2024年6月の映画  戻る
ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ THE HOLDOVERS 居残り
2023年 米国 133分
監督 アレクサンダー・ペイン
脚本 デヴィッド・ヘミングソン
キャスト ポール・ジアマッティ(教師ポール・ハナム)/ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ(料理人メアリー:アカデミー助演女優賞)/ドミニク・セッサ(バートン校生徒アンガス・タリ―)
メモ 2024.6.26(火)TOHOシネマズ梅田 6.26(水)大阪ステーションシティシネマ
感想
全寮制の学校で思い浮かぶのは、「チップス先生さようなら」「ハリー・ポッター」「飛ぶ教室」「トーマの心臓」
それぞれ英国とドイツの話やけど、本作の学校はベトナム戦争最中の米国ボストン近郊にあるらしい。
キリスト教徒最大のイベント、ホワイトクリスマスに家庭の事情で寄宿学校に居残り、となるとケストナーの「飛ぶ教室」かな。
ただこの映画は「飛ぶ教室」の様な心温まる先生と生徒ではなく(というほどケストナーは単純ではないが)、皮肉屋の教師と問題児の生徒というのけもののふたり、そして黒人の料理長という肌が合いそうにない3人。
年齢、人種、性別、生い立ち、境遇がばらばら。共通項はクリスマスは諸般の事情によりこの三人で過ごさなければならないってとこだけ。
しょっぱなに「ベトナム戦争か湾岸戦争で上院議員の子弟は従軍してないって問題になってたな。この子も大学行ってたら違ってたかも」
という格差社会を感じさせる。教師と生徒が見る映画が「小さな巨人」やったしね。
そして、家族の絆を強制させるクリスマスでも、家族がいるからつらいことも多いねんなと匂わしている。
 
考えてみると映画って、どうして疑似父と息子って話が疑似母と娘より多いのか。
男の監督が多いからか、男の子には父親的なものが必要やからか、それとも「母親は自分の子はいい子と思う。父親はいい子は自分の子と思う」からなのか。
う〜ん。わからない。
 
居残り組やったアメリカンフットボール野郎が「オヤジはヤワだ!」って勝利宣言してたのに、最後に髪の毛を切っていたのが面白い。彼に何があったのか。
そして先生がほのかな期待を持つ秘書は、ドラマ「グッド・ワイフ」「グッド・ファイト」で私の好きな変人弁護士エルズベス・タシオニ(キャリー・プレストン)でした。
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章/後章 
2024年 日本 前章120分 後章120分
キャスト 小山門出(幾田りら)/中川凰蘭(あの)/大葉圭太(入野自由)
メモ 2024.6.11(火)TOHOシネマズ梅田 6.19(水)TOHOシネマズなんば
あらすじ
3年前、突如東京上空に未確認飛行物体が出現する。米軍が勝手に新兵器で攻撃した結果大惨事となりそれは「8.31」と呼ばれるようになる。
そして巨大な物体は今も東京湾上空に鎮座している。
感想
「ソラニン」の浅野いにおの漫画をアニメ化。かどでおんたんの”絶対”物語。
前章の謎は後章で明らかになるが、なにゆえこのパラレルワールド設定が必要なのかわからない。
検索してみると、後章のラストが原作とは違うらしい。
アニメ化にあたりこの(必須とは思われない)設定を割愛するには忍びなかったのか、世界感のおおきさを残したかったのか。
加えておんたんの賢い兄ちゃんの行動と動機が謎。原作を読めってことね。
というもやもやはあるけれど、緊張と緩和のすばらしいアニメやった。特に前章のラストに圧倒される。
アニメーション制作のProduction +h.(プロダクション・プラスエイチ)という会社は Production I.G(プロダクション・アイジー)と関係あるみたい。
 
地下にオオナマズがいていつ直下型大地震が起こるかわからない日本国と、本作の様に上空にデンとわけわからない母艦が居座って圧迫している状況は同じなのかもしれない。でも見える危機と見えないのとは違うんやね。
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ユニコーン・ウォーズ 
2022年 スペイン / フランス 92分 
監督・脚本 アルベルト・バスケス
キャスト ニコ・タヴァゼ(イッサ)/ダニール・スピヴァコフスキ(イワン)
メモ 2024.6.9(日) T・ジョイ梅田
感想
スペイン発、かわいいテディベアと聖獣ユニーコーンが戦うダークアニメーション。
 
森では空を飛ぶもの、地をはうものなど様々が調和して暮らしていた。が、テディベアたちは本を見つけて知恵をつけ森の支配者になろうとする。
結果ユニコーンに森を追い出される。
それからテディベア族は宗教のもと、我々は選ばれた民であり、一致団結して森の奪回を誓い、聖戦と称し若者の軍事訓練を続けている。
 
このアニメーションを見たら戦争の愚かさがわかると思うねんけど、露西亜とかイスラエルの為政者は観ないのか観ても自分たちはユニコーン側と思うのか。民をまとめるための排他的な宗教は百害あって一利なしという展開でした。
 
(ここからネタバレ)
ネアンデールタール人とクロマニョン人の戦いの様やった。好戦的なのは人類のDNAに刷り込まれているという恐ろしいラストでした。
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