2013年7月の映画  戻る


ジェーン・エアJANE EYRE
2011年 123分 英国/米国
監督 キャリー・ジョージ・フクナガ
原作 シャーロット・ブロンテ
脚本 モイラ・バフィーニ
撮影 アドリアーノ・ゴールドマン
音楽 ダリオ・マリアネッリ
キャスト ミア・ワシコウスカ(ジェーン・エア「キッズ・オールライト」「アリス・イン・ワンダーランド」)/マイケル・ファスベンダー(エドワード・フェアファックス・ロチェスター「フィッシュ・タンク」)/ジェイミー・ベル(セント・ジョン・リバース牧師)/ジュディ・デンチ(フェアファックス夫人)
メモ 2013.7.27(土)WOWOW録画
感想
傑作!
原作の持つキリスト教的宗教色を極力薄めて、現代の万国に通じるラブストーリーとなっている。
「魂と魂が惹かれる」・・・わぉ。静謐で禁欲的で美しい。
過去の時間軸を変えて原作ファンには変化を持たせ、フェアファックス夫人に事の顛末を語らせるなど未読ファンにもわかりやすく、作った人々の並ではない力量を感じる。終わり方も長々とせず余韻を持たせ(「ウェイクアップ(目を覚まして)」)、さぼてんの好きな「必要かつ十分」な作りだ。
 
原作「ジェーン・エア」にはすばらしいシーンがいくつもあるんやけど、特に家庭教師を蔑む客人達からひとり離れるジェーン・エアとそれを追いかけるロチェスターの「目に涙が・・・」の大好きなシーン(あんたが泣かしたんやろー)を、押し付けがましくなく細やかに描いているところなど、監督さんも脚本家さんもわかってはるやないの。 監督さんのキャリー・ジョージ・フクナガって方は日系アメリカ人四世の人らしいんやけど(映画中のあの花は桜よね)、「ジェーン・エア」って男の人が読んでもぐっとくる話なんかな。ちょっと不思議。
 
色が透けるように白く清純で悲しそうなミア・ワシコウスカも、運命に翻弄され曲がり苦悩するマイケル・ファスベンダーもいい。オーソン・ウェルズを越えるロチェスターが現れるとわ。おじさんやないのがいいのかも。そしてジュディ・デンチのフェアファックス夫人。ジェーンとエドワードのふたりの世界に戸惑う姿が笑ってしまう。原作にない魅力だ。この人007のMもできるし。なんなん。すごいわ。
お気に入り度★★★★★戻る

フィッシュ・タンクFISH TANK
カンヌ国際映画祭審査員賞
2009年 123分 英国
監督・脚本 アンドレア・アーノルド
撮影 ロビー・ライアン
キャスト ケイティ・ジャーヴィス(ミア)/マイケル・ファスベンダー(コナー)/カーストン・ウェアリング (ミアの母ジョアン)/ハリー・トレッダウェイ(ミアのボーイフレンド・ビリー)/レベッカ・グリフィス(タイラー)
メモ 2013.7.20(土)WOWOW録画
あらすじ
ミアはロンドンの団地に若い母親と妹の女三人暮らし。母親は働く様子もなく昼間から飲んだくれている。ミアは学校に行っていない国の問題児であり、最近イライラして地元の友達ともうまくいってない。ダンスだけが心の拠り所。ひとりで練習している。そんな日家に男が現れた。母親のボーイフレンドらしい。刺々しいミアにも優しくしてくれる大人の男だ。
感想
かすかに光明も見えるが、痛々しく救いない話だ。この映画、ミアがきれいな顔の子でなけりゃ見てらんないかもしれん。それでもいい映画だよ。
 
英国は社会保障が手厚いのか、若い女の子が親から独立する手っ取り早い方法は、妊娠する事らしい。そうすれば国は部屋を用意してくれるし、保護のお金もくれる。幼い母親が育てた子は、働く親の背中を見るわけでもなく、勉強をする環境にもなく、自分の居場所を見つけられない。その負のパワーがロンドンでの暴動に爆発した・・・と以前新聞で読んだ。
上を見ても下を見てもきりはない。とはいえ、生まれつき持てる者と持たざるものの差は大きい。豊かでも逆転しにくい既得権益が守られる閉塞した社会になっている。
お薦め度★★★★1/2戻る

アンコール!!
2013年 94分 英国
監督・脚本 ポール・アンドリュー・ウィリアムズ
撮影 カルロス・カラタン
キャスト テレンス・スタンプ(アーサー)/ヴァネッサ・レッドグレイヴ(マリオン)/ジェマ・アタートン(エリザベス)/クリフトファー・エクルトン(アーサーの息子ジェームズ)
メモ 2013.7.6(土)TOHOシネマズ梅田
あらすじ
性格が正反対の70代の夫婦アーサーとマリオン。マリオンは外交的で友達が多い。今日も病を押してコーラスの練習だ。一方アーサーは人付き合いが得手ではなく、いつも苦虫を噛み潰した様な顔をしている気難し屋さん。息子ともうまくいっていない。マリオンは自分亡き後のアーサーの行く末が心配で、死んでも死に切れない。夫が困惑するのもとりあわずシンディ・ローパーの歌「トゥルー・カラーズ(本当の色を見せて)」まで熱唱する。
感想
彼の国は、70過ぎても映画で主役がはれるんです。たいしたもんです。アーサーの不器用ながらも妻を愛している描写が涙。ふたりは添い遂げる。
と、いいお話なんやけど、はじけ方が足りないのか、訳が足りないのかもっとチクチク言い合って、クスクス笑えるかと思っていたのにそこは残念。とはいえ老優 名優ふたりの熱唱が聞けるのが尋常ではない。。芸とは演じるとはをこれでもかと魅せつけます。
そやねんけど、「テレンス・スタンプ」は孤高の人が似合うねんなあと思ったのはウチだけ?・・・。
お薦め度★★★1/2戻る