△ 「1/4 breed」シーン1


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ゆっくりと明るくなり、朝の光りが射す。スズメの鳴く声も聞こえて来る。
男、目覚め、目覚まし時計を取って時間を見る。途端に仰天して飛び起きる。

「大変だぁぁ〜っ!」舞台写真

慌てて出かける支度をする。あたふた着替えをしながら、

「何故、鳴らなかったのでしょうか、この目覚ましは!とんでもない大遅刻ですっ!あぁもう、どうしたらいいのでしょう。いっそこのまま寝続けちゃった方が…」

一度布団に戻るが、また飛び起きる。

「ってな訳にはいきませんよね、やっぱり。何て言い訳しましょう…出掛けに急な下痢で…いやいや…急に田舎の母が…いやいや…駅で妙な宗教に引っ掛かって…あぁもう駄目です、寝起きで頭働きません!しっかし何でこんな大役引き受けてしまったかな、私も。」

何とか着替えるが妙な格好。プレスリー似。

「電気よし、ガスよし、戸締まりよし!」

外に出ようとするが一度戻り、

「おっといけない、朝も消すっと!」

手をパチンと叩くと、朝の光りとスズメの声が消える。

「よし、行って来ま〜す!」

一歩外へ出た瞬間、

四天王 「待て!」

男が止まって辺りを見回すと4人の人影が次々と現れ、男を囲む。
4人とも黒ずくめで悪役風。中に先程目覚ましを止めた女もいる。

ネム 「ごめん、あまり時間稼ぎ出来なかった!」
ハカバノ 「気にするな。」
ツムジ 「このままやるのね。」
トドメ 「ここまで来たらやるしかないさ。」
「ちょっと待って下さいよ!何なんですかあなた達は!」
ハカバノ 「魂の使い手『ハカバノ』!」
ツムジ 「風の使い手『ツムジ』!」
ネム 「眠りの使い手『ネムリネコ』!」
トドメ 「刃の使い手『トドメ』!」
ハカバノ 「4人そろって」
四天王 「妖鬼四天王!」
「陽気な四人組?」
ハカバノ 「妖しい(なまめかしい)鬼と書いて妖鬼!」
「うわ、何かカッコイイです。」
ツムジ 「我々はお前を消す為にやって来た。」
「え?私を消す?」
ネム 「世界を守る為に。」舞台写真
トドメ 「生きとし、生ける者の為に。」
ハカバノ 「消えてもらうぞ!」
四天王 「恐怖の大王!」

4人、飛びかかるが稲妻と雷鳴が響き渡り、はね飛ばされる。

四天王 「うわぁぁ〜っ!」
大王 「あなた達ですか、私の目覚まし止めたりしたのは!ちゃんと1999年7月にセットしておいたのに、おかしいなと思ったんですよ!おかげで2年以上寝坊しちゃったじゃないですか!」
ネム 「本当はもう少し眠ってて欲しかった…」
大王 「ノストラダムスさんの顔潰して悪いと思わないんですか?」
ハカバノ 「ひるむな!集中しろ!」
大王 「ちょっと、本気で私を消す気ですか?」
ツムジ 「本気よ。」
大王 「あなた達みたいな妖怪ごときに、私を消すなんて出来っこ…」
トドメ 「もっと集中させて!」
大王 「あぁ…もう、分かりましたよ。それじゃあ遅刻の責任、取ってもらいますからね。」舞台写真

大王、ファイティングポーズ。

ハカバノ 「みんな行くぞ!」
四天王 「うおぉぉぉぉっ!」

四天王が大王に飛びかかって行く瞬間、暗転。
テロップ
『2001年・秋』『恐怖の大王を倒すべく』
『四人の妖怪が立ち向かった。』『しかし、その結果は…』
オープニング。映像。キャスト名。不等辺さんかく劇団・松本仁也プロデュース公演第2弾。
『1/4breed(クウォーターブリード)』

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

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