トップページ > ページシアター > ダンボールキッチン > 第4回 【公演データ】
<1・5>
別の空間に妊婦(飛田美弥子)が座っている。お腹は妊娠6ヶ月くらいの大きさ。
蝉の声。風鈴の音。真夏の昼下がり。舞台上の時間、<1>の前年の8月。
美弥子、あおぐともなくうちわをゆらゆらと動かしている。その眼は何もみていない。電話が鳴る。美弥子、弾かれるように受話器をひったくる。
美弥子 飛田でございます!…(あからさまに失望して)はあ、どういったご用件で…。(相手の話を遮るように)申し訳ありませんが、今、店のほうはお休みさせてもろてますねん。…さあ、いつになるか…私が知りたいくらいですわ。いえ何でも…。はい…はいわかりました、連絡させていただきます。…はい、それじゃ…(切る)
美弥子、再び座り込む。お腹に手をあて呟く。
美弥子 …お腹空いたなあ…なんか作ってや…
転。
(作:中澤日菜子/写真:広安正敬)