2009年10月の映画  戻る


悪夢のエレベーター
2009年 日本 105分
監督 堀部圭亮(ほりべけいすけ)
原作 木下半太『悪夢のエレベーター』
脚本 一/堀部圭亮
撮影 北信康
出演 内野聖陽(うちのまさあき:安井三郎)/佐津川愛美(さつがわえみ:愛敬カオル)(「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」/モト冬樹(静夫)/斉藤工(さいとうたくみ:小川順)/本上まなみ(妻麻奈美)/芦名星(あしなせい:愛人陽子)
メモ 2009.10.23(金)シネ・リーブル梅田
あらすじ
とてもハンサムな男小川順が気がついてみれば、そこはエレベーターの中だった。エレベーターの中には、赤いシャツの関西風ヤクザ男と、緑のジャージ姿の中年男、ゴシックロリータの黒少女がいた。赤シャツ男が言うには、エレベーターが急停止した時、小川順は倒れて頭を打ったとか。小川順はすぐさまエレベーターを出て、家に帰らなくてはならない。なぜなら、妻が産気づいていて、出産の時にいないと針を一本飲まなくてはいけないからだ。
だが、エレベータはうんともすんとも言わない。助けもこない。携帯電話の電池も切れている。しかも一緒にいる3人は、いわくありげな人たちだった。
感想
久しぶりに本屋さんに行ったら、「ギャンブル・マンション」という文庫本がえらく売れているらしかった。この本の作者木下半太という人の『悪夢のエレベーター』を映画化した作品らしい。密室物なん。わくわくするな。健闘していると思う。モト冬樹さんがうまい。「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の妹の清深(きよみ)役をしていた佐津川愛美(さつがわえみ)って人が、今回もなかなか。これから注目の人と思う。
この映画で一番怖かったのは、妻(本上まなみ)が言う「針一本飲んでもらうから。」やね。
終わり方がわけワカメ意味トロロでしたが、原作には続編がありその名も「奈落のエレベータ」とか。
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人生に乾杯!
 
2007年 ハンガリー 107分
監督 ガーボル・ロホニ
原作 ポジュガイ・ジョルト
キャスト エミル・ケレシュ(夫エミル)/テリ・フェルディ(妻ヘディ)/コディト・シェル(警部補アギ)/ゾルターン・シュミエド(刑事アンドル)/ロシック・ジョコ(ホアン)
メモ 2009.10.18(日)梅田ガーデンシネマ
あらすじ
ところはハンガリー。1950年代、秘密諜報機関から隠れていた伯爵令嬢を救って恋に落ち、エミル・キシュはヘディと結婚した。
そして半世紀がたち、ロマンチックだったふたりもいまや81歳と70歳。寄る年波に勝てず腰痛と糖尿病をわずらっていてロマンチックどころではない。老人アパートでつつましく暮らしていたが、1989年の東欧革命後、EU加盟を経て年金生活は苦しくなるばかり。家賃の滞納により電気も止められてしまう。執行人が家に乗り込んで着た時、ヘディは大事にしていた伯爵家のダイヤのイヤリングを渡す。それを見たエミルは己のふがいなさと、世の中の理不尽さに怒り、58年ソ連製の愛車チャイカ(名前がウィンド・バード)に乗り、トカレフを手に郵便局強盗を働くのよ。 「お嬢さん、頼みがあるんだ。」「あり金をこの袋に詰めて貰えんか?」
ガソリンスタンドで強盗している夫の防犯カメラの映像を、ニュースで見たヘディ。信じがたい思いだが、家に電化製品が届き、夫が定年になってもらいうけたソ連製の車チャイカから足がついて警察もやってくる。妻ヘディは夫エミルからの電話で採石場に向かい、警察をまいてふたりで逃避行。ボニーとクライドなの。
感想
ずり落ちていくへなちょこの警察の車を尻目に、砂利の山をゆうゆうと登っていく58年ソ連製のチャイカとそれに乗っているじいさまとばあさま
この年寄りは、道もいっぱい知っていて、侮れない潜在能力を持っていた。かっこいいんだ(クール?)。貴族の姫から平民の妻になり、国は社会主義から資本主義に変わり、揺れ激変する国を生き抜いてきたふたり。どんよりした暮らしに決別し、軽くまたいで一線を超えたふたりは、残り少ない人生を楽しむ事にした。二度目の青春なのだ。 ぐちぐち言わず、言い訳せずの潔い身の処し方。いいよなぁ。
さぼてんも、元気でさばさばした年寄りになりたいもんだ。
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サブウェイ123激突
 
2009年 米国 105分
監督 トニー・スコット(「デジャヴ」「トップガン」「トゥルー・ロマンス」「クリムゾン・タイド」)
原作 ジョン・ゴーディ
脚本 ブライアン・ヘルゲランド
撮影 トビアス・シュリッスラー
キャスト デンゼル・ワシントン(ウォルター・ガーバー)/ジョン・トラヴォルタ(ライダー)/ジョン・タートゥーロ(カモネッティ警部補)/ルイス・ガスマン(レイモス)/マイケル・リスポリ(ガーバーの上司ジョンソン)/ジェームズ・ガンドルフィーニ(ニューヨーク市長「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア」)
メモ 2009.10.11(日)TOHOシネマズ梅田(HEP)
あらすじ
昼下がりのニューヨーク。列車123号が緊急停車する。地下鉄運行司令室で仕事についたガーバーの「どうしたんだ?」の問いかけに対し、ライダーとなのる男が「地下鉄をジャックした。1時間以内に1000万ドル用意しろ」とニューヨーク市に要求する。
感想
「サブウェイ・パニック(ウォルター・マッソー、ロバート・ショウ)」(1974)の再映画化。本作は、前作の上を行くと思う。「サブウェイ・パニック」のあらすじ読んでたんやけど、犯人側の名前が、ブルー、グリーン、グレイ、ブラウンやったんやね。やっぱブラックはなかった。「レザボア・ドック」のホワイト、オレンジ、ピンク、ブルー、ブラウン、ブロンドはこの映画をまねてたんかな。
 
「サブウェイ・パニック」のウォルター・マッソーは鉄道公安官やったけど、見るたびにごっつくなるデンゼル・ワシントンは、地下鉄職員の運行係。これも人の命を預かる大変な仕事だ。警部補のジョン・タートゥーロがヘリでニューヨークの街を俯瞰して「美しい眺めだろ。守りかいのある街だ。」という所に、人のためにつくす仕事をなりわいとしている人たちの心意気を感じる。この映画の言いたいところは、ここ。見せたいところは、スピーディーなアクション。
警察官、鉄道員だけではなく、たぬきの市長を初めとした政治に長けた市の職員も根っこは、「市民の安全を守る人」であり、対して犯人側はあぶくに踊らされる金の亡者。一昔前のような良きアメリカ映画を見た。
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