△ 「1/4 breed」シーン13


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間もなく明転するとキタロウの部屋の中。
キタロウ、がっくりしている。

キタロウ 「そんな。じゃあツムジもトドメも無駄死にだったって事か?」舞台写真
ネム 「無駄じゃないわ。トドメさんは大王を4つに切ったし、ツムジはそのうち3つを消して…」
キタロウ 「残りの1つに体を乗っ取られた…」
ネム 「1/4なら私達だけでも倒せるんじゃ…」
キタロウ 「あの時気付いていればね。でもきっと、この一年間でパワーも回復してるさ。」
ネム 「やってみなきゃ分からないじゃない!」
キタロウ 「無理だよ。」
ネム 「そんなこと言わずに!」
キタロウ 「もう関わりたくないんだ。」
ネム 「…まったくもう…どうしちゃったのよ、キタロウ。私達はわずかな望みなのよ。里子、ほら、あんたも黙ってないで何か言ってやりなさいよ。」
里子 「え?でも、何を?」
ネム 「何でもいいからガツンとさ!」
里子 「えーっと、あの…あの…ゲタとちゃんちゃんこは?」
ネム 「何聞いてんのよ!」
キタロウ 「えっと、持ってません。」
ネム 「あんたも答えんなよ!」
キタロウ 「あれほら、漫画だから。」
ネム 「だから説明すんなって!」
キタロウ 「キタロウのロウの字はおおざとじゃなくて、月だし。」
里子 「明朗の朗?」
キタロウ 「そうそう。朗らかと書いて朗!」
ネム 「そういう会話をしてる場合じゃないでしょ!」
キタロウ 「ネム、もうよそうって。」
ネム 「キタロウ、」
キタロウ 「…やりたくないんだよ。」
ネム 「どうして?」
キタロウ 「どうしてもだ。」
ネム 「ツムジだから?」
キタロウ 「…」
ネム 「…そうなんだ…大王に乗っ取られててもやっぱりツムジじゃ斬れないって訳か。」
キタロウ 「…」
里子 「あの、ちょっといいですか?」
ネム 「お、いいぞ里子。今度こそガツンと言ってやれ!」
里子 「あの…お二人ってラブラブじゃないんですか?」
ネム 「何でまたそういう事聞くかな?!」
キタロウ 「ないよ。」
ネム 「言い切るね、あんたも。」
里子 「でも、ネコ娘ってキタロウのこと好きだったじゃないですか。」
キタロウ 「あれほら、漫画だから。」
ネム 「だから説明すんなって!」
キタロウ 「朗らかと書いて朗だから。」
ネム 「それさっきも言ったろ!…とにかくラブラブでないことは確かよ。私にはちゃんと別に好きな人が…」
里子 「本当に?」
ネム 「本当よ。」
里子 「良かった…」
ネム 「え?何、良かったって?」
里子 「ううん、なんでもない。」
ネム 「あんたまさか、こんなやつ…(何かに気付く)ん?」

キタロウの妖怪アンテナが立つ。

キタロウ 「もう来たのか。」舞台写真
ネム 「里子ちゃん、隠れて。」

里子、キタロウの後ろに隠れる。ネムが前に出て行く。

ネム 「来るなら来い。」
キタロウ 「もうドアの前だ。」

チャイムが鳴る。

キタロウ 「はーい!どうぞお入り下さーい。」

ドアが開き、今井が入って来る。

今井 「失礼しま…」

スローになり、ネムが思いっきり今井を殴る。今井、ゆっくりと何回転もしながら飛んでゆき、壁にぶち当たる。

今井 「痛い。物凄く痛い。」
ネム 「あ。」
今井 「またお前か!」

今井の後ろから警部が入って来る。

警部 「良かった。間に合ったか。」
キタロウ 「兄さん。」
里子 「兄さん?」
ネム 「ドワスレ様〜っ」
ドワスレ 「久しぶりだね、子ねこちゃん。」
里子 「この人が?」
ネム 「そう、さっき話した刑事さん。キタロウの腹違いのお兄さん。ドワスレさんで〜す。」
ドワスレ 「君が里子ちゃんか。良かった無事で。」
里子 「あの、もしかしてネムさんの好きな人って…」
ネム 「にゃ〜ん」

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

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