△ 「1/4 breed」シーン2


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薄明かりの中、幼い少女とその父が楽しく遊ぶ映像が映る。

父の声 「しゃとこ、いくつになった?」
娘の声 「5しゃ〜い。」舞台写真
父の声 「そうか、5歳かぁ。なぁ、しゃとこ。」
娘の声 「なあに。」
父の声 「しゃとこは妖怪って知ってる?」
娘の声 「知ってる〜。」
父の声 「どんな妖怪が好き?」
娘の声 「ゲゲゲのきたろ〜。」
父の声 「ゲゲゲの鬼太郎かぁ。」
娘の声 「しゃとこねぇ、大きくなったらゲゲゲのきたろうのお嫁さんになるの。」
父の声 「え〜っ!こないだまでパパのお嫁さんになるって言ってたじゃないかぁ〜。」
娘の声 「うん、でもやめたの、ママがかわいそうだから。」
父の声 「はははは、そうかママがかわいそうか。」
娘の声 「でもね、きたろうのお嫁さんになったらね、ゲゲゲのしゃとこになっちゃうの。」
父の声 「はははは、そうかぁ、それはちょっと嫌かぁ。」
娘の声 「う〜ん。」
父の声 「じゃあ、鬼太郎さんにお婿に来てもらいなよ。」
娘の声 「おむこ?」
父の声 「そうすればね、しゃとこは客間里子(かくまさとこ)のままだよ。」
娘の声 「じゃあ、そうする〜。」
父の声 「そうか、はははは…」

映像が終わり、喪服を着た少女が現れる。

里子 「お父さん…」

周りから声だけ聞こえて来る。

声5 「船の事故ですって。」
声6 「かわいそうにねぇ。」
声5 「でも保険金凄いんでしょうね。」
声6 「御遺体上がってないんでしょ?それでもそんなに貰えるの?」
声5 「あぁ、私その辺良く分からないわ…」

別の声が聞こえて来る。

声7 「里子って暗いよね。」
声8 「愛想ないよ。」
声9 「何かやな感じ。」

更に別の声が聞こえて来る。

声10 「すいません。御主人の事故の事で少しお話をお聞きしたいんですけど。」

玄関のチャイムが執拗に鳴らされる。

声10 「客間さん、いるんでしょ、お話聞かせて下さいよ!客間さん!」

更に激しくチャイムが鳴り、里子、耳をふさぐ。全員の声が入り混じり、
里子が悲鳴をあげると突然音が全て消える。

里子 「みんな…みんな死んでしまえばいいんだ…」

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

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