△ 「ヴァンパイア・ブリード」シーン25


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字幕『明けて23日 2時20分 瀬名診療所』明転。
里子、鬼太朗、ネム、夏子、あずき、あげぱん、源さん、それぞれ怪我や疲労でがっくり。
鈴木は外の様子を警戒。たんぽぽは気を失っているひまわりの傍らに。立ち尽くしている
典子と立子。

典子 「こいつはまいった。さっきより増えてる…」
立子 「ご迷惑おかけしてます。…あ、お茶入れて来ますね。」
典子 「あ、いいですよ自分で…」

立子ハケる。

典子 「…しっかし、こんだけケガ人がいて一人も治療出来ないなんて、歯がゆいねぇ。」
たんぽぽ 「私達は大丈夫です。この傷なら1時間で治ります。」写真
典子 「あんたの傷も人間なら即死なのにね。」
たんぽぽ 「場所を提供して頂けるだけでも助かります。良かったですよ。あなたのようにオカルトを信じる医者なんて、なかなかいませんから。」
典子 「冗談じゃない。あたしはそうゆうの一切信じないね。UFOもネッシーもツチノコも。」
たんぽぽ 「そうなんですか?」
典子 「イエティーも、ミステリーサークルも、チュパカブラも、オゴポゴも、スカイフィッシュも、フライングヒューマノイドも一切信じないよ。」
たんぽぽ 「かなりお詳しいですね。」
典子 「太陽がそんな話しばっかするから覚えちゃってね。」
たんぽぽ 「じゃ、なぜ私達を?」
典子 「あたしはこの目で見たもんしか信じない。でも、あんた達は見ちまった。」
たんぽぽ 「なるほど。」
里子 「こっちに呪文とその酔っぱらいがいる以上、儀式は行えない。でもそしたら太陽は…」
ネム 「命の保証はないわね。」
鬼太朗 「何とか今夜じゅうに助け出したいな。」
夏子 「私達を使って下さい!」
あずき 「さっきも頑張ったべさ!。」
ネム 「今回は使わざるを得ないかもね。」
たんぽぽ 「もう一人使えるかも。」
鬼太朗 「誰?」
たんぽぽ 「ブラムよ。」
ネム 「ブラムって、この酔っぱらい?」
たんぽぽ 「千年以上生きているヴァンパイアは、普段は人間の姿を借りて体の中で眠っているの。彼は千年前に日本に来た最初のヴァンパイアの一人。かなり強いって聞いたわ。」
ネム 「どうやったら起こせるの?」
たんぽぽ 「簡単よ。自分の血を飲ませればいいの。」
里子 「じゃ、早速。」
たんぽぽ 「でも気を付けて。」
里子 「え?」
たんぽぽ 「寝起きが相当機嫌悪いそうよ。」
里子 「え…」

たんぽぽ、里子、ネム、鬼太朗、ほうきやちり取り等を持って源さんを囲む。
里子、寝ている源さんの指に針を刺す。

里子 「失礼。」
源さん 「いつっ!」

里子、その指の血を源さんに飲ませ、すばやく離れる。源さん口をむにゃむにゃ。ピキーン!

鬼太朗 「起きるぞ!」
ブラム 「ぐあああああっ!!!」

ブラム、大暴れ。4人掛かりでも苦戦。そのうちモップを奪い、みんな手が出せない。

鬼太朗 「こいつ強過ぎる!」
ネム 「って言うか寝起き悪過ぎ!」

そこに、お盆に湯飲みのせて立子が入って来る。

立子 「典子さんお待たせ。」
里子 「母さん危ない!。」写真

ブラム、立子に近づく。

ブラム 「ぐああああっ!」
立子 「あらあら。はいこれ。」

立子、湯飲みを典子に渡し、お盆で戦う。激しい戦いの末、最後はお盆の一撃でブラムを倒す。

たんぽぽ 「ブラム。ブラム目を覚まして。」

ブラム、はっ!と目を覚ます。

ネム 「起きた!」
ブラム 「オ〜ゥ!ココーワ、ドォーコデェスカァ?オヌーシターチワ、ダーレデェスカァ?」
鬼太朗 「おい、まさかのカタコトだぞ。」
ネム 「つか、千年も日本にいてカタコトって…」
里子 「ケイン・コスギやアグネス・チャンを遥かに凌ぎますね。」
たんぽぽ 「ここは2011年の東京。私達はヴァンパイアと妖怪。」
鈴木 「人間もいますけど。」
ブラム 「オォウ!モウ2011年ニナッチャッタデェスカァ?ズイブン長イコト眠ッテタデゴザールナ。」
ネム 「どのくらい眠ってたの?」
ブラム 「オウ。イチ、ニー、サン、シー、ゴー?」
里子 「5年?」
鬼太朗 「意外と短いな。」
ブラム 「5ヶ月デース。」
ネム 「ついこないだじゃん!」
ブラム 「上海万博ワ終ワッチャッタデースカァ?」
鬼太朗 「え?はい。」
ブラム 「オォウ。行コート思ッテマーシタノニ、ツイウトウトシテシモウタヨォ…」
鬼太朗 「ああ…。」
ブラム 「オーウ!ソウデェス!自己紹介マーダデェシタァ!コリャシケイ、シケイ。」
鬼太朗 「失敬ね。」
ブラム 「ワガハーイノナマーエワ、ブラームデェス、カァ?」
鬼太朗 「カァはいらないね。」
ブラム 「ドゾ、オシリミオキヲー。」
鬼太朗 「お見知りおきね。」
ブラム 「アー、起キ抜ケーニ運動コイチマッテ、ツカーレマーシタネェ。」

里子、椅子を出す。

里子 「どうぞ。」
ブラム 「オーウ。カタジーケナイ。ヨッコイショーイーチネェ。」
たんぽぽ 「目覚めたばかりで申し訳ないんですが、是非我々に協力を…」
源さん 「…んなんだぁ?どこだここはぁ?」
ネム 「あ、源さんになってる。」
たんぽぽ 「まだ不安定ね。」
鬼太朗 「大丈夫かぁ?」
ひまわり 「ううっ…」
典子 「ひまわりちゃんもお目覚めよ。」
ひまわり 「典子さん?…」
典子 「気分はどお?」
たんぽぽ 「ひまわり。」
ひまわり 「!!お姉ちゃん!うっ…」

ひまわり、傷が痛む。

典子 「無理しちゃダメだって!」
ひまわり 「くっそぉ…またしくじったのか…」
たんぽぽ 「ひまわり聞いて…」
ひまわり 「殺せぇ!今すぐ殺せぇ!」
典子 「落ち着け!」
たんぽぽ 「ひまわり、これを見て!」

たんぽぽ、記憶の石を持ち手をひまわりの額に当てる。ひまわり、目を閉じ急に大人しくなる。

典子 「なにしてるの?」
ネム 「あの石に閉じ込めた記憶を見ているの。」
典子 「石に記憶?」
ひまわり 「うわぁ!」

ひまわり、目を開け、多少息を切らしている。

たんぽぽ 「ひまわり、見たでしょ?これがカーミラの本当の陰謀よ。」
ひまわり 「そんな…ウソだ…こんなのウソだ…」
たんぽぽ 「ウソじゃない。これが真実なの。」
ひまわり 「それじゃ私がしてきたことは…今までしてきたことは…殺せ!殺してくれ!」
鬼太朗 「どっちにしてもこうなるのか。」
たんぽぽ 「殺せない。」
ひまわり 「どうして?お姉ちゃん私が憎くないの?仲間を殺してお姉ちゃんも殺そうとした!それに元々血が繋がってないじゃない!」写真
ネム 「いい加減にしたら?!あんたの命救ったのお姉さんだよ!死にかけのあんた引っ張ってここまで500キロも泳いで来たんだよ!」
ひまわり 「…え?…」
たんぽぽ 「ネムさん。例の石も。」
ネム 「うん。」

ネム、もう一つの記憶の石をたんぽぽに渡す。

たんぽぽ 「これはね。時が来たら話そうと思っていた記憶。これも見て。」

たんぽぽ、またひまわりの額に手を当てる。暗転。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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