△ 「ヴァンパイア・ブリード」シーン10


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字幕『20時35分 東京メトロ浅草駅 第4地下倉庫。』
カーミラ、ドック、ドール、フランク、作戦会議をしている。

カーミラ 「やつらも結界を張っているとはいえ、全員半径1キロ以内にいることは確かでしょう。」
ドック 「手分けをすりゃすぐみつかりますね。」

カーミラ、何かの気配に気付く。みんな構える。

ドール 「誰か来るね。」
フランク 「この妖気は…大丈夫、ダークです。」写真

ダーク、入ってくる。落ち込んでる。

ダーク 「うい〜〜っす…」
ドック 「なんだ、元気ないね。」
ダーク 「うぃす…」
ドック 「どうだった?あのツンデレちゃんは?」
ダーク 「ツンデレと言うよりは…ツンドラでした…」
ドック 「なんだそれ?」
ダーク 「そこがまた…いいんだなぁ…」
フランク 「まさか手ぶらで戻って来たんじゃないだろうな。」
ドール 「お土産ないの?お土産〜?」
ダーク 「ある!あるぜお土産!(カーミラの元へ行き)カーミラ様!例の四天王の三人の居場所、見つけました!」
カーミラ 「本当ですか?!」
ダーク 「鬼太朗、眠り猫、時止め童、三人とも同じ場所にいます!」
カーミラ 「やりましたね、ダーク。」
ダーク 「転んでもただじゃ起きないっす!」
カーミラ 「場所は?」
ダーク 「南浅草4丁目15。時止めの実家で古い屋敷です。」
カーミラ 「例の呪文は我々処刑部隊の前隊長『疾風(はやて)』が時止めに渡した可能性が高いですから、その屋敷に隠されているかもしれません。」
ドック 「呪文を手に入れるのも奴らの始末もいっぺんにできますね。」
ドール 「楽ちんだぁ。」
フランク 「残りは特効薬か。」
カーミラ 「それも早急に…」

カーミラ、また気配に気付く。他のメンバーも構える。

カーミラ 「妖気です。」
ドック 「我々の他にここを知ってる者はいないはずだ。」
ドール 「ダークぅ。君、つけられてたんじゃなぁい?」
ダーク 「は?ありえね〜し。」
フランク 「待て、この妖気…まさか…」
ドック 「誰だ?」
フランク 「…ひまわりです!」
全員 「えっ?!!」

ひまわり、転がり込んで来る。

全員 「ひまわり!」

全員ひまわりに駆け寄る。

ダーク 「お前!てっきり海の藻くずになっちまったかと!」写真
ドール 「本物だ!本物のひまわりだ!」
カーミラ 「ひまわり…」
ひまわり 「カーミラ様…」

カーミラ、ひまわりに駆け寄り抱きしめる。

カーミラ 「よく帰って来てくれました。」
ひまわり 「姉を殺しました。ヴァルドルの剣も沈めました。私は… 死ねませんでした…」
カーミラ 「いいのよひまわり。あんな残酷な任務を命じてしまって、私も心を痛めていました。生きていて本当に良かった。」
ひまわり 「カーミラ様…」
フランク 「しかしいったいどうやって?あの任務から生還できる確率は限りなく0%に近い。」
ドール 「奇跡だよ!奇跡!」
ドック 「ちょっと待て…」

ドック、辺りを嗅ぐ。

ドール 「今度は何?」
ドック 「臭う。臭うぞ。間違いなく臭う!」
ダーク 「何が?」
ドック 「特効薬だ!」
フランク 「何だって?!」

ドックが匂いを辿った先に、ひまわりがいる。更に細かく匂いを辿るとひまわりの剣に。

ドック 「ここからだ。」
ドール 「ひまわりの剣から?」
ドック 「わずかだが間違いなくここから臭う。しかもまだ新しい。」
カーミラ 「ひまわり。その剣で誰かを切った?」
ひまわり 「旅客機で、姉と姉の部下の120人を。」
カーミラ 「それ以外は?」
ひまわり 「……あ…太陽…」
カーミラ 「太陽?」
ひまわり 「私が潜伏していた場所にいた、人間の少年です。」
ダーク 「まさか殺したんじゃ?」
ひまわり 「掟は破っていない。かすり傷だと言っていた。」
ドック 「確かに、かすり傷程度の血の量だ。」
カーミラ 「ひまわり、その子が特効薬なの。」
ひまわり 「太陽が特効薬…」
フランク 「信じられん。ひまわりが特効薬と出逢う確率は…」
ドール 「奇跡でいいじゃん、奇跡で!」
カーミラ 「ひまわり、その子はどこ?」
ひまわり 「会ったのは南浅草の瀬名診療所。でも、多分ここが彼の住所です。」

ひまわり、太陽にもらったメモを出す。

ドック 「お前、人間の病院になんかにいたのか?」
カーミラ 「待って!この住所…」
ドック 「住所が何か?」
カーミラ 「南浅草4丁目15。」
ダーク 「え?!それってさっきの四天王のいるとこじゃん!」
ドール 「じゃ、その少年もそこの子?。」
カーミラ 「作戦変更よ、この子が帰宅する前に確保するのが優先。わかっていると思うけどくれぐれも彼を怒らせたり悲しませたりしないでね。」
ドック 「血の成分が変わっちまうんですよね。」
カーミラ 「ええ、呉々も慎重かつ、迅速に。」
カーミラ以外 「必ずや。」写真

一緒に出て行こうとするひまわりに。

ドック 「ひまわり、お前は休んで方が。」
ひまわり 「面識がある方が役に立つ。」
ドール 「ボクたちについて来れる?」
ひまわり 「遅れてもついて行く。」
ドック 「行くぞ。」
ダーク 「やっべ!!」

みんな止まる。

ドック 「なんだ。」
ダーク 「携帯壊れてるし!」
ドック 「…行こう。」

みんなあきれて先に行く。

ダーク 「そっか、さっき凍らされて焼かれた時だ!マジやべぇよこれ…」

カーミラと目が合う。

ダーク 「…行ってきます。」

ダークハケる。カーミラ一人残り、舞台中央へ。

カーミラ 「運気は我にあり。」

カーミラ、静かな笑みを浮かべ去る。暗転。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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