2015年10月の映画  戻る


アンフェア the end
2015年 104分 日本
監督・脚本 佐藤嗣麻子
原案 秦建日子(はたたけひこ)「推理小説」
撮影 佐光朗(さこうあきら)
編集 穗垣順之助
主題歌 三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE「Unfair World」
出演 : 篠原涼子(雪平夏見)/永山絢斗(ながやまけんと瑛太の弟・津島直紀)/阿部サダヲ(小久保)/加藤雅也(検視官三上薫ちゃん)/寺島進(山路)/佐藤浩市(一条)/ 吉田鋼太郎(特捜部長)/AKIRA(武部検察官 EXILE)
メモ 2015.10.29(木) 梅田TOHOシネマ
感想
「世の中にはフェアな事なんて何も無い。目には目を。復讐には復讐を。アンフェアには、アンフェアを」
2006年TVドラマで始まったシリーズ10年目の完結編。映画化3作目
殺された父の敵を探すため警察官になり、結婚したものの「パチンコ店立てこもり事件」で未成年者を人質救出のため射殺。離婚して娘は夫に引き取られ、寝に帰るだけの部屋はごみで一杯、大酒のみで倒れこむように裸で寝ては「無駄に美人」と言われるほんまに美人の雪平夏見警部補。
原作を超えたTVドラマ版は瑛太(安藤)をブレイクさせた(私の中で)。映画はドラマ版を越えなかった印象。
だいたい複雑な心のうち抱えた一条の人物造形が難しすぎる。無理がみえる。「アンフェア」にするためにしかたないのか。
後手後手に回る敵の脇も甘い。
ぎりぎり崖っぷちの雪平、「娘(の美央)は特別なの」は良かったな。 山路(寺島進)が「雪平っ お前が何をしているのか知らんが、お前は続きをやれ」は面白いセリフやった。EVでの一条(佐藤浩市)と武部(AKIRA)の戦いもいい。
お薦め度★★1/2戻る

岸辺の旅
第68カンヌ国際映画祭 ある視点部門監督賞
2014年 128分 日本/仏
監督 黒沢清
原作 湯本香樹実「岸辺の旅」
脚本 宇治田隆史/黒沢清
撮影 芹沢明子(J.S.C.)
編集 今井剛
出演 深津絵里(瑞希)/浅野忠信(優介)/小松政夫(新聞配達所・島影)/村岡希美(食堂・フジエ)/奥貫薫(農家の嫁・星谷薫)/赤堀雅秋(星谷タカシ)/千葉哲也(食堂の主人)/蒼井優(優介の愛人・松崎朋子)/柄本明(農家の主人・星谷)/首藤康之(瑞希の父)
メモ 2015.10.10(土) テアトル梅田
あらすじ
3年前に行方不明となった夫を待つ瑞希の元に、夫優介が現れ「自分は死んだ」と話す。海の底に沈みカニに食われたから見つからないらしい。瑞希は別れを告げに現れた優介とともに、失踪中の優介の足跡をたどる旅に出る。訪れる先は、それぞれ死者と訳ありの人たちだった。
感想
しっとりした映画やった。生者がせつない。
月の光や水の流れ、風のざわめきがこの世とあの世をつなぎ、花の絵のコラージュが極楽の様。監督さんが幽霊を描き続けた感性が光る。心がざわつく。
全体に甘すぎず、観客を泣かせず、優介が自然体でたんたんとしている。諦念か、それとも気が済むまで生きはったんかな。
すぐそばにいた死者たちは心残りを済ませ死者の世界に帰っていく。それを受け生者は現世で前に踏み出す。
 
 
この間美容院の店長さんに「渡辺謙さんが日本の俳優ももっとハリウッドにでないとあかん。韓国や中国に負けている。って言うてはった。」と話をすると「ハリウッドで日本の演技や映画がわかるんやろか。」との返事。「どうやろ。ヨーロッパでは評価もされているみたいやけど。背中で語るってのは難しいのかな。」と返す私。
そうやね。この静かな映画はアメリカでは無理かも。飛んだり跳ねたり笑かせたりがないから、日本人にも無理な人は多いかも。
お薦め度★★★★戻る

ピエロがお前を嘲笑う WHO I AM
2014年 105分 独逸 ファントム・フィルム
監督・脚本 バラン・ボー・オーダー
キャスト トム・シリング(ベンジャミン「コーヒーをめぐる冒険」)/エリアス・ムバレク(マックス)
メモ 2015.10.3(土) 梅田ブルク7
あらすじ
指名手配中のベンジャミンが警察に出頭する。命を狙われていて警察に保護して欲しい、代わりに今までの顛末を話すと言う。
彼が語るには、自分は人づきあいが苦手で学校時代はパソコンおたく。子供の頃に父は失踪、母は自殺、祖母に育てられ
大人になってからは祖母の介護をしながらピザの配達をしているという悲惨な状況。大学にピザを配達するとマリと遭遇する。子供時代のあこがれの子。
落第を心配する彼女を密かに助けるため大学に潜り込み問題用紙を手に取ったところでお縄。罰として50日間の奉仕活動をしていたところでマックスと出会う。マックスと仲間2人はハッカーだった。ベンジャミンはハッカーの能力に目覚め、4人でハッカー集団「CLAY(クレイ)」を名乗り、アノニマス越えをめざし、サイバー内に君臨するハッカーMRXに認められたく、ネオナチをからかい難攻不落の牙城金融機関にハッキングを繰り返す。そして調子に乗っていると思わぬ落とし穴があった。
感想
なんというか・・・超有名なミステリ映画「ユージュアルサスペクツ」の様に始まる。
暗喩になっている角砂糖を使ったマジックがしゃれてる。「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」のザック・ガリフィナーキスの様なふとっちょの人がよかったな。
 
映画を見終わった後、EVで降りていたら前にいるカップルが「なんでハッカーをしたいかわからん」 「お金を奪うわけやないのに」 「そこんとこ説得力がないわ」 と話をされてた。人を選ぶ映画なんかな。
現実世界で評価されるルックス、学歴、財産、地位とはまったく関係なく、国境のない国籍のないサイバー空間で実力と存在感を見せつけ、神出鬼没に世間をあっと言わせ、権力者をきりきり舞いさせる。さぞ痛快やと思う。 そしてそれは「フリー(自由)」・・・なんやろね。
最近「ブラックハット」といい映画で良いハッカーが持ち上げられているけれど、悪いハッカーもいるわけで、コンピュータ制御のこの世を滅ぼさないことを祈るばかりなり。
お薦め度★★★★戻る

キングスマン KINGSMAN: THE SECRET SERVICE
2014年 129分 英国
監督 マシュー・ヴォーン(「キック・アス」)
原作 マーク・ミラー/デイヴ・ギボンズ
脚本 ジェーン・ゴールドマン/マシュー・ヴォーン
撮影監督 ジョージ・リッチモンド
音楽 ヘンリー・ジャックマン/マシュー・マージェソン
キャスト コリン・ファース(ハリー・ハート)/タロン・エガートン(エグジー)/マイケル・ケイン(アーサー)/サミュエル・L・ジャクソン(リッチモンド・ヴァレンタイン)/マーク・ハミル(アーノルド教授)/ソフィア・ブテラ(ガゼル)/ソフィー・クックソン(候補生ロキシー)
メモ 2015.10.1(木) 梅田ステーションシティシネマ
あらすじ
国を越え世界のために戦うシークレットサービスへの入口は、ロンドンのサヴィル・ロウにある高級紳士服店「キングスマン」。 出口なし状態やった労働者階級の若者エグジーはハリー・ハート(コリン・ファース)にスカウトされ、候補生のひとりとなる。他の候補生は上流階級出身のエリートばかりなり。しかし過酷でシビアな訓練でひとり、またひとりと脱落していく。
その頃、IT長者のアメリカ人リッチモンド・ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)は、世界を救うための寄付にあきあきし見切りをつけ、世界の浄化を目論んでいた。
感想
痛快。SFでもある。  アレは何ですか。「マーズ・アタック」ですか。
イギリス紳士のハリー・ハート(コリン・ファース)と、アメリカのやんちゃヤンキーリッチモンド・ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)の好対照が楽しい。コリン・ファースは現代の騎士。
見どころはいくつもあるけど、教会でのブラッディバトルシーンがいいな。サミュエル・L・ジャクソンやなくて、コリン・ファースがハードアクションするねんよ。スローモーションで見せ場満載。
   (今回はなかったけど、いつも思うねんけど「苦虫噛み潰したような顔」は、コリン・ファースとクリント・イーストウッドが光る。)
 
そして驚きは本作だけではなかった。エンドロールに「マーク・ハミル」の名前が・・・。アーノルド教授やったの。そうなの。「スター・ウォーズ」のルーク・スカイウォーカ-が。時というのは恐ろしい。
 
ロバート・J・ソウヤーの小説に「ホミニッド ―原人―」 「ヒューマン ―人類―」 「ハイブリッド ―新種―」のネアンデルタール・パララックス三部作ってのがあって、ネアンデールタール人が生き残った地球がもう一個あり、量子コンピュータを発明したネアンデールタール人の地球と攻撃的なクロマニョン人を祖先に持つ地球とに道ができるって話。
ネアンデールタール人は平和的でマンモスも生き残っている。人口も増えず自然と共生し、普段は同性のパートナーと暮らし、異性のパートナーとはたまに会い、子供は女性達が育てるという理想郷。 人が増え過ぎて地球のウィルスになっているっていう悪役リッチモンド・ヴァレンタインの説も一理ある。(といっても、そやから今すぐいなくなれって言われてもねえ)
お薦め度★★★★1/2戻る