2016年11月の映画  戻る


インフェルノ 地獄 INFERNO
2016年 121分 米国 ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
監督 ロン・ハワード
原作 ダン・ブラウン
脚本 デヴィッド・コープ
キャスト トム・ハンクス(ロバート・ラングドン教授)/フェリシティ・ジョーンズ(元天才少女・医師シエナ・ブルックス)/イルファン・カーン (総統ハリー・シムズ)/オマール・シー(クリストフ・ブシャール)/ベン・フォスター(遺伝子科学者バートランド・ゾブリスト)/シセ・バベット・クヌッセン(WHOエリザベス・シンスキー)
メモ 2016.11.23(水)TOHOシネマズくずは
あらすじ
宗教象徴学者ラングドン教授が目覚めると病院にいた。ケンブリッジにいたはずなのに。窓の外を見ると塔が見える! ここはフィレンツェなのか。
どうやって来たのか何が起こったのかまったく覚えていない。そこに暗殺者が銃をぶっ放して乗り込んでくる。とりあえず病院服のまま逃げるラングドン教授と医師のシエナ。
事件の少し前、遺伝科学者のゾブリストは地球と人類の未来を憂いていた。このまま倍々で人口が増加すると地球を食いつくし後100年で人類は滅亡するのだ。
感想
原作の小説と2か所大きく違っていた。ひとつは結末。もうひとつは「人類の進化」について
常日頃ITだのモバイルだのと騒いでも、大量に早く遠くに情報は処理と伝達できるようになったけど、人は平安時代と同じく文字や言葉で伝えあっているやん。 筆と墨と紙がスマフォやタブレットに変わっただけやん。 そのおかげで複雑怪奇な社会になっているねん。 「人が進化してテレパシーで伝え合うようになった」訳やなし。 と冷たく思っていたんやけど原作を読むと「人類は進化の時代」に入ったんですと。へええと思っていたんやけど、映画はここんとこバッサリ割愛。
原作の「現実社会」が置いてきぼりになり「(あんたらばっかり)ずっこいわ。うちらどうしたらええん。」と思う結末もなし。
で、平凡な冒険活劇になっている。
 
イタリアに行ったことがないので(台湾しか行ったことがない)小説で想像できかねたフィレンツェ、ベネチア、イスタンプールの姿は力がある。ラストのハラハラもいい。前2作のおどろおどろしさはなし。
お薦め度★★★戻る

PK ピーケー 酔っぱらい
2014年 153分 印度
監督 ラージクマール・ヒラニ
脚本  ラージクマール・ヒラニ/アブヒアット・ジョシ
撮影 C・K・ムラリーダラン
キャスト アーミル・カーン(PK)/アヌシュカ・シャルマ(ジャグー)
メモ 2016.11.19(金)大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
ジャグジーは留学先のベルギーで悲しい恋をした。結婚を約束していた恋人に手紙一枚で去られたのだ。
自分はインド人、彼はパキスタン人。争いの歴史(今も国境では一発触発だ)、国籍や宗教を乗り越えることはできなかったのか・・・
傷心を抱かえ帰国したジャグジーはテレビ局に勤めニュースのネタ探しに忙しい日々を送っている。ある日「神様探しています」というチラシを配る男と出会う。しゃべらず目を剥いている男は変わっているけど新鮮。ビジュアル受けがいいかも。
感想
「ボンベイ」の国で「宗教なんでもオッケ、ウェルカム〜」 という明るいリベラルな映画が作られるとは・・・。遥か彼方の宇宙人に比べりゃ肌の色、宗教、国籍、言語みーんな違っても全員地球人。呉越同舟。運命共同体なのだ。
 
アメリカ合衆国ワイオミング州にやってきた宇宙船は満艦飾で「ピボパポピー」と言っていましたが、インドにやってきた宇宙船は雲に隠れしずしずと降りたちました。
お薦め度★★★★戻る

スター・トレック BEYOND 彼方へ
2016年 123分 米国
監督 ジャスティン・リン(「ワイルド・スピード」)
脚本 サイモン・ペッグ/ダグ・ユング
キャスト クリス・パイン(ジェームス・T・カーク)/ザカリー・クイント(スポック)/ゾーイ・サルダナ(通信士官ウフーラ)/サイモン・ペッグ (技術屋モンゴメリー・“スコッティ”・スコット)/カール・アーバン(ドクター・レナード・“ボーンズ”・マッコイ)/アントン・イェルチン(パヴェル・チェコフ)/ジョン・チョー(パイロット・ヒカル・スールー)/イドリス・エルバ(クラール「刑事ジョン・ルーサー」)
メモ 2016.11.18(金)TOHOシネマズ梅田
あらすじ
エンタープライズ号の艦長カークは3年に及ぶ深宇宙の探査に倦んでいた。あと2年もある。スポック副艦長も恋に仕事に悩んでいた。
寄港した宇宙基地ヨークタウンで、SOSを訴え落ちてきた救命艇ポッドに応じ未知の星へとエンタープライズ号は突っ込む。
敵は虎視眈々と待ち構えていた。
感想
エンタープライズ号が集中砲火を浴び粉々になっていく。オールドにはしょっぱなからショック。ユーモアも高めで面白いのに全体にもの哀しい。
あの人は「ジャミラ」やったん。
 
宇宙基地ヨークタウンでの追うシーンがジェットコースターみたい。疾走感あふれすばらしい。「スターウォーズ ジェダイの帰還」を思い出す。
「指揮官は大本営にいた方がいいんじゃ。おいおい」とも思うねんけど、あいかわらず自ら火中に飛び込むリーダ「体をはった野郎ジム・カーク」のみならず、本作はも頭脳派のドクター"ボーンズ"マッコイもスポック副艦長も体をはる。 敵を殲滅する方法が「マーズ・アタック」みたいなのも米国流で面白い。
 
カークの隣のチェコフ(アントン・イェルチン)ばかり見ていた。エンディングには「レナード・ニモイに捧ぐ」・・「アントンへも(FOR ANTON)」の文字(涙)
もうあのざらざらしたロシアなまりの英語(たぶん)が聞けないと思うと寂しい。
エンディングを眺めているとダグラス・トランブル監督が土星の輪っかを作るのに難儀したという話やのに、遠いところまで来たなと思う。
好き度★★★★1/2戻る

手紙は憶えている REMEMBER
2015年 95分 カナダ/ドイツ
監督 アトム・エゴヤン
脚本 ベンジャミン・オーガスト
撮影 ポール・サロッシー
編集 クリストファー・ドナルドソン
音楽 マイケル・ダナ
キャスト クリストファー・プラマー(ゼヴ・グットマン)/ブルーノ・ガンツ(最後のルディ・コランダー)/ユルゲン・プロフノウ(ルディ・コランダー)/ハインツ・リーフェン(ルディ・コランダー)/ヘンリー・ツェーニー(ゼブの息子チャールズ・グットマン)/ディーン・ノリス(ナチ信奉者の息子ジョン・コランダー)/マーティン・ランドー(マックス・ザッカー)
メモ 2016.11.17(木)大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
一週間前に妻に先立たれたゼブは、認知症をわずらっている。一方呼吸器をわずらって酸素吸入器を手放せないマックスは、友のゼブに以前の約束を思い出すようにうながす。妻のルースが亡くなったらアウシュビッツでの復讐に行くと約束したことを。71年前2人の家族はアウシュビッツでナチに殺された。神に変わっての復讐だ。
収容所のナチは身分をいつわりアメリカに逃げ、今もすべてを隠して暮らしているという。名前はルディ・コランダー。疑わしい4人の「ルディ・コランダー」に会って見つけだし落とし前をつけるため、ゼヴは老人ホームを抜け出しひとり旅に出る。電車に乗り長距離バスに乗り国境までも越える。
感想
いやはや、いやはや、、、神の長い手なのか。ナチ狩りの話なのか。天網恢恢疎にして漏らさず。第二次世界大戦後71年。追う方も追われる方も棺桶に片足突っ込んでいる。黄泉の国に旅立った人も多い。90才のジイ様が主役なのでアクションはありません。全体によぼよぼ。手も震える。頭の中ももやがかかったよう。そやのにサスペンスフル。
最後にエンディングロールを見ていると名優マーティン・ランドーの名前が・・・えっ どのじっちゃんやったの!・・・なんてこと、マックスやったんやわ。
 
ネタバレあります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ゼブがうたた寝して起きるたびに 「妻が死んだ」ことも 「ここがどこか」 「どうしてここにいるか」も忘れるねん。 そのたんび手紙を読んでは思い出す。 それが何度も繰り返される。 観客はそれをみて「そやから『手紙は憶えている』やねんな」  「ああ『博士の愛した数式』みたいに前向性健忘性(昔の事は覚えているけど新しい事が覚えられない)やねんな。と思う訳。  やるなあ。 うまいわあ。忘れていたのは新しい事だけちゃうかってんね。すっかり騙されましたわ(ウチだけか)。
お薦め度★★★★1/2戻る

淵に立つ HARMONIUM
カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞
2015年 119分 日本/仏
監督・脚本・編集 深田晃司(ふかだこうじ)
撮影 根岸憲一
出演 古舘寛治(父・鈴岡利雄「南極料理人」)/筒井真理子(母・鈴岡章江)/篠川桃音(娘・鈴岡蛍)/真広佳奈(娘・鈴岡蛍(8年後))/浅野忠信(ストレンジャー・八坂草太郎)/太賀(工員・山上孝司)
メモ 2016.11.3(木)文化の日(明治節) シネ・リーブル梅田
あらすじ
ひとりで金属の加工をしている鈴岡家は、父と母と10歳の娘蛍の3人家族。父は無口な職人、母はプロテスタント、娘はオルガンを習っている。平穏な家庭に突如八坂という男が現れる。八坂は鈴岡家の父利雄の昔なじみのようだ。謎めく八坂が去って8年。新米工員という新たなストレンジャーが鈴岡家にやって来た。事態は動き始める。
感想
不安定ながら均衡を保っていた家庭に異邦人がやってきて突如去る。テレンス・スタンプの「テオレマ」(パゾリーニ監督)の様な話かと思って見ていた。クォーターで色の白い浅野忠信が白いシャツのボタンを首まできっちり留め善人と悪人の狭間をゆらゆら揺れる。
スリリングな展開にどきどきしながら、残された人々のたどり着く先は? と思っていたんやけど「テオレマ」とは話が違っていたみたい。見終わって監督さんはアレコレいっぱい言いたいことがあるんやろうけどわからない。掴めない。不安でかつ怖い。
ネタバレあります。
 
 
 
 
 
 
これが「ひき逃げ事件」やったら、重い障害者とその家族の話になるんやろね。災難(悲劇)は突如やってくる。この不幸の原因を知りたい。誰かを責めたい。東野圭吾さんの「人魚の眠る家」を読んでいる最中やったんで、「こういう描き方もあるんか」と思考が重い障害に流れる。お父さんが妻と娘のどっちを先に助けるのか・・・・目が釘づけ。  娘とふたりとり残されても辛かろう。
生か死かの結論のない終わり方も障害者を支える「先が見えない」家族を表している様に思えてならない。
お薦め度★★★★戻る