△ 「あげぞこ先生」シーン3


トップページ > ページシアター > あげぞこ先生 > シーン3 【公演データ

<前一覧次>

字幕「巡視船「しきしま」船上」
ゆっくり明転すると、巡視船の舳先。ストップモーションで男が海上保安官に羽交い締めにされている。ストップモーションが解けると同時に
音楽が消え、船の航行音。照明も明るくなり、二人、もがきだす。

上底 「はなせって!」写真
保安官 「危ないですから。」
上底 「はなせって!」
保安官 「危ないですから。」
上底 「はなせって!」

ヘリが真上を通過する音。二人、動きを止め。

上底 「あ、ヘリコプター。」
保安官 「警視庁のですね。」

しばしの間。そして再び

保安官 「危ないですから。」
上底 「はなせって!」
保安官 「危ないですから。」
上底 「はなせって!わかったから!」

上底、保安官の腕を振りほどく。

保安官 「ここは立ち入り禁止です。すぐに船室に戻って下さい。」
上底 「も、ケチケチしなさんな!ここが一番景色を堪能できるし!風も気持ちいいし!だから歌うし!」

上底、ギターを出す。

保安官 「ちょちょちょ、何ですかこれは?」
上底 「ギター。」
保安官 「ギターは知ってます。どこから出したんですか?」
上底 「歌います!」
保安官 「駄目です。」

保安官、ギターを取りあげる。

上底 「ギター!」
保安官 「駄目です。」
上底 「も、堅い!堅いよ!…えっと…お名前は?」
保安官 「花村です。」
上底 「花村ちゃ〜ん!堅いって!」

上底、カッコつけて指差す。

上底 「ご覧!あれがこれから僕が赴任する夜頭島(よがしらじま)さ!」
保安官 「知ってます。」
上底 「あの島で沢山の子ども達が僕を待ってるんだ!そう思ったら、歌いたくもなるだろ?返せ。」
保安官 「駄目です。」
上底 「返せ。」
保安官 「駄目です。」

二人、しばし睨み合うが保安官はギターを返さない。上底、諦めて

上底 「待ってろよ生徒諸君!僕が来たからには、どんな問題も即解決さ!大船に乗ったつもりでおぉえぇぇ〜!」
保安官 「ちょっと?」
上底 「酔った…」
保安官 「今頃?」
上底 「おぉえぇぇぇぇ〜」
保安官 「ちょっと甲板に吐かないで下さいよ。」
上底 「なんか洗面器とか…」
保安官 「はい。」

ギターを差し出す。

上底 「サンキュうぉえええええって、ギター!」写真
保安官 「知ってます。」
上底 「僕のこれ!」
保安官 「知ってます。」
上底 「花園ちゃん、僕のこれ!」
保安官 「花村です。」

二人、ハケながら暗転して行き、オープニングの曲。
字幕「不等辺さんかく劇団プロデュース公演2012」「あげぞこ先生」「夜頭学園特殊学校 校長室」

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

<前一覧次>


トップページ > ページシアター > あげぞこ先生 > シーン3 【公演データ