△ 「ブリジニツィー」シーン10


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PM2:50
犯人アジト

パソコンを打つピンク。その後ろに立つグレイ。座ってトランプをいじるヴァイオレット。

ピンク 「出た〜!遂に出そろいましたぁ!」
グレイ 「でかしたぞピンク。」
ピンク 「新垣謙警部補。この人がエイベキスタンのスパイだとはねぇ。」
グレイ 「通称『ヂヤーヴァル』。」
ピンク 「ヂヤーヴァル?」
グレイ 「ロシア語で『悪魔』。やつの呼び名だ。」
ピンク 「悪魔かぁ。で、我々の中の裏切り者は、この人と繋がったこの人だったってわけ。」
グレイ 「フッ、やはりな。…ん?…(パソコンのデータを見て驚く)なにっ?!…そうか、こいつか…」
ピンク 「なに?」
グレイ 「いや、こいつは切り札として使えそうだ。」

奥で銃声。三人、銃を抜く。

ピンク 「今の銃声よね?」
グレイ 「ああ。」

奥からオレンジ走り込んで来る。

オレンジ 「たっ、大変!大変です!」
ピンク 「どうしたの?今の何?」
オレンジ 「レッドさんが…レッドさんが…」
グレイ 「レッドがどうした?」
オレンジ 「人質を撃ち殺しちゃいました!」
グレイ 「何?」
オレンジ 「人質が壁に穴掘って逃げたんですよ!すぐに追ったんですが、すっげ〜速くって!レッドさん酔っぱらってて全然走れないからって、いきなり銃で…」
グレイ 「だからお前に見張らせといたんだろうが。」
オレンジ 「すんません!でもレッドさんあんなに酔ってて、しかも暗くて30メートルはあったのに一発で…」

レッド入って来る。

レッド 「50メートルはあったぜ。」
ピンク 「流石、元自衛隊のスナイパー。」
オレンジ 「何落ち着いてんですか!人質が死んじゃったんですよ!」
グレイ 「人質ならもう一人いる。」
オレンジ 「えっ?どこに?」
グレイ 「ここに。」

グレイ、ピンク、ヴァイオレット、銃をオレンジに向ける。

レッド 「やっぱりてめえか!(銃を向ける)」舞台写真
ヴァイオレット 「銃をよこして。(オレンジの銃を受け取る)」
オレンジ 「惜しかったなぁ。あと少しだったのに。(両手をあげる)」
グレイ 「じゃあ自己紹介でもしてもらおうか。」
オレンジ 「え〜皆さん初めまして。警視庁公安部外事特務課の上原隆巡査です。二ヶ月前にこちらに潜入しましが、警察との連絡がとれず、独自に行動させて頂きました。ディスクを盗む際に全員まとめて逮捕する計画でしたが、腹の爆弾のおかげで思うように動けず、失敗致しました。」
レッド 「ブルーを閉じ込めたのもてめぇか?」
オレンジ 「緊急時はブルーだけでも捕らえろと言う命令でしたので。」
レッド 「てめぇ〜。」
オレンジ 「でも、あそこで刑事を人質に取られたのは計算外でした。あの刑事、「脱出は俺の美学だ」とか言って勝手に逃げ出すからあんな目に…」
グレイ 「終わりか?」
オレンジ 「はい。」
グレイ 「じゃ、こっちも教えてやるよ。」
オレンジ 「何でしょう?」
グレイ 「俺は初めっからお前が怪しいと思ってた。」
オレンジ 「ハハハハ!そりゃ凄い!」
グレイ 「証拠見せてやろうか?」
オレンジ 「ええ、是非。」
グレイ 「この地下壕の抜け穴を知ってる人。」

オレンジ以外手をあげる。

オレンジ 「え?」
レッド 「こいつには言ってなかったのか?」
グレイ 「ああ。お前にはヘリで逃走すると言っといたが、そりゃ嘘だ。」
オレンジ 「じゃ、ヘリを要求したのは…」
ピンク 「ヘリで逃げるって思わせるためよ。」
ヴァイオレット 「本当は秘密の地下通路で逃げるの。」
オレンジ 「くっそぉ!」
グレイ 「もう一つ、面白い事教えてやるよ。お前の上司、新垣謙ってんだろ?」
オレンジ 「それがどうした。」
グレイ 「奴はエイベキスタンのスパイだ。」
オレンジ 「は?何言ってんだお前ら?」
グレイ 「やっぱり知らなかったか。」
ピンク 「通称『ヂヤーヴァル』。エイブ・メディカルのクローン実験を指揮してるんだって。」
オレンジ 「フッ、馬鹿馬鹿しい。」
グレイ 「馬鹿馬鹿しいのはこっからだ。奴はクローン人間を作って、そいつに仕事までさせているらしい。」
オレンジ 「クローン人間?」
グレイ 「例えば、俺達の中に潜り込ませたりしてな。」
オレンジ 「……まさかお前ら、僕がそのクローンだとか言い出すんじゃないだろな?」
グレイ 「その通り。」
オレンジ 「ハハハハハ!新垣さんがスパイで僕がクローン人間だ?ハハハ!じいさんがバイキンマンってのより面白いや!ハハハハハ!」
グレイ 「ピンク。見せてやれ。」
ピンク 「(ノートパソコンをオレンジに見せる。)ほ〜ら。」
オレンジ 「なんだよ…え?…何だこれは?」
ピンク 「八王子署8係の名簿よ。君と同姓同名の奴がいるでしょ。」
オレンジ 「同姓同名の奴なんていくらでも…」
ピンク 「(パソコンのキーを押す)ほい。これ写真。」
オレンジ 「!!…そんな…」
ピンク 「(またパソコンのキーを押す)履歴書もあるわよ。へぇ孤児院育ちなんだぁ。今時珍し〜い。」
オレンジ 「ふざけるな!こんな作りもん!!」
ピンク 「ちなみに警視庁の公安部には(パソコンのキーを押す)上原という名の刑事は存在しないわ。」
オレンジ 「嘘だ…だまされるもんか!!」
グレイ 「嘘かどうかすぐにわかるさ。そろそろサツに電話する時間だ。」

暗転。

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

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