△ 「1/4 breed」シーン10B


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突然爆弾魔が現れ、走って来て里子にぶつかる。里子、倒れる。

里子 「痛い!」
ネム 「何すんのよ、危ないじゃないの!」

爆弾魔そのまま逃げる。

ネム 「ちょっと謝りなさいよ!…大丈夫?里子ちゃん?」
里子 「本当に守ってくれるのか、とてつもなく不安になりました。」
ネム 「ごめん、ごめん。今のやつ全然妖気を感じなかったから。」

袖から今井の声。

今井 「待て〜!」舞台写真
ネム 「またか!」

今井が飛び出して来る。するとスローになり、ネムが思いっきり今井を殴る。
今井、ゆっくりと何回転もしながら飛んでゆき、壁にぶち当たる。

今井 「痛い。物凄く痛い。」
ネム 「今度は助けたでしょ?」
今井 「何なんだ貴様は!」
ネム 「何なんだはあんたでしょ!」
今井 「警察だ!さてはお前ら宇佐美の仲間か?(銃を構える)」
ネム 「(威嚇する)シャーッ!」
里子 「宇佐美?」
今井 「今こっちに来たのは分かってるんだ!」
ネム 「待って、もしかして今ぶつかったやつ?」
里子 「その人ならさっき、あっちへ。」
今井 「何?」
ネム 「急がないと逃げちゃうよ。」
今井 「くそぉ。待て〜っ!(と言いながらはける。)」
ネム 「町には危険が一杯ね。私から離れちゃ駄目よ。」
里子 「うん。」
ネム 「(急に何かに気付き)待って!」
里子 「何?」
ネム 「妖気よ!」
里子 「え、嘘!」
ネム 「大丈夫。この程度の妖気のやつなら、私1人でも倒せるわ。隠れて。」

袖から人影が出て来た瞬間、ネムが首に爪をたてる。人影はアブラスマシであった。

アブラスマシ 「ひっ!」
ネム 「何者だ?」
アブラスマシ 「ぼ、僕ですよ、アブラスマシですよ!」
ネム 「アブラスマシ?」
アブラスマシ 「良く見て下さいよ、ほら!」
ネム 「アブラスマシ…あんた無事だったの?」
アブラスマシ 「えぇ、何とか。探してたんですよ、ネムさん。もう頼れるのはあなたぐらいしかいなくて。」
里子 「アブラスマシって…」
ネム 「あぁ、こいつも妖怪なの。」
アブラスマシ 「この子は?」
ネム 「里子ちゃん。トドメの娘さんよ。」
アブラスマシ 「え?あなたが?」舞台写真
ネム 「そんな事より、ドワスレさんがあんたを探していたよ。現場からあんたとクチサケだけ姿を消してたって。」
アブラスマシ 「他のみんなは?」
ネム 「(首を振り)カッパもロクロもクチグルマも、やられてたそうよ。」
アブラスマシ 「ちくしょう。でもどうしようもなかった。僕は逃げるので精一杯だったんだ。」
ネム 「クチサケは?」
アブラスマシ 「あいつは違う。多分…ついて行ったんだ、ツムジさんに。」
ネム 「ツムジ?本当にツムジだったの?」
里子 「ツムジってあの?」
ネム 「えぇ、あなたのお父さんと一緒に死んだはずの妖怪。クチグルマのアパートに大王とツムジに似た気が残っていたって、ドワスレさんが言ってたけど、まさか本当にツムジが…」
アブラスマシ 「多分身体を大王に乗っ取られたんだ…」
ネム 「これは尚更、キタロウの所へ急がなきゃね。」
アブラスマシ 「キタロウって…ハカバノさん、見つかったんですか?」
ネム 「えぇ、やっと。」
アブラスマシ 「僕もお供させて下さい!」
ネム 「いいわよ。急ぎましょう。」

3人、はける。

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

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