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静かな音(遠くで流氷が割れる音のような)舞台、シーリング溶暗する。上手、下手にそれぞれ、藍とロッカーがいる。間は4〜5メートル離れている。
ロッカー 「よう…。」
藍、じっとロッカーを見ている。
ロッカー 「やっと、来たね。」
藍、じっとロッカーを見ている。
ロッカー 「さぁ、行こう。すべてはもう終わったんだ。」
藍、じっとロッカーを見ている。ややって、ロッカーの方に歩いて行く。藍を抱き留めるロッカー。藍の顔に涙がつたう。
ロッカー 「どうして泣くんだい?これでもう、楽になれるんだよ。」
藍 「わかってる。」
ロッカー、黙っている。
藍 「わかってた。…あなたはあの時から、ずっと私のことを見ていたのよね。」
うなずくロッカー。
藍 「私って馬鹿ね…。」
ロッカー 「長い長い間見ていたよ、君達のことを…」
藍 「二人はどうなるの…?」
ロッカー 「…」
藍 「そうね、あなたが決めることじゃないわね。」
ロッカー、うなずく。手を差し伸べるロッカー。一瞬目を閉じて、考える藍。
藍 「さよなら…」
一瞬天を仰ぎ、バックライトでシルエット。ゆっくりとあかね、舞台に登場する。照らされるバックライトの中、ロッカーの手が、あかねの首に手をかける。効果音が大きくなる中、ロッカーの手に最高潮に力が入り、あかねの首を締め上げていく。
そして、急にロッカーが手を解き、あかね、床に倒れる。同時にバックライト徐々に光量が下がり、大きな赤い月がスクリーン映し出される。溶暗するとあかね、倒れている。ちょっと、離れたところで藍が見ている。
(作:川村圭/写真:池田景)
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