△ 「1/4 breed」シーン10A


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ネムと里子、車に乗っている。ネムが運転している。里子は暗い顔をしている。

ネム 「どうした?」舞台写真
里子 「…」
ネム 「どんな気分?」
里子 「…ハリー・ポッター…」
ネム 「え?あぁ、あの魔法使いの血を引いた男の子の話?」
里子 「いや、魔法使いの方がずっとまし。妖怪なんかよりは。」
ネム 「同じようなもんだと思うけど。」
里子 「あぁもう、どうして?どうして私ばっかりこんな目に!」
ネム 「ねぇ、お腹すかない?」
里子 「…」
ネム 「待ってて、コンビニ寄るから。」
里子 「…ねぇ。」
ネム 「ん?」
里子 「一体何処に向かってるの?」
ネム 「もう1人の生き残りの所よ。」
里子 「え?四天王の?」
ネム 「うん。夢で見たでしょ、ハカバノって言われてたやつ。」
里子 「えぇ。」
ネム 「あいつをモデルにした漫画があるのよ。何だと思う?」
里子 「漫画?」
ネム 「ヒント。あいつもハーフです。」
里子 「人間と妖怪の?」
ネム 「うん。」
里子 「え〜と…犬夜叉?」
ネム 「ブーッ!そんな最近のじゃありません。」
里子 「え、何だろう?」
ネム 「第2ヒント。♪ゲッゲッゲゲゲのゲ〜。」
里子 「え?ゲゲゲの鬼太郎?」
ネム 「ピンポ〜ン。正解です。」
里子 「鬼太郎にモデルがいたなんて…」
ネム 「本名、墓場野鬼太朗。朗の字が漫画と違うんだけどね。実は大王との戦いの後、ずっと行方不明だったの。でもね、キタロウのお兄さんが警察の人でね、やっと見つけてくれたの。」
里子 「お兄さんって、その人も妖怪?」
ネム 「うん。ドワスレさんていうの。」
里子 「妖怪が警察になれるの?」
ネム 「もちろん。警察だけじゃないわ。沢山の妖怪が人間界で生活している。スポーツ界、芸能界、政治家にだっているのよ。」
里子 「確かにそれっぽい人いるけど…」
ネム 「中にはあなたみたいに、自分に妖怪の血が流れてるって知らない人も沢山いるわ。」
里子 「やっぱりまだ信じられない…」
ネム 「まぁ、それも当然か。」
里子 「…あの歌…嘘なんだ…」
ネム 「え?」
里子 「お化けは死なないって…」
ネム 「あぁ…えぇまぁ…(里子を励ますように)それにさ、人間として生活していれば、学校も試験もあるし、夜中に墓場で運動会やった事もないよ。」

里子、少し微笑む。

ネム 「あ、そこのコンビニでいい?」
里子 「えぇ。」

2人、車を降りる。

ネム 「あ、そうだ。ちなみに私もゲゲゲのキタロウに出てるのよ。」
里子 「え?ネムさんも?」
ネム 「猫娘っていたでしょ?あれ、私がモデル。」
里子 「本当に?じゃあ…」
ネム 「何?」
里子 「いや、何でもない。」

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

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