△ 「ヴァンパイア・ブリード」シーン32


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里子、ひまわり、ブラム、出て来る。

里子 「ここが第1展望台の最上階。」写真
ひまわり 「ここにも式場がないとすると…」
里子 「きっと第2展望台ね。ここから上は結界がないみたいだけど、あと60mは登らないと。」

ドック登場。

ドック 「献血にご協力下さ〜い。」
里子 「ひまわり。行って。」

ひまわり、うなづき先に進む。

ドック 「さっきはよくもハメてくれましたね。」
里子 「いえいえ、どういたしまして。」
ブラム 「オジョサン!!サガッチャテテクーダサイナァ!ココーワ、ワガーハイブラームサマガガトゥーン!ガトゥーン!テカンジーデェ…」

シュッ!という音がしてブラム何か飲み込む。

ブラム 「ンガッングッ…ZZZZZ…」

ブラム立ったまま寝てしまう。

里子 「ブラム?!」
ドック 「ヴァンパイア専用の睡眠薬です。」
里子 「薬使いのドックね?」
ドック 「はい。」
里子 「生憎私には薬を飲ませられないわ。」

里子、マスクをする。

ドック 「おお、考えましたね。しかたない。剣のお手合わせを。」

ドック、剣を出す。

里子 「刃の使い手をなめないでね。」

ドック、斬り掛かるが、すれ違い様に里子の手に何かつける。

里子 「今、何かつけた?」
ドック 「薬って飲み薬とは限りませんよ。」

ドック、キンカンのようなものを見せる。里子、急にかゆがる。

里子 「うわ、かゆっ!!なにこれかゆいかゆい!」
ドック 「こいつは『逆キンカン』一塗りで全身がかゆくなる。」
里子 「なんてもん作ってんのよ!!あ〜かゆ〜っ!」
ドック 「はい、ここで豆知識。痛みは我慢できても、かゆみは我慢できないものなんですって。全身かきむしって苦しんで死ねばいいんじゃない?」
里子 「くっそ!かい〜〜っ!!」

ダーク、飛び込んで来る。かなりへろへろ。ドックの前で倒れ込む。

ダーク 「ドック!助けてくれ〜〜っ!」
ドック 「ダーク?何やってんだお前?」

夏子現れる。

ダーク 「彼女、強過ぎる…」
里子 「薬使いよ!気をつけて!あ、かゆっ!」
ドック 「ああ、例のツンドラさんですね。」
里子 「塗り薬に気を付けて!あ、かゆっ!」
夏子 「塗り薬ですね。」
ドック 「もう一つ気をつけてね。」
夏子 「何を?」
ドック 「あなたの真上です。」
夏子 「え?」

夏子が上を向いた瞬間、シュッと音がして、夏子、何か飲み込む。

夏子 「んがっんぐっ…・しまった…あ!いたたたたた!」

夏子、頭痛に苦しむ。

ドック 「ひっかかりましたね。今度は飲み薬でした。」
夏子 「何よこれ!あ、いたたたたたた!!!」
ドック 「こいつは『逆バファリン』。成分の半分は頭痛を起こす薬。もう半分は『厳しさ』でできてます。」写真
ダーク 「助かったぜドック。わりぃけど連れてってくれ…」
ドック 「まったく。世話がやけるよお前には。」

ドック、ダークを背負って行こうとする。

里子 「いい事教えてあげるから、かゆみ止める薬くれない?」
ドック 「ほほう。なんでしょう?」
里子 「我々の仲間にヴァンパイアと妖怪のハーフってのがいるんだけど」
ドック 「そりゃめずらしい。」
里子 「そいつを鬼太朗さん達が、あんた達の中にスパイとして潜りこませてたの。」
ドック 「…なんだと?」
夏子 「ほら、何か聞こえない?」
ドック 「何かって…何が?」
夏子 「赤ん坊の鳴き声が。」
ドック 「赤ん坊?…」
ダーク 「おんぎゃ〜!おんぎゃ〜!」
ドック 「なにい?!ダーク?!お前…」
ダーク 「すんません、オレ、ヴァンパイアと子泣きじじいのハーフなんです。おんぎゃ〜!」
ドック 「こ…子泣きじじいだと?!」
ダーク 「『子泣き王子』って呼んで下さい。おんぎゃ〜!」
ドック 「おもっ!おま、おもっ!降りろ!降りてくれ!」
ダーク 「じゃ、みんなを治す薬を。」
ドック 「わかったやるから!つぶれるって!マジつぶれるって!」

ドック、みんなに薬を投げる。みんなキャッチして飲む。ブラムの分は里子が飲ませる。

里子 「助かった…」

たんぽぽ達、入って来る。

たんぽぽ 「ドック、これを見て。」

たんぽぽ、ドックのおでこに手をあてる。ダーク、ドックから降りる。

ドック 「…そんな…それじゃどうすりゃいいんだ?!助けてくれ!」
里子 「あなたの病気は?」
ドック 「オレは病気じゃない!」
里子 「え?じゃ、どうして…」
ドック 「娘が…うちの娘が結核なんだ!」
たんぽぽ 「娘さんが…」
ドック 「時間がないんだ!助けてくれ!お願いだ、娘を…」
たんぽぽ 「…助ける…絶対。」
ドール 「たんぽぽさん…」
たんぽぽ 「ダーク。ヴァンパイアのみんなを連れてタワーを降りて。。」
ダーク 「え?」
たんぽぽ 「日の出まで戦いが延びたらみんな死んでしまう。」
ダーク 「でもそれじゃあんたも…」
たんぽぽ 「私を誰だと思ってるの?」
ダーク 「…かっ…けぇ〜…みんな!降りるぜ!」

たんぽぽの前を横切る時、ドックは深いお辞儀を。ドールはハグを。フランクは声をかける。

フランク 「ご無事で…」

ヴァンパイアたちハケる。

里子 「後一息!行きましょう!」

里子、たんぽぽ、ブラム、ハケる。鬼太朗、他のメンバーを止める。

鬼太朗 「あずき、夏子、あげぱん!お前達に大事なミッションだ!」
夏子 「何です?」写真

鬼太朗、三人に耳打ち。

あずき 「え〜っ?!やんだぁ!ぜってぇやんだぁ!」
夏子 「どうする、あずき?」
あげぱん 「ぬんぬん!」
鬼太朗 「世界の運命がかかってるんだ!」
あずき 「でもぉ…でもぉ…」
鬼太朗 「四天王の椅子、やってもいいぞ。」
夏子 「先行ってるね!」

夏子、走り去る。

あげぱん 「ぬんぬ〜ん!」

あげぱん、走り去る。

鬼太朗 「どうする?」
あずき 「…・いぐ!」

あずき、去る。

鬼太朗 「頼んだぞ。」

鬼太朗、去る。暗転。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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