2008年3月の映画  戻る


ノーカントリー NO COUNTRY FOR OLD MEN (老人の住む国にあらず)
      第80回アカデミー賞作品賞、監督賞、助演男優賞(ハビエル・バルデム)、脚色賞受賞
2008年 米国 90分
監督・脚本 ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
原作  コーマック・マッカーシー「血と暴力の国」(扶桑社)
撮影 ロジャー・ディーキンス
メモ 2008.3.18(火) TOHOシネマズ梅田
キャスト トミー・リー・ジョーンズ(エド・トム・ベル保安官)/ハビエル・バルデム(殺し屋アントン・シガー)/ジョシュ・ブローリン(ルウェリン・モス)/ウディ・ハレルソン(殺し屋カーソン・ウェルズ)/ケリー・マクドナルド(モスの妻・カーラ・ジーン)/ギャレット・ディラハント (ウェンデル)/テス・ハーパー(ロレッタ・ベル)/バリー・コービン(エドの叔父エリス)/
あらすじ
1980年代。ここはテキサス。砂漠の地。ベトナムからの帰還兵モス(ジョシュ・ブローリン)は、狩りの途中ピックアップ・トラックを見つける。そこには殺された男達と瀕死の男がいた。トラックの荷台にはヘロインと大金が積まれてある。やばい金とわかりながらも、モスは誘惑から逃れられない。金を奪ったモスは、ボンベと高圧銃を持つ殺し屋アントン・シガーから執拗につけ狙われるハメに陥る。一方保安官のエド(トミー・リー・ジョーンズ)は、翌朝発見された現場を見て、モスが巻き込まれていることを知る。
感想
ハビエル・バルデム怪演の不気味で無慈悲な映画。おかっぱ頭の彼が現われると辺り暗さが増す。その姿はこっけいでもある。好みがわかれると思う。
 
暴力の映画やねんけど、困っている人を助ける姿があちこち出てきてね。アメリカなんだと感じたな。モスは瀕死の男に水を与えてやろうとして、墓穴を掘る。シガーを車に乗せて「ヒッチハイクの危険」を説くじっちゃんがいる。シャツを売る若者がでてくる。
お薦め度★★★★★戻る

バンテージ・ポイント 見晴らしのきく地点/有利な立場
2008年 米国 90分
監督 ピート・トラヴィス
脚本 バリー・L・レヴィ
撮影 アミール・モクリ
音楽 ジョン・パウエル
出演 シガーニー・ウィーヴァー(TVプロデューサ・レックス)/デニス・クエイド(シークレット・サービス・トーマス・バーンズ)/エドゥアルド・ノリエガ(サマランカ市警察官・エンリケ「次に私が殺される」)/フォレスト・ウィッテカー(アメリカ人観光客・ハワード)/ウィリアム・ハート(アシュトン大統領)/エドガー・ラミレス(ハビエル「ボーン・アルティメイタム」)/サイード・タグマウイ(スワレス)/マシュー・フォックス(シークレット・サービス・ケント・テイラー)/アイェレット・ゾラー(ベロニカ)
メモ 2008.3.16(日)晴れ TOHOシネマズ梅田
あらすじ
「テロ撲滅サミット」がスペインのサマランカ市で開かれている。マヨール広場で挨拶に立ったアメリカ合衆国大統領が、狙撃される!
感想
午前11時59分から23分間と、それに続く動きが巻き戻しで8回繰り返され、段々事件の真相が観客に明らかにされていく。(最近では、「リ・ジェネシス バイオ犯罪捜査班」がこういう手法だったな) ラストはグランドホテル形式というのかな。一点に集約され、観客は全てを知る。しかし、事件に巻き込まれたアメリカ人観光客(フォレスト・ウィッテカー)は真実を知る事はなく、報道も圧力がかかったのか、公式発表をTVに流すのだ。
 
よく出来た脚本だった。8回繰り返しても観客が飽きないように、スピード溢れる作りになっている。「ボーン・アルティメイタム」ではスナイパー・パズ役のエドガー・ラミレスが、今回も同じようだが、お得な役だった。
当事者達がそれぞれ遭遇したある面が、幾つも組み合わさって立体になって、観客にのみ全真実が明らかになっていくこういう話、観た事あるような無いようなと思っていたんやけど、思い出した。「運命じゃない人」だ。
お薦め度★★★★戻る

天然コケッコー
2007年 日本 90分
監督 山下敦弘(「松ヶ根乱射事件」「リンダ リンダ リンダ」)
原作 くらもちふさこ
脚本 渡辺あや(「メゾン・ド・ヒミコ」「約三十の嘘」「ジョゼと虎と魚たち」)
撮影 近藤龍人
出演 夏帆(右田そよ)/岡田将生(大沢広海)/夏川結衣(そよの母)/佐藤浩市(そよ父)/森下翔梧(そよの弟・浩太郎)/ 大内まり(大沢の母・美都子)
メモ 2008.3.2(日)晴れ レンタルDVD
あらすじ
小学校、中学校合わせて6人しか生徒がいない山あいの分校。右田(みぎた)そよは中学二年生。学校では一番大きいお姉さんだ。今日は東京から転校生が来る日。転校生の大沢広海(おおさわひろみ)は中学二年生で、そよの始めての同級生だった。「どんな子じゃろ。」 期待高まる!
感想
くらもちふさこ原作漫画の映画化。おっとりした方言がここちよい。四季の風景も美少女と美少年の中学生ふたりもキラキラ輝く美しい作品だった。おぼこい素直なそよと、ちょっとゆがんだたるそうな広海。ふたりをかこむ子供たちもおとなたちもがんばっていたな。
 
「潮騒」の荒々しさとは真逆にある作品かもしれない。「潮騒」のふたりが一点に集中していくのに対し、「天然コケッコー」のふたりはゆったりと広がっていくような感じがした。
 
そよの弟が、始めて現れた兄貴分の大沢広海にひっついているのが、かわいい。姉のそよが、父(佐藤浩市)と大沢の母(大内まり)との昔わけありそうな関係を不安に思っているのをまったくしらず、「電話が掛かってきたら、別の部屋に行きよるは浮気している証拠じゃと(とかなんとか)」言って、ばっちゃんやじっちゃんを笑わすシーン。大沢から教えてもーたんやな。大沢の両親は父にいい人が出来たので別れたんやな、とわかるシーンがうまかった。弟はまだ子供の世界にいて、そよと大沢広海はおとなと子供の狭間にいるというのがよくわかる。いくつになっても思い出すと恥ずかしもせつなくなる青くピュアな、大事な時にそよと大沢は今いるんやな。
お薦め度★★★★1/2戻る