2015年6月の映画

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2015年　113分　日本／仏／独

監督・脚本　河瀨直美

原作　ドリアン助川「あん」（ポプラ社）

撮影　穐山茂樹

美術　部谷京子

編集　ティナ・バス

主題歌　秦基博「水彩の月」

出演　樹木希林（徳江さん）／永瀬正敏（店長さん：千太郎）／内田伽羅（わかなちゃん：本木雅弘さんの娘さん）／市原悦子（徳江さんの友達よしこちゃん）／水野美紀（わかなちゃんの母）／浅田美代子（「どら春」のオーナー夫人）／太賀（わかなちゃんの先輩）／兼松若人（オーナ夫人の生意気そうな甥）

メモ　2015.6.28（土）　シネマート心斎橋

あらすじ

どら焼き屋「どら春」の雇われ店長（永瀬正敏）は売っているどら焼きも１個全部食べたことがない辛党。訳あってどら焼き屋をやっている。あん作りは難しく挑戦しても焦がしてしまったりで、今は営業用のあんを使っていた。桜の頃バイト募集の張り紙を見たと年老いた女の人が「どら春」を訪れる。７６歳の徳江さん（樹木希林）は、「年齢不問？」と言うが、さすがに店長さんは「どら焼き屋も案外重いもの持つんで、無理だと思います。」とやんわり断る。それでもめげずにまたやって来た徳江さんは、「私が作ったの」といってタッパーに入れた「あん」を置いて帰る。捨てるつもりが思い返してなめてみた店長さんは驚く。「同じあんとは思えない」

またやってきた徳江さんにあん作りを頼む店長。翌日朝も明けぬ頃からふたりであん作りを始めるが想像を遥かに超えた根気のいる作業だった。徳江さんは「遠くからよく来たね」と話しかけ小豆の声を聞き湯気の音を聞いている。

樹木希林さんが神がかってはる。なんやら神々しい。

市原悦子さんが現れた時も驚いた。。。もうすごいわ。初共演やねんて。監督さんどんだけおばあちゃん好きやねん。

チラチラ見ていた「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」に出てはった悠木千帆さんは「変わってはるなぁ」と思っていたんやけど、化けはったのか時代がこの人に追いついたのか。すごみを感じたのは「夢千代日記」からかなあ。きれいな吉永小百合さんを喰ってたもん。黒柳徹子さんも「なんか迷ってはるなあ」と思っていたらニューヨークに行きはって玉ねぎ頭になりはって化けはったね。変わらないのが市原悦子さん。最初に見たのがＴＶで見た「若きウェルテルの悩み」の舞台。ウェルテルが石坂浩二さんで想い人のシャルロッテ役やったと思う。あのふあふあした感じはそのまま。３人に共通しているのはすごい美人やないところやね。味があるから長持ちする。

河瀨直美監督は「につつまれて」　「萌の朱雀」　「かたつもり」と見て「日本語字幕つけて」と思ってそれっきりやったんやけど見てよかったわ。言葉よく聞き取れたわ。

お薦め度★★★★戻る

サンドラの週末　TWO DAYS, ONE NIGHT

2014年　97分　ベルギー／フランス／イタリア

監督・脚本　ジャン＝ピエール・ダルデンヌ／リュック・ダルデンヌ（「息子のまなざし」「少年と自転車」）

撮影　アラン・マルコァン

美術　イゴール・ガブリエル

衣装　マイラ・ラマダン・レヴィ

編集　マリー＝エレーヌ・ドゾ

キャスト　マリオン・コティヤール（「エディット・ピアフ～愛の讃歌～」サンドラ）／ファブリツィオ・ロンジョーネ（サンドラの夫・マニュ）／クリステル・コルニル（サンドラの同僚アンヌ）／オリヴィエ・グルメ／カトリーヌ・サレ（サンドラの同僚ジュリエット）

メモ　2015.6.13（土）　シネリーブル梅田

あらすじ

公営住宅から抜け出し夫とふたりの幼い子の４人家族のサンドラは失業の危機に陥っている。うつ病を完治し休職していた会社への復帰を願うと、会社から「君が休みの間に工場は１６人でやっていけることがわかった。復職するには同僚に1000ユーロ（14万円くらい）のボーナスをあきらめてもらうしかない。」週明けの月曜日に同僚の１６人による「サンドラかボーナスか」の投票があり、過半数を超えれば残れると言う。太陽光パネルを作っている会社はアジア勢に押されて経営が苦しいという。

苦しむサンドラを夫は叱咤激励し、「ボーナスはあきらめて、私に投票して」と頼みに土日に老若男女、人種も様々な1回目の投票で「ボーナス」と書いた１３人の同僚の家を訪ね歩く。

厳しい話やった。かなりユニークな話でもある。サンドラの夫マニュが「指は何本ある？」って聞くところは少しおかしい。

新聞に二者択一の実話が載っていてそれに触発されたとダルデンヌ兄弟は日経新聞で話してはりました。（現代は薄れている）助け合いの心について語りたかったみたい。

「頭下げて回って、同僚を割れさせて、復職しても負い目を持ったまま働けるんやろか」という疑問は少し触れられるだけで、きれいに終わった。ここがこの話の苦しいところやと思う。まあそこに注目したあかんねん。主題ではないねん。

サンドラがうつ病になった原因にもまったく触れられていない。息子が溺れる夢を見て飛び起きるシーンから幸せやのに不安症やねんやろなというのが感じられるだけ。誰にでも起こりうる事と言ってはるのかもしれん。そこは主題ではないねん。

うつ病というのがこの話のまた微妙なところ。怪我とかであれば完治も信じられるけど出たり入ったりでは同僚も困るんやろね。

「助け合い」と言えば、悪の権化のように言われる建設業界の談合も、見方を変えれば「助け合い」。過当競争の結果の安かろう悪かろうも防ぐ。でも世界と戦わなあかんねんから業界も変わらんとあかん。

つまり人が余ると言う事は、人が多すぎる。地球が養うのには多すぎるのか。それとも競争ばかりで自由主義経済の「富の再分配」がされず、大いに偏っているから生活に困る人がでてくるのか。

何にしろ私が受け取らないといけないメッセージは「労働は尊い」と言う事やねん。たぶん。

お薦め度★★★1/2戻る