2016年4月の映画  戻る


スポットライト/世紀のスクープ SPOTLIGHT
第88回アカデミー作品賞、脚本賞
2015年 128分 米国
監督 トム・マッカーシー
脚本 ジョシュ・シンガー/トム・マッカーシー
撮影 マサノブ・タカヤナギ
編集 トム・マカードル
音楽 ハワード・ショア
キャスト マイケル・キートン(特集記事欄《スポットライト》のリーダ・ロビー)/マーク・ラファロ(記者マイク・レゼンデス)/レイチェル・マクアダムス (記者サーシャ・ファイファー「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」)/リーヴ・シュレイバー(編集局長マーティ・バロン)/ジョン・スラッテリー(ベン・ブラッドリー・Jr)/スタンリー・トゥッチ(弁護士ミッチェル・ギャラベディアン)
メモ 2016.4.24(土) TOHOシネマズ梅田
あらすじ
2001年の夏、ボストン・グローブ紙に親会社のニューヨーク・タイムズから新しい敏腕編集長(リーヴ・シュレイバー)が送られてくる。落下傘部隊の新しい編集長は地元にしがらみがなく、過去のコラム「神父による児童虐待」について調べるように命じる。指示されたのは特集班の四人。ボストン・グローブ紙の読者の大半がカトリック信者。地域社会に根を張り強大な権力を持つ教会、警察も検察も及び腰。被害者達の口も重い。
感想
「アントニア」にも描かれていたカトリック神父の性的虐待と教会の組織的隠蔽を暴き2002年にビューリッツ賞を受賞したアメリカ、ボストン・ブローブ紙のスクープ、アメリカの良心を克明に描く。地域社会の一員ながら真相にせまる勇気ある人達だ。  繰り返される問題を隠し、問題の根っこを解決しようとしないというのが最もいけない。
 
子供へレイプを繰り返す神父たちを診断してきた精神科医(セラピスト)の「精神年齢は12歳」が恐ろしい。優しげにもっともらしい事を語るのにたけた反社会的人間であり、たちが悪く断罪されることはない。休ませ、異動させ大罪を隠す教会。問題はもっともっと小さいが、教育や指導のできない教師を1年担任させては学級崩壊を起こさせ、担任から外し2、3年ふらふらさせて、また3、4年生を担任させては1年で沈没を繰り返している公立の小学校の様だ。文科省や教育委員会は疲弊している現場まかせで何をしているんや(と18年前に思っていました。) 子供に対する罪は隠す傾向が社会にある(問題を大きくしたくない)。
 
あってはならない取り返しのつかない大きな罪やけど、カトリックの信者ではないので、その精神世界への衝撃についてわかったような事は言えない。また4月14日、16日の熊本地震の後でかなりしおたれていたので、「調査により世界中で1000人の被害」というテロップを見て、「90万人を超える死者が予想されるに南海トラフに比べたら」と一瞬思ってしまったいけない人間であることをここに告白いたします。
お薦め度★★★1/2戻る

最高の花婿 
2014年 97分 仏
監督 フィリップ・ドゥ・ショーヴロン
脚本 フィリップ・ドゥ・ショーヴロン/ギィ・ローラン
撮影 ヴァンサン・マチアス
キャスト クリスチャン・クラヴィエ(クロード・ヴェルヌイユ(父))/シャンタル・ロビー(マリー・ヴァエルヌイユ(母))/エロディ・フォンタン(ロール・ヴェルヌイユ(四女))/ヌーム・ディアワラ((四女の恋人シャルル))
メモ 2016.4.2(土) シネ・リーブル梅田
あらすじ
フランスのロレーヌ地方に住むヴェルヌイユ夫妻は美しい娘が4人いる果報者。妻のマリーは地元の美しいカトリック教会で娘たちが結婚式を挙げるのを夢見ていた。ところが長女はムスリム、次女はユダヤ人、三女は中国人と国際色豊かに区役所で式を挙げる。
ご近所には「多国籍一家」と陰口をきかれる始末。
残る四女が希望の星だ。そして四女からカトリック教徒と結婚すると告げられる。とうとう春が来た!
やっとカトリック教会で式を挙げられる!と喜んだのもつかの間・・・・・・・。
ママは寝込み、パパは薪を割り庭の木を切り倒しととまらない。
四女の結婚相手を知った姉妹たちは、自分たちの事はさておいて両親にとって「最後の藁の一本になるやもしれず」と長女、次女、三女は一計を案ずるが。
感想
「招かれざる客」(1967年米)から50年。家庭内の人種、宗教問題という深刻な内容がコミカルに作られている。
かなりおかしくて笑えるんやけどね。翻訳は薄められていると思うけど、キツイユーモアに満ちている。
 
   なりそめを聞いた恐い顔した婚約者シャルルの父が、三女の夫銀行員のシャオ・リンに言う。
   「君は客をナンパするのか」
        シャオ・リン「・・・・・結婚しましたあ!」
 
   四女の婚約者シャルルがクロードとマリーに言う。
     「娘が4人で良かったですね。次はロマだったかもしれない。」(**)
 
「自由、平等、博愛」を国是に掲げてきた仏蘭西は大変な事になっている。
混沌の中それでも頑張ろうという映画の意図は2015年11月の「パリ同時テロ」の後も続けられるのか。
 
   パパの言葉  「博愛で育てた結果がこれだ!」
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