歯周病と早産・未熟児の関係は、補足講義の全身疾患と歯周病にあります。
月経と歯肉炎の関係については、卵胞ホルモン(エストロゲン)、黄体ホルモン(プロゲステロン)などの女性ホルモンのアンバランスにより生ずると考えられており、月経困難症(生理痛がひどい状態で吐き気、倦怠感、下痢などの全身症状がみられ、日常の生活にも影響を及ぼす症状)の女性にみられる傾向にあります。月経前に歯ぐきの腫れや赤みが大きくなり、月経が終了すると腫れがおさまっていきます。
その原因としては、女性ホルモンの増加に伴って微小血管系(歯ぐきの毛細血管)が影響されること、代謝の変化により炎症反応が過度になることが考えられています。通常では歯ぐきに炎症が起きない程度の歯垢が残っているだけでも、歯肉炎として症状が出てしまいます。
歯磨き指導と歯石取り(スケーリング)を行いますが、月経異常がある場合には、そちらの治療も並行して行う必要があります。
月経中は血液凝固性が低下することや毛細血管が弱くなることが報告されており、普段よりも出血した場合に血が止まりにくくなります。通常、5分以内に止まるものが、6〜10分とやや延長されますが、異常に止血までの時間が延長するということはありません。このこと自体は治療に大きな影響を及ぼすものではありません。
むしろ、月経前期緊張症によって神経質、感情の不安定、不安、不機嫌などの症状が出ることにより、歯科治療中の不快症状や治療後の痛みを長引かせるきっかけになってしまいます。
ですから、体調によっては抜歯などの出血を伴う処置と重なっている場合、予約をキャンセルして別の日に取り直すことも考慮する必要があります。