様々な分類法
歯周疾患の分類法はひとつではありません。いわゆる、学派によって考え方が違います。ここでは学問的な意味合いから様 々な分類を提示しますが、ひとつだけで良い、という場合は日本歯周病学会の分類(2006)まで飛ばしてください。
アメリカの学会では、次のような分類が提唱されています。
早期発症性歯周炎 |
35歳以前で発現。組織破壊は急速。 |
成人性歯周炎 |
35歳以上で発現。組織破壊は緩慢。 |
全身疾患と関連した歯周炎 |
HIV感染(エイズ)などの全身的な免疫応答の変化、 |
壊死性潰瘍性歯周炎 |
急性壊死性潰瘍性歯肉炎から連続して起こる。 |
難治性歯周炎 |
現代的、包括的な治療にも関わらず、歯周組織の |
ヨーロッパの学会です。随分少なく感じるかもしれませんが、「現在の歯周病についての不十分な知識では、多様で異なっ た疾患を区別することは不可能であり、類似した疾患が重なって表現されているにすぎない」というコンセプトで構成されています。
早期発症性歯周炎 |
40歳以前で発現。組織破壊は急速。 |
成人性歯周炎 |
40歳以上で発現。組織破壊は緩慢。 |
壊死性歯周炎 |
乳頭部組織の壊死、偽膜の形成、歯槽骨の吸収。 |
これは口の中全体ではなく、一本一本の歯について診断をします。ちなみに、levisは軽度、gravisは重度、 complicataは複雑という意味です。complicataは補足的な診断になります。
歯肉炎 | 支持組織の喪失はみられない(仮性ポケット)。 プロービング時の出血 |
levis型歯周炎 | 歯根長1/3未満の支持組織の水平的喪失。 プロービング時の出血。 |
gravis型歯周炎 | 歯根長1/3以上の支持組織の水平的喪失。 プロービング時の出血。 |
complicata型歯周炎 | 楔状骨欠損(歯間部の骨クレーター、骨縁下ポケット) 根分岐部病変2度と3度 |
A. プラーク由来の歯肉疾患*
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*歯周組織に起こるが付着の喪失を伴わないか、付着の喪失がわずかで進行していかないもの。
B. 非プラーク由来の歯肉病変
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A. 限局型 B. 広汎型 |
A. 限局型 B. 広汎型 |
$疾患の範囲と重症度により、さらに分類される。
一般的な指針として、疾患の範囲は罹患部位が30%以下のものを限局型、30%を超えるものを広汎型とする。
重症度は臨床的アタッチメントロス(CAL)に基づき、CALが1または2mmのものを軽度、3または
4mmのものを中等度、5mm以上のものを重度とする。
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A. 壊死性潰瘍性歯肉炎(NUG) B. 壊死性潰瘍性歯周炎(NUP) |
A. 歯肉膿瘍 B. 歯周膿瘍 C. 歯冠周囲膿瘍 |
A. 歯周-歯内病変 |
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アメリカ歯周病学会の分類(1999)を元にして作成されたものです。病態(大分類)と病原因子(中分類)により分類に分けられ、さらに病原因子は細かい小分類がされています。ここでは大分類と中分類を提示します。
病態による分類 |
病因による分類 |
T. 歯肉病変 1. プラーク性歯肉炎 2. 非プラーク性歯肉病変 3. 歯肉増殖 |
1) プラーク単独性歯肉炎 2) 全身因子関連歯肉炎 3) 栄養障害関連歯肉炎 1) プラーク細菌以外の感染による歯肉病変 2) 粘膜皮膚病変 3) アレルギー性歯肉病変 4) 外傷性歯肉病変 1) 薬物性歯肉増殖症 2) 遺伝性歯肉線維腫症 |
U. 歯周炎 1. 慢性歯周炎 2. 侵襲性歯周炎 3. 遺伝疾患に伴う歯周炎 |
1) 全身因子関連歯周炎 2) 喫煙関連歯周炎 3) その他のリスクファクターが関連する歯周炎 |
V. 壊死性歯周疾患 1. 壊死性潰瘍性歯肉炎 2. 壊死性潰瘍性歯周炎 |
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W. 歯周組織の膿瘍 1. 歯肉膿瘍 2. 歯周膿瘍 |
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X. 歯周-歯内病変 |
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Y. 歯肉退縮 |
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Z. 咬合性外傷 1. 一次性咬合性外傷 2. 二次性咬合性外傷 |
最終更新2012.12.28