△ 「ヴァンパイア・ブリード」シーン26


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字幕『たんぽぽの記憶 1993年12月 小仏峠』明転。
月夜の山中。ターゲットを追い詰める疾風。

ターゲット1 「見逃してくれ!疾風!」
疾風 「残念だがそりゃ無理だ。」写真
ターゲット1 「人間なんてクソみてえなもんじゃねえか!殺して何が悪い!」
疾風 「掟は掟だ。」
ターゲット1 「(土下座)頼むこの通りだ!」
疾風 「観念しろ。」
ターゲット1 「うわあああ!」

ターゲット1、刀を振り回し、疾風の腕を斬る。

疾風 「うっ!」
ターゲット1 「うわあああ!」

ターゲット1、もう一太刀攻めるが、疾風に斬り捨てられる。

ターゲット1 「ぎゃああああ!」

ターゲット1消える。疾風、傷を気にする。

疾風 「チッ。」

疾風、去る。たんぽぽが出て来てターゲット2を追い詰める。

ターゲット2 「許して!お願い!」
たんぽぽ 「15人も殺しておいて許せるわけがない!」

たんぽぽ、斬り掛かるが、ターゲット2も刀で応戦。

ターゲット2 「私が殺したのは鹿狩りのハンターよ!あいつらだって同じ事してるじゃない!。」
たんぽぽ 「人間も掟を守って狩りをしている。」
ターゲット2 「あんただって人間が嫌いだって言ってたじゃない!」
たんぽぽ 「殺しはしない!」

たんぽぽ、ターゲット2の刀を払いのけ、斬り捨てる。

ターゲット2 「ぎゃああああああ!!」

そこへ疾風が現れる。

疾風 「やったか?」
たんぽぽ 「はい。…兄さん、その傷!」
疾風 「大した事は無い。カーミラは?」
たんぽぽ 「まだです。」

カーミラ奥から登場。

カーミラ 「疾風!大変よ!」
疾風 「どうしたカーミラ?!」
カーミラ 「人間の乗った車が我々の戦闘に巻き込まれて大破してます!」
疾風 「何?」

疾風、たんぽぽ、カーミラの元へ。

カーミラ 「あそこです!」

奥で炎が上がる音と光。

疾風 「まずい引火した!」

疾風、奥の車へ。

たんぽぽ 「兄さん!」
カーミラ 「あれじゃ生存者はいないわ。」
たんぽぽ 「でもどうして?近くの道は全て通行止めにしておいたのに。」
カーミラ 「きっと無理矢理入り込んで来たのよ。」

疾風、何かを抱えて戻って来る。

たんぽぽ 「兄さんそれは?」写真
疾風 「赤ん坊だ、まだ息がある。この子の両親は即死だ。」
カーミラ 「出血がひどいわ。もう助からない。」
疾風 「待て、これは我々が起こした事故だ。責任は隊長のオレにある。」
カーミラ 「違うわ、人間が勝手に入って来て…」
疾風 「この子を救う。」
カーミラ 「まさか、直接血を吸うんじゃ?!」
疾風 「他に方法はない!」
たんぽぽ 「そんなことしたら…」
疾風 「さっき、地獄落としの剣で傷を負った。この子の血を吸えば、その瞬間オレは地獄に落ちる。」
たんぽぽ 「1時間待てば傷は治る!」
疾風 「この子は1時間もたない!たとえもったとしても、お前達は掟を破ったオレを斬る義務がある。それができるのか?」
たんぽぽ 「できないよ…」
疾風 「たんぽぽ。オレたちヴァンパイアが人間を嫌うのは本能だ。だがオレはその人間に命を救われた。命は命だ。罪の無い者を殺す訳にはいかない。」
たんぽぽ 「兄さん!」
疾風 「この子を頼んだぞ。」

疾風、赤ん坊の血を吸い、消える。

たんぽぽ 「…兄さん…」

赤ん坊が泣き出し、たんぽぽが拾い上げる。

たんぽぽ 「…この子ヴァンパイアになったのね…」
カーミラ 「私が、預かりましょうか?」
たんぽぽ 「いえ、私が育てます。この子は兄の形見ですから…」

たんぽぽ、赤ん坊のハンドタオルに気がつく。

たんぽぽ 「ひまわり。」
カーミラ 「え?」
たんぽぽ 「この子、ひまわりって言うんだ。もう大丈夫よひまわり。私が守ってあげるから。」
カーミラ 「たんぽぽと、ひまわりか…」

幼いひまわりを抱いたたんぽぽにスポットが残り。やがて暗転。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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