トップページ > ページシアター > 1/4 breed > シーン1 【公演データ】
ゆっくりと明るくなり、朝の光りが射す。スズメの鳴く声も聞こえて来る。
男、目覚め、目覚まし時計を取って時間を見る。途端に仰天して飛び起きる。
男 「大変だぁぁ〜っ!」
慌てて出かける支度をする。あたふた着替えをしながら、
男 「何故、鳴らなかったのでしょうか、この目覚ましは!とんでもない大遅刻ですっ!あぁもう、どうしたらいいのでしょう。いっそこのまま寝続けちゃった方が…」
一度布団に戻るが、また飛び起きる。
男 「ってな訳にはいきませんよね、やっぱり。何て言い訳しましょう…出掛けに急な下痢で…いやいや…急に田舎の母が…いやいや…駅で妙な宗教に引っ掛かって…あぁもう駄目です、寝起きで頭働きません!しっかし何でこんな大役引き受けてしまったかな、私も。」
何とか着替えるが妙な格好。プレスリー似。
男 「電気よし、ガスよし、戸締まりよし!」
外に出ようとするが一度戻り、
男 「おっといけない、朝も消すっと!」
手をパチンと叩くと、朝の光りとスズメの声が消える。
男 「よし、行って来ま〜す!」
一歩外へ出た瞬間、
四天王 「待て!」
男が止まって辺りを見回すと4人の人影が次々と現れ、男を囲む。
4人とも黒ずくめで悪役風。中に先程目覚ましを止めた女もいる。
ネム 「ごめん、あまり時間稼ぎ出来なかった!」
ハカバノ 「気にするな。」
ツムジ 「このままやるのね。」
トドメ 「ここまで来たらやるしかないさ。」
男 「ちょっと待って下さいよ!何なんですかあなた達は!」
ハカバノ 「魂の使い手『ハカバノ』!」
ツムジ 「風の使い手『ツムジ』!」
ネム 「眠りの使い手『ネムリネコ』!」
トドメ 「刃の使い手『トドメ』!」
ハカバノ 「4人そろって」
四天王 「妖鬼四天王!」
男 「陽気な四人組?」
ハカバノ 「妖しい(なまめかしい)鬼と書いて妖鬼!」
男 「うわ、何かカッコイイです。」
ツムジ 「我々はお前を消す為にやって来た。」
男 「え?私を消す?」
ネム 「世界を守る為に。」
トドメ 「生きとし、生ける者の為に。」
ハカバノ 「消えてもらうぞ!」
四天王 「恐怖の大王!」
4人、飛びかかるが稲妻と雷鳴が響き渡り、はね飛ばされる。
四天王 「うわぁぁ〜っ!」
大王 「あなた達ですか、私の目覚まし止めたりしたのは!ちゃんと1999年7月にセットしておいたのに、おかしいなと思ったんですよ!おかげで2年以上寝坊しちゃったじゃないですか!」
ネム 「本当はもう少し眠ってて欲しかった…」
大王 「ノストラダムスさんの顔潰して悪いと思わないんですか?」
ハカバノ 「ひるむな!集中しろ!」
大王 「ちょっと、本気で私を消す気ですか?」
ツムジ 「本気よ。」
大王 「あなた達みたいな妖怪ごときに、私を消すなんて出来っこ…」
トドメ 「もっと集中させて!」
大王 「あぁ…もう、分かりましたよ。それじゃあ遅刻の責任、取ってもらいますからね。」
大王、ファイティングポーズ。
ハカバノ 「みんな行くぞ!」
四天王 「うおぉぉぉぉっ!」
四天王が大王に飛びかかって行く瞬間、暗転。
テロップ
『2001年・秋』『恐怖の大王を倒すべく』
『四人の妖怪が立ち向かった。』『しかし、その結果は…』
オープニング。映像。キャスト名。不等辺さんかく劇団・松本仁也プロデュース公演第2弾。
『1/4breed(クウォーターブリード)』
(作:松本仁也/写真:広安正敬)