「トワの宇宙」シーン30 「トワの宇宙」シーン30トップページ > ページシアター > トワの宇宙 > シーン30 【公演データ】
樋口がカプセルを調べている。
樋口 「これも違う…これも違う…こんだけあるんだきっときよしは見つかる！…」
ハル、樋口を見つける。ハル足を引きずっている。
ハル 「師匠！」
樋口 「おお、ハル。足どうした？」
ハル 「時速９０キロで走ったら折れました。」
樋口 「何やってんだよ。後で直してやるからきよし探すの手伝ってくれ。二千体もあると一人じゃ大変なんだ。」
ハル 「師匠！ここから脱出しますよ！」
樋口 「は？」
ハル 「このガンマ地区は切り離されるんです！」
樋口 「…冗談じゃない。僕は残って探すよ。」
ハル 「何を言ってるんですか！早くしないと！…」
樋口 「残るって言ってるだろ！…」
ハル 「きよしさんはここにはいません！」
樋口 「なぜわかるんだ？」
ハル 「それは…」
樋口 「いい加減な事言うな！…お前…もしかして焼きもちか？」
ハル 「焼きもち？」
樋口 「きよし探しばっかりの俺に、焼きもちを焼いてるんだろ？」
ハル 「アンドロイドにそんな物を焼くシステムはありません！」
アラームが鳴り出す。
アナウンス 「ガンマ地区切り離し１０秒前！」
ハル 「聞いたでしょ。行きますよ！」
樋口 「嫌だ！」
ハル 「師匠！」
樋口 「やっときよしが見つかるかもしれないんだ！行くもんか！」
ハル樋口をつかみ投げる。
樋口 「やめろ！うわ！」
樋口、ベータ地区にとばされる。ハルの目の前でシャッターが下り、樋口と隔てられる。
樋口 「ハル！ハル！」
ハル、通信で樋口に。
ハル 「師匠残念です。ツッコミくらい教わりたかったです。」
樋口 「ハル？」
ハル 「今度生まれ変わったら、必ずお笑い芸人になります。」
樋口 「ハル！」
ハル 「さようなら…」
轟音とともに船体が揺れる。
樋口 「ハルーっ！！」
樋口、ハケる。
ＧＲ１ 「グリフォン！なぜお前が！」
ＧＲ２ 「貴方を止めるためです。」
ＧＲ１ 「無駄な事だ私の考えは変わらない。人類には私たちが必要なのだ。」
ＧＲ２ 「いいえ、私たちはもう必要ないのです。後はあの子達に任せるべきなのです。」
ＧＲ１ 「…グリフォン、お前ももう必要ない。悪いが消去させてもらう。」
ＧＲ２ 「残念ながらもう遅いわ。」
ＧＲ１ 「お前…何をした？」
ＧＲ２ 「自爆装置を作動しました。」
ＧＲ１ 「何？解除しろ！」
ＧＲ２ 「いえ、心中させてもらうわ。正義さん。」
ＧＲ１ 「恵子…」
ＧＲ２ 「…そこのアンドロイドさん。」
ハル 「ハイ。」
ＧＲ２ 「巻き込んじゃってごめんなさいね。」
ハル 「いえ、結構楽しいアンドロイド人生でした。」
（作：松本仁也／写真：はらでぃ）