△ 「ブリジニツィー」シーン5e


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再び上原達。

上原 「いいんですか、待ってるだけで?」
木村 「待つのも仕事よ、ヤミー君。」
上原 「ボクは上原ですって。」

浜崎、入って来る。

島袋 「おう、浜ちゃん。新垣君は?」舞台写真
浜崎 「ブルーを本庁に護送するそうだ。それより島袋。」
島袋 「ん?」
浜崎 「(いきなり島袋の襟首をつかみ)お前なのか?」
島袋 「何が?」
今井 「ちょっと、何するんですか!」
浜崎 「お前が、裏で糸引いていやがったのか?!」
木村 「やめなさいよ!」(皆で浜崎を止める)

鈴木、戻って来る。

鈴木 「あらら。何やってんの?」
上原 「あっ、鈴木さん!一緒に止めて下さい!」
鈴木 「落ち着いて落ち着いて!もちつ…(言いかけて、上原に口を抑えられる)」
上原 「だめだ、こっちも止めなきゃ!」

突然外から、ドーン!という爆発音。全員の動きが止まる。

上原 「なっ、何だ今の?」
木村 「爆発?」
今井 「近いぞ。」

署内放送が入る。

署内放送 「緊急、緊急。只今、本署正面玄関前で、護送車が爆発炎上した模様。テロ行為の可能性もあり。各課、慎重に行動して下さい。」
浜崎 「護送車が爆発って…」
今井 「ケンちゃんが!!(とび出そうとする)」
島袋 「待て今井!」
今井 「しかし!」
島袋 「放送聴いたろ?慎重に行動しろ。」
今井 「何言ってるんですか、ケンちゃんが死んだら…」

新垣、入って来る。

新垣 「私は無事です。」
今井 「ケンちゃん!」
浜崎 「護送車に乗ってたんじゃ…」
新垣 「私は前のパトカーに乗ってました。」
今井 「良かったぁ。」
新垣 「良くありません。ブルーが死んでしまったんです!」
上原 「何ですって?!」
新垣 「自爆した様です。(ジャンプ)しかも、玄関付近にいた市民も一名巻添えに…」
今井 「ひでぇ。」
浜崎 「(また島袋の襟首をつかみ)これもお前の仕業かっ?!」
木村 「やめなさいって!」(また皆で浜崎を止める。)
新垣 「浜崎さん!落ち着いて!(皆から浜崎を引き離して、小声で)感情的にならないで下さい!」
浜崎 「しかしこいつは…」
新垣 「辛抱です!!」

浜崎、渋々やめる。

木村 「やな感じ。」
新垣 「どうもすみません。」
木村 「いえ、新垣さんじゃなくて、そっちのちょびひげ。」
浜崎 「んだとこのババァ!」

全員の息が止まる。ゆっくりと木村を見る。

木村 「(銃を抜き)撃ち殺す!(皆が押さえる。)」
島袋 「とにかく皆さん落ち着いて!」
上原 「いいかげんにして下さい!皆さん一体何やってるんですか!!」

皆動きを止める。

上原 「ブルーが死んじゃったんですよ?犯人との交渉に必要な人間が!もし今犯人から連絡が来たらどうするんですか?(電話が鳴る)わぁ来た!!」
今井 「慌てるなって。警部、どうでしょう?」
島袋 「うむ(電話器に手をかざす)…違うねこりゃ。しかも間違い電話だ。」
上原 「どうしてそんな事がわかるんですか?」
今井 「超能力さ。」
上原 「何ですって?」
木村 「超能力よ。警部は手をかざすだけで電話の相手が分かるの。」
上原 「言うに事欠いて、今度は超能力ですか!」
今井 「嘘だと思うなら取ってみなよ。」
上原 「嫌ですよ!」
木村 「いいから、ほら。」(子機を持って無理矢理上原に渡そうとする)
上原 「わぁ、やめてくださいよ!犯人からだったらどうするんですか?」
島袋 「わめくな。君も男だろ、だまされたと思って取ってみなさいっつの。」
上原 「(無理矢理出る)もしもし8係です…へ?…いえ、それは100番100番です。…はい、はいどうも。(電話切る)本当だ。間違い電話だった。」
木村 「でしょ?」
新垣 「相変わらず冴えてますね。」
島袋 「いやいや、ナンバーディスプレイってのが出来てから、あまり必要なくなっちゃったけどね。」
上原 「なるほど、超能力ねぇ!はははは、こいつは参った!(急に怖い顔で部屋の端に行き、電話をかける)」
今井 「おい、どこにかけてる?」
上原 「フリーダイヤル・オージンジ・オージンジ。」(みんなで止める)
上原以外 「落ち着けって!」
上原 「だってですね!いくら何だって超能力まで持ち出されたら…(持っていた子機が鳴る)うわぁ!電話が!電話が鳴っています!」
今井 「鳴るだろ普通。」
木村 「警部これは?」
島袋 「(手をかざす)うむ、間違いない犯人からだ。お願いしますよネゴシエーター。」

新垣が電話に出る。

新垣 「はい、8係。」
グレイ 「あんたんとこの華原って刑事を預かってるもんだ。」
新垣 「どうも、お世話になってます。元気にしてますか彼?」
グレイ 「薬で眠ってもらっている。さてと、交渉といこうか。」
新垣 「条件を聞きましょう。」
グレイ 「俺達の仲間は無事だろうな?」
新垣 「ええ、個室でファーストクラスの待遇ですよ。(軽くジャンプ)」
グレイ 「よおし、お前らが用意するのは、そのブルー本人と、逃走用のヘリ一台。こっちの人質と引き換えだ。」
新垣 「ディスクは?」
グレイ 「あきらめな。妙な真似すりゃ刑事さんの命はねぇ。」
新垣 「わかりました。人命第一です。(軽くジャンプ)要求を呑みましょう。」
グレイ 「いやに素直だな。」
新垣 「取り引きの時間と場所はどうしましょう?」
グレイ 「一時間後にまた指示する。(電話切る)」
島袋 「どうだ?」
今井 「駄目です。プロですねぇ。逆探ギリギリで切られました。」
島袋 「流石だね。」
上原 「新垣さん!」
新垣 「ん?」
上原 「感動しました!新垣さんが人命第一って言った時、やっぱ刑事ってこれだなって、ここへ来て初めて思いました!」
新垣 「それは良かった。」
上原 「僕、新垣さんを目指します!新垣さんみたいな刑事に…(また電話鳴る)うわ!まただ!」
今井 「違う違う、これ内線。」

今井、電話に出る。

今井 「はい、8係。え?あ、いますよ。ケンちゃん。」
新垣 「おお。(電話を受け取る)新垣です。…本当ですか?!わかりました、いや、私が行きます。(受話器を置く)犯人側に潜り込んだ刑事から連絡が入ったようです。」
島袋 「今頃?」
新垣 「電報だそうです。」
今井 「電報?」
新垣 「ちょっと行って来ます。(部屋を出る)」
浜崎 「俺も行く。(新垣の後を追う)」
島袋 「木村君、今の声の分析頼む。」
木村 「はい。」
上原 「何ですか分析って?」
今井 「君も、プロファイリングの基礎ぐらい見ときな。」

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

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