△ 「時空の異邦人」シーン21


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タイムマシン、コックピット。瀬名は元気が無い。

瀬名 「…起きてしまった事は変えられない…か…」写真
大林 「瀬名さん?…駄目だマイナスモードだ。」
吉山 「到着点の誤差はどうです?」
大林 「制御装置がまだ不安定だから、到着時刻の誤差は5分。座標に関しては60キロだ」
吉山 「60キロ?下手すりゃ海じゃないですか?」
大林 「アウトしてからの修正が効く様に,高度を2000にセットした。とにかく到着まで後3分もかからんだろ。」
吉山 「順調にいってくれよぉ」
大林 「さて、ここで重要な話だ。我々の事故が本当に隣国のスパイによる人為的なものだとすると、無事に元の時間に帰れたとしても、決して油断はできない。」
吉山 「しかし、内部の人間でそんなことできる人って限られますよね。」
大林 「スパイは一人とは限らんぞ。」
吉山 「複数犯は厄介ですね。」
瀬名 「あ〜〜〜っ!!」
吉山 「なんですかいきなり?!」
瀬名 「我々が帰る時間は、出発時間から3分以内だよな?」
大林 「はい。」
瀬名 「我々が帰らず、サルベージ・ツーが出発するまでの時間は?」
大林 「2時間後です。」
瀬名 「サルベージ・ツーは間違いなく出発するんだよな?」
吉山 「出発してしまったから、あんなことに…」
瀬名 「ってことはだ、我々は出発してから3分以内どころか、2時間経っても研究所に帰れなかったってわけだ。」
吉山 「はい。多分到着座標の誤差60キロってとこがみそですよ。きっと今から我々が到着する場所から研究所まで2時間以上かかってしまうんですよ。」
瀬名 「2時間以内に辿り着いたとしたら?」
大林 「つまり,サルベージ・ツーの出発を阻止できればって話ですか?」
瀬名 「阻止できれば、みかんもかぶも死なずにすむ!」
大林 「阻止できたとしたら、我々が過去で体験した事がなかったことにになります。それはありえない。」写真
瀬名 「ありえないとは言い切れない。まだ誰もやった事がないんだ。もし我々が過去に行った事で、我々が戻る時間の何かが変わっていたとすれば、可能性はもっと高くなる!やってみる価値あるだろ?な、吉山。」
吉山 「ありえるとすれば、深町も…」
瀬名 「ああ!死なずにすむ!」
大林 「いいですか?我々の命も狙われてるかもしれないんですよ。あまり無茶な考えは…」

アラームがなる

大林 「間もなく到着です。」
吉山 「10秒前」
瀬名 「吉山は行くか?」
吉山 「ええ。5秒前、4.3、2、1、アウト!」

ドーンという衝撃音。

大林 「姿勢制御!」
瀬名 「GPS作動、さあ、ここはどこだ」
大林 「港区、港南。」
瀬名 「港区か。」
大林 「港南小学校のグラウンドに緊急着陸します。」
瀬名 「JR品川駅に近いな。降りたらすぐタクシー拾おう。時刻は?」
吉山 「20時33分」
大林 「着陸5秒前。4、3、2、1、ランディング。」

着陸時の揺れ。

瀬名 「よし、参るぞ!」
大林 「参るって…」
吉山 「大林さんは?」
大林 「誰かがボックスを守らなきゃならんだろ。」
吉山 「お願いします。」

瀬名、吉山はける。大林は別ハケ。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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