「あげぞこ先生」シーン２ 「あげぞこ先生」シーン２トップページ > ページシアター > あげぞこ先生 > シーン2 【公演データ】
字幕「３年後 ２０２１年 ９月 小笠原諸島 上空」
字幕中からヘリの音が大きくなり、明転するとヘリの後部座席。公安の捜査官、御厨猛（みくりやたける）と、浜崎紗綾(はまさきさや)が座っている。
浜崎 「うわぁ、やっぱりこの辺まで来ると海が綺麗ですね。でもあの島にそんな秘密があるなんて…って事は放射性廃棄物の処理施設って…」
御厨 「存在しない。」
浜崎 「って事ですよね。」
御厨 「ああ。」
浜崎 「…イスラ・ヌブラル島。」
御厨 「あ？」
浜崎 「知りませんか？『ジュラシックパーク』の舞台になった島。なんかあの島に向かってる気分です。」
厨房 「浜崎。」
浜崎 「はい。」
御厨 「お前。ウキウキしてないか？」
浜崎 「いえ。あ、御厨さん、シートベルト、ロックされてませんよ！」
御厨 「あ？」
御厨、シートベルトをいじるが、ロックの仕方がわからない。
浜崎 「サム・ニール！」
御厨 「何？」
浜崎 「『ジュラシックパーク』の主人公も同じ事してました。」
御厨 「浜崎。」
浜崎 「はい。」
御厨 「ウキウキしてるだろ？」
浜崎 「いえ。」
御厨、結局ロックがわからず、最終的にシートベルトを結ぶ。
浜崎 「あ、それそれ！サム・ニール！」
御厨 「あ？」
浜崎 「結局ロックできなくてシートベルト結んじゃう！」
御厨 「浜崎。」
浜崎 「はい。」
御厨 「ウキウキ…」
浜崎 「してません。」
御厨、ため息。
御厨 「浜崎。あの島の住人をなめるな。下手すりゃ恐竜なんかよりも手強いぞ。」
浜崎 「とっくに覚悟はできてます。…あ、島が見えました。思ったより大きい。お？船だ。島に向かってる。」
御厨 「島に近づけるのは警視庁か自衛隊か…」
浜崎 「海保ですね。」
御厨 「海上保安庁か。情報は？」
浜崎 「入ってます。巡視船「しきしま」です。」
御厨 「こっちの任務とは無関係だな。」
浜崎 「海猿乗ってますかね？海猿。」
御厨 「浜崎…」
浜崎 「海猿〜お〜い！！海猿〜！…あれ？」
御厨 「なんだ？」
浜崎 「今、舳先に人が立ってました。」
御厨 「巡視船の舳先にか？」
浜崎 「二人で、しかも……タイタニックやってました。」
浜崎、ポーズで説明。
御厨 「フッ…ばかばかしい。」
浜崎 「いや、本当ですって！」
御厨 「嘘こくな。」
浜崎 「こいてません！」
御厨 「こいてるだろ。」
浜崎 「こいてません！」
ヘリの音が大きくなり、ゆっくり暗転。タイタニックの様な音楽が聞こえて来る。
（作：松本仁也／写真：はらでぃ）