トップページ > ページシアター > ブリジニツィー > シーン2d 【公演データ】
島袋が、浜崎と新垣と鈴木を連れて入って来る。
島袋 「さっ、どうぞ。」
スローモーションになる。木村、発砲。全員ブリッジをして弾を避ける。島袋が素早く木村を取り押さえる。元のスピードに戻る。
浜崎 「なっ、なっ、なんだぁ?!」
木村 「あら、すみませ〜ん。私ったらまた。(自分の頭をげんこつでコツンと叩く)」
浜崎 「すみませ〜んじゃないだろ君!!」
新垣 「(小声で)浜崎さん、ここは抑えて。」
浜崎 「しかし…」
島袋 「いや、失敬失敬。木村君!」
木村 「はい。」
島袋 「お客さまには、銃弾じゃなくてコーヒーのほうがいいと思うな。」
木村 「はい、ただいま。」
浜崎 「コーヒーは後で結構!」
島袋 「だそうだ。」
木村 「はい。」
島袋 「紹介しよう、こちら本庁の浜崎警部補。」
浜崎 「刑事部捜査一課の浜崎だ。」
島袋 「僕と同期のキャリア組。」
浜崎 「くされ縁だ。」
島袋 「こちらは新垣警部補。」
新垣 「公安部外事特務課の新垣です。」
今井 「ケンちゃん?…やっぱりケンちゃんだ!」
新垣 「元気そうだな、のびちゃん。」
島袋 「なんだ、知り合いか?」
今井 「ええ。新垣謙、幼なじみです。本店勤務って聞いてたけど、警部補かぁ。すげえなぁ俺なんかまだ巡査長だぜ。」
新垣 「いやいや、のびちゃんだって凄いじゃない。開発課で『どこでもドア』作ってたんだろ?」
今井 「途中で転属になっちゃったけどね。」
上原 「本当に作ってたのか!」
鈴木 「何だ、嘘だと思ってたの?」
島袋 「ところで、新垣謙でケンちゃんはわかるけど、なんで今井慎太郎がのびちゃんなの?」
新垣 「今井は、小さい頃いじめられっ子でしてね。みんなからのび太ってあだ名つけられてたんですよ。ところが、本人は大のドラえもん好きで、このあだ名気に入っちゃって。」
今井 「お恥ずかしい。」
島袋 「いやいや。うちでも頑張ってくれてますよぉ。なぁ、のびちゃん。」
今井 「警部まで、やめてくださいよもぉ。」(一同笑)
島袋 「で、こちらが。」
木村 「先ほどは失礼致しました。木村雅子巡査部長です。」
島袋 「こう見えても敏腕でね。ほんと、彼女には助けられてるんですよ。さすが、初代スケバン刑事。」
上原 「ス、スケバン刑事?」
木村 「やめて下さいよその言い方。あれはマンガでしょ。正式には内閣機密調査室特命学生刑事って言うんです!あれ、マンガの方が真似したんですから。」
上原 「うっ、嘘だ!」
鈴木 「ホントホント。木村さんが元祖だよ。」
木村 「あの、決して本当のスケバンではなかったんで、怖がらないで下さいね。」
島袋 「おいおい、マグナムぶっぱなしておいて、怖がらないで下さいもないだろ。」(一同笑)
木村 「やだわもぉ、警部ったらぁ〜」
上原 「駄目だ、全然笑えないよ…」
島袋 「で、一番向こうにいるのが…だれ君?」
上原 「えっ?あっ、はい!本日付けで、8係へ転任となりました、上原隆巡査であります。」
島袋 「あ、あぁ!君が例のヤミアガリの!」
上原 「またか…」
島袋 「そうだ、彼のニックネーム『ヤミアガリ』ってのはどうかな?」
木村 「ヤミアガリ刑事?」
今井 「ヤミアガリ刑事療養編ってのはどうでしょう?」(一同笑)
島袋 「そりゃちょっと長いよぉ。縮めて『ヤミー』ってのはどう?」
木村 「あ、いいんじゃない『ヤミー』!あたし気に入った!」(一同笑)
上原以外皆笑っているところ、上原せき払い。
島袋 「いや、冗談冗談。そうだ、私の紹介もしないとな。8係島袋金之助警部です。乙女座・B型・動物占いはコジカ。趣味はいろいろあるが、パチンコはプロ級だ。」
上原 「パチプロ?」
島袋 「なんなら、裏技教えてあげますよ。」
上原 「あっ、はい。ありがとうございます。」
鈴木 「頼りがいあるだろ。」
上原 「初日から不安でいっぱいなんですけど。」
木村 「本店時代は、『カミソリ島袋』って呼ばれてた、そうとうの切れ者だったそうよ。ねぇ、警部。」
島袋 「いや、照れるなぁ。」
浜崎 「ずいぶん、さびついちまってるようだけどな。」
島袋 「あっ、きついなぁ。」
新垣 「私も警部と浜崎さんには、公安でお世話になっていました。お二人は、実にいいチームでしたよ。」
浜崎 「5年前のあの事件まではな。」
上原 「あの事件?」
島袋 「いやぁ、あの時は大変だったよねぇ。ま、公安に向いてないなぁと考えてた時期ではあったけどね。」
新垣 「確かに不幸な事件でしたが、あれは警部の責任ではありませんよ。」
浜崎 「心からそう願ってるよ。」
新垣 「(小声で)浜崎さん!」
島袋 「そうそう、ウチにはもう一人、華原巡査長ってのがいるんだが、今日は紹介できないなぁ。」
上原 「非番ですか?」
島袋 「いや。」
上原 「任務ですか?」
島袋 「いや。」
上原 「え?じゃあ?」
島袋 「人質だ。」
上原 「人質?」
木村 「今朝の、ディスク盗難事件の時、犯人側に人質にされちゃったのよ。」
上原 「なんだ、人質じゃ来れないっすよね…ってそりゃ大変じゃないっすか!」
鈴木 「落ち着いて落ち着いて、もちついてもちついて。」
上原 「なんですかそれは?」
島袋 「だが、こちらも犯人一人逮捕したからおあいこだ。」
上原 「おあいことかそういう問題じゃ…」
今井 「大丈夫。華原さんなら何とかなるさ。」
上原 「どうしてそんなことが言えるんですか?」
木村 「華原さんは脱出のプロなの。」
今井 「もう、15回も人質にされた経験があるんだ。」
上原 「そりゃただのマヌケじゃないですか!」
鈴木 「落ち着いて落ち着いて。もちついてもちついて。」
上原 「いや、2回やっても全然面白くないっす。」
鈴木 「メンゴ。」
上原 「うわ、メンゴときたか。」
浜崎 「とにかく、早急な解決が必要だ。新垣君、そろそろ事件の経緯を。」
新垣 「はい。」
島袋 「お〜い、福田く〜ん!」
上原 「やっと本題だよ。」
(作:松本仁也/写真:広安正敬)