△ 「ブリジニツィー」シーン2c


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上原の背後から木村登場。上原の背中に拳銃を突き付ける。

木村 「動くな。」舞台写真
上原 「えっ?」
木村 「手を頭の後ろで組みなさい。」
上原 「は、はい。」
木村 「そのままゆっくり前へ歩いて。」
上原 「はい。(舞台中央へ)」
木村 「ストップ。ひざまづけ。」
上原 「はい。」
木村 「どうしてお前がここにいる?」
上原 「どうしてって…」
木村 「一人か?」
上原 「はい?」
木村 「他に仲間がいるのか!」
上原 「はっ、はい、います!」
木村 「どこだ?」
上原 「あっ、あっちに一人。」

今井コーヒーカップを持って現れる。

今井 「どうした、うえは…」

木村、発砲。コーヒーふっ飛ぶ。

今井 「あち〜っ!!」
上原 「今井さん!!」
木村 「今井〜。」
今井 「あ、木村さんお帰りなさい。」
上原 「え?」
木村 「なによ、おどかさないでよもお〜。」
今井 「すいません。」
上原 「驚いたのはこっちですよ!」
木村 「誰これ。」
今井 「ほら、今日来るって新人の。」
木村 「あぁ!あのヤミアガリの。」
上原 「は、はい。」
木村 「なんだぁ。今朝の犯人の一人に、そっくりな奴がいたから、そいつかと思っちゃったわよ。」
上原 「違いますよ。警官ですって!」
木村 「ごめんなさいね。お怪我はない?」
今井 「びっくりしたろ。」
上原 「ひっくりも何も、殺されかけたじゃないっすか!」
木村 「(敬礼して)木村雅子巡査部長です。雅子さまと同じ雅子です。上から読んでも『まさこさま』下から読んでも『まさこさま』。」
上原 「なるほど。」
木村 「趣味はパソコンと射撃かな?」
上原 「射撃って…」
今井 「8係だけ地下にある訳、わかった?」
上原 「ちょっと、まずいでしょそんなの!バカボンのめん玉つながったお巡りさんじゃないんだから!日本の警官の拳銃の扱い方に関しては…」
木村 「まあまあ。堅い事言わない言わない。」
上原 「堅くなくっちゃまずいでしょそれは!しかも何これ!うわ!マグナムじゃないっすか!日本の警官が使用できる拳銃はニューナンブとシグザウエルの…」
今井 「そりゃあくまでも、表向きの情報だろ?」
上原 「表向きって…」
木村 「テレビとか雑誌とかマスコミの情報に流されちゃだめよ。本物の刑事ってのは、こうゆうもんなの。」
上原 「いや、しかしぃ…」
木村 「ところで今井。例の情報は?」
今井 「鑑識からはまだ何も。」
木村 「そっかぁ。」
上原 「あの、それって例の『ブリジニツィー』ディスク盗難事件の?」
木村 「ううん。これは違うヤマ。」
上原 「何だ違うんですか。」
木村 「ほら、元首相の宇都宮さんが、バラバラ死体で見つかった事件あったでしょ。」
上原 「え?あの、一年前に大騒ぎになった事件ですか?」
木村 「あの事件の所轄担当なんだ、あたし。」
上原 「本当ですか?!」
木村 「今朝の強盗事件の時に、ちょっと気になる事があって、いろいろ調べてるの。もしかしたらバラバラ事件と繋がりがあるかもって。」
上原 「すっげ〜。やっぱりベテランの方は、こう、風格ってのが違いますよねぇ〜。」

木村、いきなり銃を抜き、上原に向ける。

上原 「えっ?!あっ、違いますっ!別にトシだとか言ってるわけじゃ…」
木村 「どいて!」
上原 「はい!」
木村 「誰か来る。」
上原 「え?」
木村 「知らない奴が二人。」
今井 「あっ、木村さん、違う違う!!」

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

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