△ 「ロスト・ピーチボーイズ」第3幕第2場


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吹きすさぶ嵐の中、海賊たちはいきり立っている。

夕凪 「どうしよう、どうしたらいいんだ!お頭が死んじまった!」
稲妻 「船長の仇を打つんだ!」
夕凪 「ティンクが船長を倒したなんて、、、。」
稲妻 「めそめそすんな!おう、荒波、さっさと行こうぜ!」
荒波 「落ち着け!影どもが力を付けている今、俺たちに勝ち目はねえ。」
稲妻 「情けねえ!あきらめろって言うんですか!?」
荒波 「あきらめろ?こっちは子供を奪われ、かしらの命とられているんだ。あきらめる分けねえだろっ!だが、、、どうしたらいい?」

海賊どもは焦るが良い考えが浮かばない。

夕凪 「そうだ!世界樹が枯れるのを食い止められれば、、、。」
黒雲 「場所さえ見つかねえってのにか。」
夕凪 「だってそれしか方法がないだろ!世界樹のふもとにたどり着ければ!」
黒雲 「どこへ行ってもだめだ!根っこしかみつかりゃしねえ。」

すると、今まで放心していたように、無言だったウスが口を開く。

ウス 「僕は世界樹がどこにあるのか分かる気がする。」写真
荒波 「それはどこなんだ!」
ウス 「、、、この宇宙全体が世界樹だとしたら、、、大きいなあ!
その大きな枝の上に物語の国が乗っている。
でも、その根っこはどこにあるんだろう。
だぶん、僕ら人の心に根付いているんだ。
だから人間が苦しむと世界樹も枯れてしまう。
ティンクが変化したとき、扉が現れたろ。
あの扉が人の心につながっているんだ。
人の心から想像力の道を辿っていけば、たぶん世界樹にたどり着く。」
荒波 「お前にはその入り口の扉を開けられるのか?」
ウス 「、、、フックはお父さんみたいだった。最初は怖い人だと思ったけれど、僕をかけがえのない存在だと言ってくれた。」
稲妻 「お前のお父さんもあんな強い男か?」
ウス 「ううん、弱い人だった。でも、船が好きで、海はいいぞ、お前も船乗りになれっていつも言っていた。鋳子を救うには僕が強い船乗りになればいいんだ。」
荒波 「人間はその扉を隠してしまっている。その扉は人間の弱さにもつながっているからな。お前の世界の人間はもはや想像力を憎んでいる。自我を吹き飛ばす爆弾にもなるからな!きついぞ。」
ウス 「僕は決めた。」
荒波 「よしっ!お前を連れて行こう。ただし、俺たちも命がけだ。(自分の剣をウスに渡す。)自分の命は自分で守れ。いいか!」
ウス 「わっかた。」
荒波 「野郎ども!航路をネバーランドへ向けろ!」
海賊ども 「おう!」

(作:大村国博/写真:福田千聖)

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