診査

プロービングデプス

 プロービングデプス(プロービング深さ)とは、歯肉辺縁からポケット底までの距離をいいます。

 測定には目盛りのついたプローブ(探針=たんしん)を用います。この目盛りは統一されておらず、2mmごとに色分けされているものや、下段中央の写真のように2mm、5mm、10mmで区切られているものなどがあります。プローブで計測する行為をプロービングといいます。


 ポケットデプス(ポケット深さ)ということもありますが、これは厳密には組織学的に歯肉辺縁から接合上皮の最根尖側端(上皮の部分で、もっとも根に近い端)という定義がさ

れています。

 治療によりポケットの炎症がなくなり、歯肉が引き締まることによって、ポケットデプス(組織学的)は5mmであったとしても、プロービングデプス(臨床的)は3mmしかはいらない場合もありえます。

 

アタッチメントレベル

 アタッチメントレベル(付着の位置)とは、セメント-エナメル境(=きょう)(歯の頭と根の境目の部分。頭文字をとってCEJと略します)からポケット底までの距離をいいます。

 厳密には、組織学的にCEJから接合上皮の最根尖側端までの距離になります。臨床的にはポケットデプスの説明にもあるように、浅く計測されることがあるため、プロービング・アタッチメントレベルという用語が使われる場合もあります。

 アタッタメントレベルはその時点の距離よりも、治療後の距離と比較することに意味があります。治療後に距離が浅くなっている場合をアタッチメントゲイン(付着の獲得)といいます。距離が深くなっている場合をアタッチメントロス(付着の喪失)といいます。具体例は、下の図を参考にしてください。

 

プロービングデプスとアタッチメントレベルの関係

  プロービングデプスは相対的な深さ、アタッチメントレベルは絶対的な深さであるといえます。下の図で、プロービングデプスはすべて初診時(薄い部分)で 5mm、治療後で2mmだとします。すべて3mm減少しているので良くなっていると思われるかもしれません。しかし、ポケット底が底上げされて、さらに良 くなったか(歯肉退縮+付着の獲得)、ポケット底が下がって実は悪化しているか(歯肉退縮+付着の喪失)は、アタッチメントレベルを計測しなくてはわかり ません。

 

計測部位

 プロービングデプスやアタッチメントレベルは1歯ずつ計測していきますが、計測する歯面により、1点法、4点法、6点法などがあります。

 1点法は歯の周囲のどこか1個所(唇頬側のみとか、舌側のみなど)を計測します。

 4点法は唇頬側、舌側、および隣接面(頬側よりか、舌側よりかはまちまちです)を測定します。

 6点法は唇頬側、舌側、および隣接面(頬側よりと、舌側よりにわけます)を測定します。

 プローブは計測部位に「点」で挿入するよりも、少しずつ、ずらしながら測定した方が正確に深い部位をとらえられます。これをウォーキング・プロービングといいます。

 プロービング圧は20g程度です。プローブ先端部分の直径により、加える力は異なります。直径が小さければ圧力は強くなるので弱い力、直径が大きければ圧力は弱くなるので強い力に加減します。目安はポケット底にプローブが到達して、少し抵抗を感じるぐらいです。


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最終更新2013.1.3