2024年9月の映画  戻る
ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ  
2024年 日本 112分
監督・脚本 阪元裕吾
出演 石あかり(杉本ちさと)/伊澤彩織(深川まひろ)/池松壮亮(冬村かえで)/前田敦子(入鹿みなみ)
メモ 2024.9.30(月) 大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
杉本ちさとと深川まひろは太陽が明るい南国宮崎に物見遊山の旅出張でやって来た。
ちゃちゃっと仕事を済まして、後はリゾート、食は宮崎牛だああと思っていたところ残念なことに強敵あらわる。
感想
「ベイビーわるきゅーれ」、「ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー」に続く3作目
人気が出てお金が落ちたのか池松壮亮と前田敦子という有名俳優出演の本作は、アクション多めおしゃべり控えめとなっておりました。
レトロな宮崎県庁の廊下を走るシーンがいい。池松壮亮の身体能力もすごいな。ちさととまひろ(ちさまひ)が鎌を持って戦うのもいい。
前田敦子は・・・少なくとも邪魔にはなってなかった。
まひろ(伊澤彩織)とかえで(池松壮亮)の戦いを見ていると、ふたりとも幾分小柄であり腕力に物言わせて骨をポキポキ折るってことはなく、 相手のふところに入って体のバネを使って戦う。忍者同士の接近戦ってこんなんやったんかもしれん。
衣装もいい。まひろのTシャツがかっこよくて目が釘付けになる。
 
1作目の「おでん美味しいね」というところは少なくなりスマートになっていて進化しているとも言えるし、メジャーになって個性が薄まったとも思える。。
2作目は真面目やのにヒエラルキーの底辺にいる殺し屋兄弟が「ちさまひは協会に所属していて(正社員で)いいな」と羨やむんやけど行動が短絡的で、こうエルモア・レナードとかタランティーノに出てくる人物みたいで面白かった。1作目はたるくてグロく、2作目はほのぼのしていて3作目は洗練されてきた。
最後の選択が違うバージョンとか、かえで(池松壮亮)の前日譚というスピンオフが作られるかもしんない。
子供はお釈迦様の化身なのかな。白いハンカチは蜘蛛の糸? ふみってかいてあったなあ。手紙? わからない。
★★★★戻る

サム=サマンサ SAM
2017年 米国 103分
監督 ニコラス・ブルックス
キャスト ナタリー・ネップ(サム=サマンサ)/ショーン・クライアー(ドク)/ブロック・ハリス(サム)/ステイシー・キーチ/モーガン・フェアチャイルド(ルル)
メモ 2024.9.28(土) prime video
感想
ブレイク・エドワーズ監督の映画「スウィッチ/素敵な彼女?」と同じく「朝起きたら女になってた」というお話。
とりあえずサムは”いとこのサマンサ”になる。
主人公の男性サムは女性と遊ぶのは好きやけど結婚して縛られるなんてまっぴら。基本女を軽視してる女嫌い。
ところが男友達連中は鵜の目鷹の目の女たちに捕まっていく。無念でならない。特に親友の産婦人科医のドク。
気のええヤツやのに、よりにもよって性悪女が恋人ときた。(まあサムから見るとどの女も悪友を奪う性悪なの)
 
軽いファンタジーで楽しい。サムとサマンサ、ドク、ドクの恋人の表情がとてもキュートで目にいい。
特にサマンサ役のナタリー・ネップという人がかわいい。ドレスアップ姿より、フード付きのスウェットが良かった。
 
不思議なところもある映画で、ひとつ目はバチェラーパーティで新郎が酔っぱらって頭にネクタイを巻いている。
これって世界的な酔っぱらいの習性なの? 日本だけかと思っていた。(といっても実際目にしたのは1回だけ)
ふたつ目はサムの部屋もドクの部屋も何もなくてとてもチープなこと。ここはポルノ映画の撮影現場かと思うくらいさっ風景。
ステイシー・キーチも出てるし、監督さんはメル・ブルックスの息子さんみたいやのに美術がこれなのは何故?
まあコメディはそれほど美術に凝る必要はないとは思うけど。
 
お話は理想なんかもね。というのは、ロバート・J・ソウヤーの小説ネアンデルタール・パララックス三部作でネアンデルタール人は普段は同性のパートナーと暮らしているってのを思い出したから。同性やと習性はわかるし元々気の合う親友やし理に適っているのかもしれん。
★★★1/2戻る

アビゲイル ABIGAIL
2024年 米国 109分
監督 マット・ベティネッリ=オルピン/タイラー・ジレット
キャスト アリーシャ・ウィアー(アビゲイル)/ジャンカルロ・エスポジート(「ブレイキング・バッド」)
メモ 2024.9.25(水) 大阪ステーションシティシネマ
感想
アイデアはええのにそれだけでモヤモヤする。期待していたほど突き抜けてなかった。
つかみはいい。が展開が冗長でラストもいまいち。そしてヒロインが地味。
シナトラ軍団の名前をもらった6人はそれぞれの過去が明らかにされてもそれっきり。その能力はどこへいったの。
と、6人の個性が生かされていない。子役のアビゲイルが一番演技うまいんちゃうかと思えてくる。
リーダのフランクと大男のピーターは最初にかまれてたけどどうもなかったの?
急に隠し通路が現われたのはどして?。
もしラスボスを始末したらアビゲイルは元に戻るんやない?
あの地下室のプールはなんのためにあるん?
となんや思い付きだけでお話を作っていて、ジョーイの子供でつじつまを合わせてる、と感じる。
脚本がイマイチなのか編集がアカンのか。撮りながら次を考えてたのか。
 
と好き勝手に酷評してますが、まあどなたさんもあんまり強くなくうだうだ戦ってるのはB級ぽくって良かった。
金髪のサミーは好き。ファッションも好み。
★★★戻る

侍タイムスリッパー 
2023年 日本 131分
監督・脚本・撮影・編集他 安田淳一
出演 山口馬木也(会津藩士高坂新左衛門こうさかしんざえもん)/冨家ノリマサ(熊本藩士)/沙倉ゆうの(助監督山本優子)/峰蘭太郎(殺陣師)
メモ 2024.9.20(金) TOHOシネマズ梅田
感想
映画が終わってナビオの8FからEVに乗るとふたりっきりだったせいか、同乗の女のひとから話しかけられる。
「面白かったですね。斜め前に座られてたので」(クスクス笑っていたのを見られていた。。のか?) あせる。
「・・・ナナゲイであっという間に上映終わってて、そしたら全国展開になったのでびっくりしました」
と答える。「ああ十三の・・・」 つかの間やけどなんか楽しい。うまく受けられたかな。「面白かったですね」と応じただけの方がよかったかな。
 
吉本新喜劇風味がちょっと入っているというか、ひとつ置いた隣の席に座ってた年配の男の人は退屈になるとスマホをこっそり見られていた(四回も)
という手作り感満載の映画。ドローンでの空撮とかはなかったと思う。
今までドラマや映画で一番かっこいいと思った剣のシーンは河原崎長一郎さんのかまえ。岩下志摩さんや三田村邦彦さんも出てはって調べると「夢ぞ見し」という1987年のドラマやったみたい。 原作は藤沢周平さんやったんか。御槍組で槍を磨いてばかりの無口な昼行燈が実は凄腕の剣の使い手であったというギャップ、そして重心を低くしたかまえとその姿勢のまま敵を追う。母が歌舞伎の血やねえと言ってた。
本作も最後の方は主人公が腰を落としてかまえる。相手の呼吸を見すえ、自分は息を吸ってはいて吸った時に攻める。よく出来ていた。ラストも面白い。
★★★★戻る

ヒットマン HIT MAN
2023年 米国 115分
監督 リチャード・リンクレイター
脚本 リチャード・リンクレイター/グレン・パウエル
原作 スキップ・ホランズワース
キャスト グレン・パウエル(大学教授ゲイリー・殺し屋ロン)/アドリア・アルホナ(マディソン)/オースティン・アメリオ(ジャスパー)
メモ 2024.9.18(水) 大阪ステーションシティシネマ
感想
コンゲームなのかなあ。。
うまい脚本やったけど、小難しい話が5回くらいあって長いように思う。もっと切ってもいいんちゃうかな。
まあ主人公が変わっていくところを見せているのかもしれんけど。。知らんけど。
 
またしてもドラマ「ビッグバン★セオリー」の話で恐縮ですが、オタク野郎4人は実際はとってもかっこいい人たちなんだと思う。
それを、髪型、服装、立ち居振る舞いであれだけダサダサに見せるのって、すごい。
本作も主人公ゲイリーは長ズボンをはく時にシャツをインしようとする。えーっと思ったがさすがにそれはなかった。
というくらい、野暮ったい。スターがオーラを消す。
対する女優さんも負けていない。マディソンは悪女なの、それとも何も考えていないの という境目を演じてはりました。
あの元妻の演説や講義を半分に切って、もうひとひねりさせた方がよかった。カンはいいのになんの保険もかけていなかったのね。素人相手とあなどってたのね。
★★★★戻る

チャイコフスキーの妻 ZHENA CHAIKOVSKOGO
2022年 ロシア/フランス/スイス 143分
監督・脚本 キリル・セレブレニコフ
キャスト アリョーナ・ミハイロヴァ(アントニーナ)/オジン・ルンド・バイロン(ピョートル・チャイコフスキー)
メモ 2024.9.12(木) テアトル梅田
あらすじ
1877年、チャイコフスキー37歳とアントニーナ29歳は結婚する。
わずか数か月後、夫は仕事だと言って旅立ち帰ってこなくなる。
やって来たのは夫の弟たち。「あんたといると兄は神経を病んで作曲できないねん。離婚して欲しい」という。
感想
「インフル病みのペトロフ家」のキリル・セレブレニコフ監督作品。
クラシック界の三大悪妻はハイドン、モーツアルト、そしてチャイコフスキーの妻たちらしい。
(映画「アマデウス」を見る限り、モーツアルト家は夫婦そろって遊び好きで浪費家やったみたいやけど)
悪妻悪妻ゆーけど、ロシアの至宝チャイコフスキーは同性愛者やってんから、結婚生活が破たんしたんは結婚してしまったチャイコフスキーにも責任の一端はあったんとちゃう? 偽装結婚やったんと違う? 妻の持参金にもちょっと目がくらんだんとちゃう?
と、世界に向かって声高に広めた監督さんは2022年にドイツに亡命しはったみたいです。
 
帝政ロシア末期、陰鬱で白黒の舞台劇のような絵に日がさす。美しい。
チャイコフスキーのセクシュアリティが表現されることは少なく、繊細な芸術家は兄弟姉妹の背に隠れ影が薄い。
一方誰の説得にも耳を貸さず現実を理解せず、ただただ執着するアントニーナは生きる力が強くその生はなまなましく描かれる、が周りを不幸にしていく。
男性優位社会で、男たちに囲まれ離婚を迫られ跳ね返すアントニーナは強いけど怖い、そして悲しい。
★★★★戻る

ラストマイル 
2023年 日本 129分 
監督 塚原あゆ子
脚本 野木亜紀子
出演 満島ひかり(エレナ)/岡田将生(梨本孔)/ディーン・フジオカ(五十嵐)/大倉孝二(刑事)/宇野祥平/火野正平/阿部サダヲ/安藤玉恵/アンナチュラル/MIU404/中村倫也
メモ 2024.9.2(月) 大阪ステーションシティシネマ
感想
オチが面白かった。どんだけがんじょうなの。
地下鉄でデジタル広告をぼんやり眺めていたら、Qoo10というところのCMでコンベアで流れている箱にロボットハンドがリップを入れている。その箱は飛行機で落とされ消費者の女性の手元に届く。
そんな訳ないやろーと心の中でつっこむ。見ている方をあほやと思ているんやろか。ATMかて電話線やケーブルを伝わってお札が送られてくるんやないんやから。
映画では巨大物流倉庫で靴屋の小人さんのごとく人が働き、商品を詰めた箱は人が運ぶ。末端に行くほど時間に追われ仕事はきつい。
翌日配送とかおかしいねん。どんだけ無理させてんねん。
とあらためて思う映画であった。でもネットで買い物をしてしまう。便利やから。
巨大物流倉庫のセンター長満島ひかりが「みんなつながっている」という。「ほんまに?」と思うが、配送会社の社長さんもお家の一大事では現場仕事をするってことでこの作品は繋がりを見せている。ちょっとは救いになっている。
 
そういえば東宝の会長やった方(松岡修三さんのお父さんやったと思うけど)も新人の頃は映画館のもぎりをしたと書いてはった。
大企業やオーナー企業のボンも他の会社に修行に行ったり、たとえ数カ月でも現場仕事を経験させるっていうのは今でもあるのかな。
ジュニアを受け入れる方もたいへんと思うけど。
フランスとかはエリートとそれ以外はまったくルートが違っていて、例えばカルロス・ゴーンさんは現場仕事を経験したことがないらしい。フランスではこの映画はなりたたんな。
★★★★戻る