さ、着きましたよ。」
上底 「あ、着いたのね。結構個性的な駐車するね。」

車を停めて、三人外に出る。

上底 「おお、ここが新しい学び舎かぁ!うわぁ、景色もいいね!海が一望だ!」

内田が出て来る。

内田 「ども。」
上底 「あ、これはこれは校長先生!初めまして!」
内田 「あの…」
福来 「違います違います!」
上底 「え?」
福来 「この人は理科担当の内田先生。」
上底 「なんだ違うの?出で立ちまぎわらしい人ばっかだな。」
直也 「ここの校長は女性です。」
上底 「あ、そなの?」
直也 「それも知らないんですか?」
上底 「ま、行きゃわかるだろ的な?」
福来 「じゃ、行きましょうか。ちょうど朝礼の時間なんで。」
上底 「おうよ!」
内田 「どぞ。」写真

内田を先頭に歩き出す。が上底、すぐ止まり、

上底 「内田さん、下の名前は?」
内田 「長次郎です。」
上底 「じゃ、チョーさんだ。チョーさ〜ん!」
内田 「はい。」
上底 「違いますよ、チョーさんと言ったら「オィッス!」でしょうが!」
内田 「あ、はい。」
上底 「チョーさ〜ん!」
内田 「どぞ。」

内田、進んで行く。上底ついて行く。

上底 「うわ、手強いなぁ。チョーさん手強いっす。」

福来兄弟、内田と上底がハケて行くのを笑顔で見送るが、二人がハケきると、

直也 「…うざいね、兄さん。」
福来 「ああ、とてつもなく。で、どうだった?」
直也 「それが…カギがかかってて何も見えなかった。」
福来 「え?カギが?でもお前の力なら…」
直也 「カギ穴が…見つからなかった…」
福来 「なに?それじゃ…ああ見えてあなどれないってことか…」

二人、一度目を合わせ、上底を追ってハケる。照明が変わる。チャイムが鳴り出す。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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