「A1-PANICS!」第5回

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小川と岸野。
小川、小道具作り。岸野、テキトーに。
小川、つっと立つ。

小川「岸野」
岸野「ン？」

ぐさっ。小川、短刀を岸野の胸に。

岸野「…」
小川「びっくりした？良く出来てるだろコレ」
岸野「…おどかすなよ」
小川「我ながら上出来だと思うんだ。本物みたいだろう、ちょっと見は」
岸野「やめてくれよ、本物だったら死んでるよ」
小川「だったら良かったのにな」

間。

岸野「…俺が死んだって、なんにも変わりゃしないぜ」
小川「そうかな。少くともアイツは苦しまずに済む」
岸野「本当に、苦しんでると思っているのか？アイツが」
小川「…」
岸野「ガキだな、お前」
小川「…」
岸野「お前にゃ、アイツの相手は、ムリだよ」
小川「…」

小川、スッと銃を向ける。

岸野「下げろよ。オモチャだとわかっていても、気分が悪い」
小川「オモチャだと、思うか」
岸野「…」
小川「モデルガンを、改造すンのなんて、実に簡単なんだぜ」
岸野「…」

そこへ。

安永「イヤー！！！」

安永、サボテンで小川を強打。
倒れる小川。

岸野「小川！おい、小川！」
安永「何やってるんですか、二人とも！」
岸野「それはこっちの台詞だよ！」
美咲「どうしたの！？」
安永「い、今、二人が…二人が…」
岸野「何でもない！愛、やめろよむやみに特大ちゃん振り回すのは」
安永「ごめんなさい…」
小田嶋「どうした？何かあったのか」
有川「腹の底にひびくようなニブい音がしたわよ」
岸野「いいから、いいから！さあさっさとメシにしようぜ」

人々、戻って来て食事の用意。

岸野「…言いたいことがあるなら、この芝居が終ってからにしようぜ」
小川「わかった」
岸野「ところでさっきのやりとり誰にもきかれてないだろうな」
小川「大丈夫だろう。みんな外に出てたし、ブースのカモシダにまでは…」

カモシダと小川、岸野の目が合う。
カモシダ、ニッーと笑う。その肩に巨大なトンボ。

小川「…何だろう。あの巨大なトンボと意味不明の笑いは」
岸野「ほっておけ。どうせ俺たちには理解できない世界だ」
小川「そうだな」

そこへ。

敦子「ただいまー」
桑田「…」
安永「お帰りなさい」
小田嶋「おう。大丈夫か？桑田」
桑田「済まなかった、取り乱してしまって。反省している」
小田嶋「そんなにいやなら、サボテン外しゃいいじゃんか」
桑田「死ぬほど恥しかろうと何だろうと、約束は約束だ。今日一日は外すことはできない」
有川「律儀だねぇ。男だねぇ」舞台写真
安永「さすがです、桑田さん！私、ますます尊敬しちゃいます！」
小川「なかなかできないよな」
桑田「イヤ…」

そこへ、大須歌いながら登場。踊る桑田。

大須「カニー食っていこぉー、カニー食っていこぉー、アレ、桑田さんおかえんなさい」
桑田「…殺す」
全「まあまあまあ」

おまたせです、越智再登場。

越智「スンマセン～おそくなりゃした～アレーちょうどメシっすか？やーなんか悪いなー」
小田嶋「サル！！どこほっつき歩いてたんだこの大バカ者！！」
越智「いや～ちょっと顔出すつもりがけっきょくレジ打たされちゃって～。あっでもちゃんと当日精算券、おいてきましたから、３人は来ますよ、３人は」
美咲「相変らず、要領いいね」
越智「ところで何ですかその、みんなアタマにくっつけてるの。新しい小道具ですか？」
岸野「いや。ちょっとワケありでな、彼の研究に協力してるんだ。紹介しよう、こちら大須円蔵さん」
大須「は、はじめまして」舞台写真
岸野「劇団員の越智です」
越智「どーもー、サルでーす」
小田嶋「ご覧の通り、馬鹿です」
越智「ねーねー俺の分は？ないんスか俺の分」
岸野「そう言うと思って、とっておきのがある。大須、出してやってくれ」
大須「ハイ」

出る。例のチ○ポサボテン。
かたずをのむま。

越智「か…」
全「かァ？」
越智「か…かっきー！（注：カッコイイ）」
小川「かっこいいか？コレが」
越智「チョーかっきーすょォー俺、うちって演出家が小心者だからこーゆーの、なかったでしょー、すげー残念だったンすょー」
岸野「いいんだぞォ今から出てっても」
越智「やーウレシーなーいいンすか本当にかぶっても」
美咲「どうぞどうぞ」
安永「あんたのために、とっておいたんだから」
越智「わー」
安永「な、何よ」
越智「そのサボテン、安永よりスタイルいいじゃん」
安永「ほっといてちょうだい！」
越智「じゃお言葉に甘えて…」

越智、装着する。
と、

（作：中澤日菜子／写真：広安正敬）

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