△ 「ヴァンパイア・ブリード」シーン15


トップページ > ページシアター > ヴァンパイア・ブリード > シーン15 【公演データ

<前一覧次>

字幕『21時45分 東京メトロ浅草駅 第4地下倉庫。』
ひまわりを先頭にヴァンパイア達が入って来る。

ひまわり 「ここよ。」
太陽 「へえ!驚いたなぁ。浅草駅にこんな場所があったなんて。」
ひまわり 「浅草だけじゃないよ。東京の地下はこんな場所だらけなんだ。」
ドール 「住み心地いいんだよねぇ。」写真
太陽 「え?怪物くんたちも地下に住んでるの?」
ドール 「うん。」
太陽 「どこかのお屋敷じゃなかったっけ?」
ドール 「え?えっとぉ…」
ドック 「あ、お屋敷でがんすお屋敷でがんす!」
ダーク 「もう!ぼっちゃんたらホントに冗談ばっかりざますね!」

フランク、ドックを引っ張り小声で

フランク 「いつまで続ける気だ!」
ドック 「仕方ないだろ!辛抱しろ!」
フランク 「お前らはいいが、俺はフンガァしか…」
ドック 「気分を害したら血の成分が…」
フランク 「そんな事はわかって…?!」
太陽 「どうかしたんですか?」
フランク 「…フンガァ…」
ドック 「な、なんでもないでがんす。」
ひまわり 「どこに行かれたんだろう、カーミラ様。」
太陽 「カーミラ様?」
ひまわり 「えっと…ここの…」
太陽 「ここの?」
ひまわり 「ここの…」
太陽 「ああ!大家さん?」
ひまわり 「え?…そう、大家さん。」
ドック 「カーミラ様を大家さんって…」
ドール 「あ!ボク大家さん探して来る!」

ドール、ハケる。

ダーク 「あ!きたねっ!わたしも探して来るざます!」

ダーク、ハケる。

ドック 「お前達!」
フランク 「フンガァ〜!」

フランクもハケる。

ドック 「ひまわり、ここはよろしく。」

ドックもハケようとするが振り返り

ドック 「でがんすぅ。」

ドック、ハケる。

太陽 「すごいなぁ。ここの大家さんて人気者なんですね。」
ひまわり 「え?うん、まぁ…」
太陽 「…ねえ、ひまわりさん、一つ聞いていいかな?」
ひまわり 「ん?」
太陽 「気に障ったらごめんね、でもどうしても気になっちゃって。」
ひまわり 「なに?」
太陽 「さっき、お姉さんを、殺したって言ってたけど、それって…」

ひまわり、表情が暗くなる。

太陽 「あ、ごめん!話したくないよね、そんなこと…」
ひまわり 「私の姉は…ヴァンパイアに襲われた赤ん坊の私を拾って、妹として育ててくれた。」
太陽 「君を拾って…じゃどうしてお姉さんを?」写真
ひまわり 「ヴァンパイアの支配者になるためにクーデターを起こそうとした。」
太陽 「クーデター?」
ひまわり 「私は子供の頃から姉に戦士として鍛えられた。でもそれも全部クーデターに利用する為だった。ヴァンパイア戦士のトップだった姉をずっと尊敬していたのに…。実は姉の兄の疾風という戦士も、クーデターに失敗して殺されたんだって。姉はその計画を密かに受け継いでいたの。」
太陽 「どうしてその事を?」
ひまわり 「カーミラさんが教えてくれた。」
太陽 「大家さんが?!」
ひまわり 「ごめん太陽君。大家さんはウソ。本当は先輩の戦士なの。」
太陽 「ひまわりさん、戦士なんだね…でも納得いった。」
ひまわり 「え?」
太陽 「君を見つけた時、体がボロボロだったから、ただのヴァンパイアじゃないって思ってた。」
ひまわり 「死体だとは思わなかったの?」
太陽 「思ったよ。」
ひまわり 「じゃどうして?」
太陽 「だって、見る見る傷が塞がっていくんだもん。それにこれも反応したし。」

太陽、ポケットから小ビンを出す。中に毛の様なものが入っている。

ひまわり 「何これ?」
太陽 「多分妖怪の毛か何かだと思う。何日か前にこれを拾ったんだけど、怪しい人が近づくと動きだすんだ。きっと妖怪に反応するんじゃないかって思ってたら、君にも反応した。」
ひまわり 「じゃ、どうしてヴァンパイアだって?」
太陽 「寝言だよ。」
ひまわり 「え?」
太陽 「寝言で「血が欲しい」って何回も。びっくりしたよ。心臓止まってるのに寝言言うんだもん。」
ひまわり 「私、寝言なんて言うかな?一度も聞いた事無いけど…」
太陽 「そりゃみんなそうだよ。」
ひまわり 「え?…(少し考えて)あ、そうか。」

二人、目を合わせ、クスクスと笑い出す。すると奥から声

カーミラ 「ひまわり!」

カーミラ駆け込んで来る。ひまわり、ひざまづく。他のヴァンパイア達入って来る。

ひまわり 「カーミラ様!」
太陽 「この人が…」
カーミラ 「(太陽を見て)初めまして。あなたが太陽君ね?」
太陽 「はい。」
ひまわり 「どうかされたのですか?」
ドール 「太陽君ちょっといい?」

ドールが太陽を連れて舞台奥に行き、相手間に他のヴァンパイア達が反対側に集まる。

ドック 「奴らが攻めて来やがった。」写真
ひまわり 「奴らって、四天王が?」
ダーク 「ま、こっちから行く手間は省けたけど。」
カーミラ 「奴らは4人。あなたも迎撃に加わってくれる?」
ひまわり 「4人?四天王は今3人じゃ?」
フランク 「一人加わった。そいつがなんと…たんぽぽだ。」
ひまわり 「なんだって?…たんぽぽが…たんぽぽが生きてた?…」

ひまわり、カーミラに土下座をする。

ひまわり 「申し訳ありませんカーミラ様!私は任務を!任務を失敗して…」
カーミラ 「大丈夫。まだチャンスはあります。わかっていますね?」
ひまわり 「はい!今度こそ!今度こそこの手で!」
カーミラ 「お願いしますね。ひまわり。」
ひまわり 「必ずや!」
カーミラ 「ドール、フランク、ダーク、ひまわりは奴らを迎撃。ドックは太陽を連れて例の場所へ。私は儀式の準備に入ります。」
ドール以外4人 「はっ!」

ヴァンパイア達、迎撃に向かう。ドック、ドールと交代で太陽を連れて行く。

ドック 「太陽君。もっとたくさん妖怪に会わせてあげるでがんす!」
太陽 「ホントですか?!…でも…ひまわり。」
ひまわり 「ちょっとお仕事。また後でね。」
太陽 「…うん。わかった。」

ひまわり、ハケる。

ドック 「さ、行くでがんす。」

太陽、ひまわりを気にしながらもドックに連れて行かれる。暗転。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

<前一覧次>


トップページ > ページシアター > ヴァンパイア・ブリード > シーン15 【公演データ