2016年6月の映画  戻る


ズートピア Zootopia
2016年 108分 米国 ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ 55作目
キャスト ジュディ・ホップス(うさぎの新米警官)/ニック・ワイルド(キツネの詐欺師)/ボゴ署長(水牛)/ベンジャミン・クロウハウザー(チータ・受付係)/レオドア・ライオンハート市長(ライオン)/ドーン・ベルウェザー副市長(ひつじ)/ミスター・ビッグ(トガリネズミ)/フィニック(ニックの相棒)/フラッシュ(ナマケモノ)
メモ 2016.6.25(土) TOHOシネマズ梅田 
あらすじ
肉食獣が草食動物を襲うという長い歴史を経て、両者は共存し平和に暮らす世界「ズートピア」を作りあげていた。
(映画と関係ない小話)
たくさんの子供が自慢のねずみのお母さんがライオンのお母さんにたずねる。
「お子さんは何人ですの?」
 「ひとりです。」
ねずみのお母さんは言う「まあ、たったおひとり?」
 「ええ。でも、ライオンですから」
      (数の力と個の力)
感想
誘われてディズニー・アニメを見てきた。(ウチはどっちかというとピクサーのファン)
すごい技術力に圧倒される。
「アナと雪の女王」 「ミニオンズ」とはまた違う。「魔法にかけられて」のリスが進化して進化して進化した様子。
表情豊かでそれぞれが個性的。人間も黄色いの白いの黒いのと種々様々やけど、たかがしれている。多くの動物(哺乳類)を対象として大きいの小さいの細かいのと描きそれぞれの生活世界も表現されているという細かさ。中でも「ナマケモノ」のフラッシュと「トガリネズミ」のミスター・ビッグは傑作。マフィアはまた結婚式を挙げている(どんだけ多産やねん)
 
想像もしていなかった事やねんけど(擬人化された動物の話としか知らなかった)、これがバディ・ムービー。探偵ものやってん。
キツネのニックが、世慣れていてちょっと斜(しゃ)に構えているんやけどブロークンハートを隠し持っていて・・・若い頃のケヴィン・ベーコンみたい。
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マネーモンスター MONEY MON$TER 
2016年 95分 米国 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
監督 ジョディ・フォスター
脚本  ジェイミー・リンデン/アラン・ディ・フィオーレ/ジム・カウフ
撮影 マシュー・リバティーク
編集 マット・チェシー
キャスト ジョージ・クルーニー(司会者リー・ゲイツ)/ジュリア・ロバーツ(番組ディレクターパティ)/ジャック・オコンネル(爆弾男カイル)/ドミニク・ウェスト(実業家ウォルト)/カトリーナ・バルフ(広報担当ダイアン)
メモ 2016.6.18(土) TOHOシネマズ梅田 シネマイレージウィーク
あらすじ
投資情報番組「マネーモンスター」の踊る司会者リー・ゲイツは、生放送であるにもかかわらず台本を無視してやりたい放題。ディレクターのパティを始めスタッフ一同毎回緊張を強いられる。しかしその浮かれ男リー・ゲイツも驚く事態が起こった。生放送中に拳銃を持った若い男が乱入。怒り狂った男はゲイツに爆弾を詰めたベストを着させ、「この親指を離すと爆発する。」と告げる。
ゲイツが番組中に『銀行よりも安心』と宣言したアビゲイルの株に、母親の遺産6万ドルを投資したが株は急落し全財産をすったと言う。
感想
シネマイレージウィークで1100円で映画が見れて嬉しい!人間には、何がなんだか。借金して買ったわけやないんやから、株価が下がっても売らなきゃ損はしないんちゃうの? とか思って、、、仕組みがわからない。
 
新しい薬が開発されたとか、驚くべきエネルギーが作り出せるようになったとか、投資によって事業が進み多くの人が恩恵を受けるような事があったわけでもないのに上がったり下がったりする株価。 それは魔物、虚業
しかもコンピュータのアルゴリズム(プログラム)で自動高速取引されているらしい(高等数学みたいやけど、ド素人にはわかりません) 一瞬の隙をついて大きく儲けるんやね。(エレメンタリー(ホームズ)のドラマで回線の速さがどうのこうのとあった)
しかしその虚業で儲ける人もいるし、おすそ分けにあずかる人もいる。いけいけどんどん、市場が膨らむ。これが資本主義。
お金持ちの富がいわゆる「再分配」されて、貧しい人にも回ってくる時代は良かったけど、最近はお金持ちにも子供が少なく一人あたりの遺産は多くなり、金持ちはより金持ちに、貧乏人は貧しさから抜け出せない事態になっているらしい。(格差の拡大とか)
ねたばれあります。
 
犯人の恋人が説得するどころか「へそかんで死ね!」と罵倒したり、ゲイツの「人助け作戦」が人望ゼロで成功しないとか、金にはあんまり執着していない様子のアニメおたくがイザと言うとき役に立つとか、一筋縄ではいかない展開が面白い。
人ひとり死んでも会議は踊り、日常は変わらず続いていくラストがクール。清濁あっても回りつづけ成長していかないと60億人は養えず資本主義世界は滅ぶということなのかも。
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海よりもまだ深く
2016年 117分 日本
監督・原案・脚本・編集 是枝裕和
撮影 山崎裕
主題歌 ハナレグミ「深呼吸」
テレサ・テン 「別れの予感」
出演  阿部寛(篠田良多)/樹木希林(母・淑子)/真木よう子(良多の元妻・響子)/吉澤太陽(良多の息子・真悟)/小林聡美(良多の姉・千奈津)/池松壮亮(良多の後輩・町田健斗))/リリー・フランキー(探偵事務所の所長・山辺)/橋爪功(ご近所の音楽家・仁井田)
メモ 2016.6.4(土) 大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
15年前に新人賞を受賞した篠田良多は後が続かずミステリ、時代小説、ライトノベル、コミック全盛時代に「純文学は受け入れられない」と言いつつ作家を諦めきれず、ギャンブルに明け暮れ綱渡りの日々を送っている。作品のためと言い訳をして探偵事務所に勤め糊口を凌ぐ。妻はそんな夫に愛想を尽かし息子と家を出て行った。そうなると妻子に執着しだす。
そんなこんな大きな息子を心配し、じっと見つめる母がいた。
感想
思ったようにならないのが人生。 子供を育てる、お金を稼ぐ、そして親の老いなど避けられない事が家族にはある。
鑑賞する人の視点により感想は変わると思う。ウチの場合はお母さんの樹木希林さんに注目する。
テレサ・テンが歌う「海よりも深い」より「まだ深い」愛情は、親の愛なのか。老いてきた母は元嫁にあやうい息子の面倒を見てほしいと願っている。手前勝手なのは百も承知やねん。
 
是枝監督が「自分の両親をモデルにした」と言われていた「歩いても、歩いても」との類似点が多い。「歩いても、歩いても」が「ブルーライト・ヨコハマ」の歌詞と知った時は驚いた。
まず、もうこの世にいない人の存在がある。「歩いても、歩いても」では医者であり出来の良かった長兄。海で子供を助け溺れてしまった。本作はどうしようもなかった父。どちらも突然の別れ。
そしてしっかりちゃっかり者の姉がいる。ちいママであり、主人公は頭が上がらない。姉は頼りにされているが、母にかわいがられているのは弟の方だと知っている。
姉の尻に敷かれている婿さんもいた。「歩いても、歩いても」は口ばかりだったが、本作では窓ガラスの修繕をする。
トウモロコシの粒を揚げたのと、カレーうどんという家族の味がでてくる。
家畜 家庭的でない男は、現代の日本の家庭に居場所がない。という事実も根底にある。
そして小学生の息子とのぎくしゃくした関係。本作では本音では「ひと月に一度息子と会えればいい」と思っている。
「歩いても、歩いても」より進化し、たっしゃな会話が面白く笑える。(阿部寛もうまくなったもんだ)
(母が息子に突然の別れで夢にでてこられるのと、なかなかお別れ出来ないのとどちらがいいかと聞くのに笑った。どっちもいややわ)
 
  どうして男って今を楽しめないのかしらねぇ
 
是枝監督は2作目で、あざとすぎるくらいうまいなあと思うんやけど、「誰も知らない」を撮った監督なのでどこか好きになれない。 大きな衝撃を受けたあのひどい事件を受け入れられないんやね。映画「誰も知らない」を見ることもできないんやから。
 
樹木希林さんは、「あん」といい、今、ある監督たちのミューズではなかろか。
終わりかけの「クローズアップ現代」に出てはって、またがん治療で入院すると言われていた。
「クローズアップ現代にでますか?」って聞かれて「ハイ〜ハイ〜出ます出ます」って手を挙げたの。国谷さんに会いたかったの。
あなた、NHKの宝よ。と語られていました。
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