△ 「1/4 breed」シーン12


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里子とネムとアブラスマシが入って来る。

ネム 「『コーポ梅図103号室。』あった、ここよ!」
里子 「表札には『水木太朗』って…」
ネム 「ひねりがない偽名つけちゃって。」

ネム、チャイムを鳴らすが返事がない。

ネム 「留守かな?」舞台写真
アブラスマシ 「おれ、近所回って来ます。」
ネム 「大丈夫?」
アブラスマシ 「ついでにこの辺の妖怪達にも協力頼んでみます。」
ネム 「お願い、気を付けてね。」
アブラスマシ 「はい。」

アブラスマシ、去る。

里子 「いないんですか?」
ネム 「もしかして、妖気に気付いて居留守使ってるのかも。ちょっとここで見張ってて。裏回って来るから。」

ネム、去る。

里子 「ネムさん。…もう、また私を一人にして。」

里子、小窓から部屋の中の様子を覗き込む。
すると、ハケからキタロウが帰って来る。

キタロウ 「あの、何か?」

里子、振り返ってキタロウの顔を見て驚く。

里子 「えっ!あっ、あのっ…」
キタロウ 「あ、募金とかならできませんよ。」

キタロウ、里子を避けて部屋に入ろうとする。

里子 「いえ、あの、あなた…」
キタロウ 「いや、ホントにお金ないんですって。」
里子 「あなた、キタロウさんでしょ?」

キタロウ、動きが止まる。

里子 「墓場野鬼太朗さんですよね。」
キタロウ 「…表札見て下さい。水木ですよ。」
里子 「いや、でも…」
キタロウ 「人違いですって。」
里子 「私、見たんですよ、夢で。」
キタロウ 「やめて下さいって。警察呼びますよ。」
里子 「妖怪なんでしょ?」舞台写真
キタロウ 「妖怪?あんた頭がおかしんじゃないか?」
里子 「でも…」
キタロウ 「妖怪なんてこの世にいるはずが…」

ネムが戻って来る。キタロウの妖怪アンテナが立つ。

ネム 「あ。」
キタロウ 「あ。」

沈黙。

キタロウ 「…どうぞ…中へ…」

暗転。

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

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